■哀悼

 昨日、恩人のお通夜へ行った。

 Aさんは、私の最初の上司です。

 頭が切れて、勇気があり、情に厚い人でした。
 何も分からない私に、仕事のやり方、職場の流儀、職業人のあり方を教えてくれた。

 最初から一人前に扱ってくれた。
 重要な会議にも私を同席させた。
 どんな場面でも、どんな相手に対しても、萎縮せず、自分の意見を伝えていくこと。
 困難な状況でもあきらめず、正しい方向を探し、やり遂げていくこと。
 自分の行動に責任を持つこと。
 信義を守ること。
 そして、いつもユーモアのセンスを忘れないこと。
 大切なことを身をもって示してくれた。

 今の私があるのは、Aさんのおかげです。
 いつも私は「Aさんのようになりたい」と思ってきました。

 結婚式に主賓として出席してくれました。
 カイのことを最初に相談したのも、Aさんだった。
 ご自宅へもお邪魔して、家族ぐるみで仲良くしていただいた。

 最後にお話をしたのは、4月だった。奥様も娘さんとお孫さんもいらして、カイと妻と一緒にお話をした。本当にたのしい時間だった。カイをだっこして笑う姿を今も鮮明に思い出す。

 なぜもっと会いに行かなかったのかと悔やんでいます。
 もっと時間があると思っていた。

 離れていても見守られていると感じていました。

 テニスを楽しみ、音楽を愛し、歴史好きでした。
 私が青いことを言うと「感情的になるな。君は、大久保利通のように冷静沈着に、大事を成せ」とたしなめられた。

 私が立派になったら「あいつはおれが育てた」と誇りに思ってもらいたかった。

 こんなに早くお別れが来るなんて、思っていなかった。

 悲しくて、さびしい。








 私は、これからしっかり生きて、誇りに思ってもらえるような生き方を、していきます。

 見守っていてください。