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■ユニバーサルデザイン・シンポジウム(1)ユニバーサルデザインの定義

「ユニバーサルデザイン・シンポジウム」に行ってきました。
 シンポジウムの発表者はこの方々です。

 そこで印象に残ったことを3回に分けてメモをしておきます。
★「ユニバーサルデザイン」のわかりやすい定義〜エルゴノミデザイン・ジャパン

「ユニバーサルデザインはわかりにくい」という声に対して、ダーグ・クリング
ステット氏(エルゴノミデザイン・ジャパン社長)の定義がわかりやすかったです。

 ユニバーサルデザインとは、使い勝手の悪さをなくしていくデザインのこと。
 したがって、そのデザインは、原因を分析・解決していくプロセスだから、ほ
とんどが現場ワークである。
(ダークさんは「だから、日本人の我慢をする美徳をやめてほしい」と笑いなが
ら言っていました)
 逆に、コンセプトから発想してデザインしていくというアプローチは、ユニバーサル
デザインとは言えない。

★トヨタ
 これに付け加える形で、大島誠氏(トヨタ自動車:ラウムのデザイナー)が、
使う人が自立できる・誰かの世話にならず自分でできるようになることを、モ
ノの側から支援する
ことがユニバーサルデザインだと思う」
 とコメントされて、非常に納得できた。
 ラウムはセールストークとして「ユニバーサルデザイン」を第一に打ち出して
いるが、本気で取り組んで作られた車だということが大島氏の発表でよくわかりました。
トヨタは、ラウムで手に入れたノウハウを他の車種にも応用をしようとして
いるとのこと(第一弾はシエンタ)。

★INAX
 INAXの「暮らすよろこびを、ひとりひとりに」というコピーに込められた意味――
「ひとりひとり」というのは、「高齢者、体の不自由な方、子どもたちなど、
ひとりひとり違うお客さまの個性を尊重したものづくり」という説明があった。
 たしかに、私の母は足が不自由なのですが、いつも出かけるときに気にするのは
「洋式トイレがその場所にあるか?」ということです。人によっては、しゃがむ
こと・かがむことも不自由することがある。

★自閉症の場合〜環境をわかりやすくする
 車も、トイレも生活に密着したモノであり、「モノの側からひとを支援する」
発想は実はとても当たり前でチャレンジし甲斐のあることです。
 良心的なものづくりに真剣に取り組んでいる姿勢が心強かったです。

 自閉症の場合は、一つ一つのモノの使い勝手だけじゃなくて、
本人を取り巻く環境をわかりやすくすることがユニバーサルデザイン
になります。環境の側から本人を支援(=構造化)するんですね。
「暮らすよろこびを、ひとりひとりに」
 シンプルだけど、味わい深いです。

(2)へ続きます!

【連載記事】
・ユニバーサルデザイン・シンポジウム(3)スウェーデンの場合
「ユニバーサルデザイン・シンポジウム(2)若手デザイナーの作品」
「ユニバーサルデザイン・シンポジウム(1)ユニバーサルデザインの定義」