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■ユニバーサルデザイン・シンポジウム(2)

ユニバーサルデザイン・シンポジウム(1)ユニバーサルデザインの定義」からの続きです。

★第2部は「若手デザイナーによる次世代の提案」でした

 第2部では、博報堂生活総合研究所の研究「モノの意味ってなんだろう?」
成果を発表する展覧会において、2人の若いデザイナーが発表した自らのデザイ
ンワークについて紹介がありました。
 2人の主張は、「ユニバーサルデザインには、精神的な面で、みんなが誰もが
楽しくなれるデザイン・プロダクトという提案をもっていてもいいんじゃないか」
というものでした。
 ダーク氏からは「コンセプトから作り出すデザインは、デザイナーのエゴであっ
て、ユニバーサルデザインの概念とは違う」と酷評されていました。
 この指摘はもっともだと思いますが、デザイン・コンセプト自体には興味深いもの
があったので紹介します。

(1)オスソワケカイロ【写真】 製作:ドリルデザイン

【デザイン・プロセス】
 博報堂の調査で「こたつ」が「絆」(きずな)という意味を強く発していた点
に注目し、

○コタツ=あたかいモノ・場所→人をひきつける引力がある→共有されやすい
○共有できるあたたかさは、コミュニケーションの媒体となる(なごむ・ほっと
する・幸せな気持ちになる)コタツ=あたかいモノ・場所を小型化し使いやす
くする=携帯性を追求して、カイロの形にした。
○また、温かさを分け合い、おすそわけできるようにするため、
ピザ型のカイロをデザイン。

【コンセプト】
 人に温かさをオスソワケする。もらってうれしい。人に見せられるカイロ。
3ピースもらった中から、1ピース、他人に分けてあげることができる
=共有する温かさの連鎖を狙った。

(2)Crownpoline(クラウンポリン) 製作:RanchBox
 これは、Milk Crown(牛乳の水面に一滴のしずくをたらしたときにできる王冠
のかたち)+トランポリンを合体させたネーミング。おしゃれにデザインされた
トランポリンです。

【デザイン・プロセス】
 モノムの分析結果から、9割のモノから「楽」の因子が含まれていることがわ
かった。
 つまり、身の回りにあるほとんどのモノは「楽」の希望が込められている。

【コンセプト】
 誰でもたのしい生活をしたいが、経済力や性別や障害などでそれがかなえられ
ないことがある。だれでも安いコストで楽しくなれるモノ

○たのしいとき+ウキウキ・心がはずむ→とびはねる
これを逆転させて
○とびはねると→なんだか、たのしい・うれしくなる!=トランポリン

 実はこのアイデアはすごく気に入りました。意外とこれは真理をついている
と思います。
 私はカイとの日課として、ベッドで二人でトランポリンをしています(そのう
ちベッドが壊れるでしょう)。憂鬱な気分の時も、とびはねているうちになんだ
かたのしくなってきたりします(ほんとです)。

 心理学の行動療法に、「嫌いなんだけど〈美味しい!〉と言ってみる」みたい
なやつがあるそうです。心→行動という流れを行動→心への影響というアプロー
チに変えるわけです。
 それなのかなあ?

 みなさんもどうですか? とびはねると、たのしいですよ。

【参考HP】
monomミュージアム展
monomファクトリー展

(3)へ続きます

【連載記事】
・ユニバーサルデザイン・シンポジウム(3)スウェーデンの場合
「ユニバーサルデザイン・シンポジウム(2)若手デザイナーの作品」
「ユニバーサルデザイン・シンポジウム(1)ユニバーサルデザインの定義」