■高橋脩先生講演レポート「本気で地域で暮らしていこうと思っていますか?」
★このレポートについて
2002年の講演レポートですが、今読み返してみても、問いかけられているメッセージの重さにまったく変わりはありません。むしろ、障害者福祉のグランドデザインが提示された今にこそ重要性が増しています。
「自閉症の子は、一人では、一年は幸せになれても、一生は幸せになれない」――この命題は、私を動かす指針となりました。
●基調講演「自閉症児・者の地域生活を支えるには」
高橋 脩(豊田市こども発達センターセンター長)
〜NHK障害福祉フォーラム「自閉症児・者の地域生活を支えるには」〜
2002年6月23日(日)
※このレポートは講演会を聞いたカイパパの主観的な解釈です。文責はすべてカイパパにあります。
★1 本気で地域で暮らしていこうと思っていますか?
高橋先生の講演で、私が一番ショックを受けたことは、「みなさん、本気で地域で暮らしていこうと思っていますか?」という問いかけでした。
高橋先生は次のようなことを指摘されていました。
今の国の施策は、施設介護は予算が無くて、また収容能力がとても対応できないから在宅介護にシフトして、在宅介護をどこまで長続きさせられるか? というスタンスだと指摘されたのです。
つまり、親や兄弟が歳をとってへとへとになりながらも「ホームヘルパー」などを活用して、何とかぎりぎりまで自閉の子を見ていき、最後にどうしようもなくなったら50歳や60歳になった自閉の子を施設に入所させる……本人にとって、親にとって、それが果たして幸せなライフステージですか? と静かな口調で問いかけていました。
(1)施設介護、(2)在宅介護、(3)地域介護(?)――グループホームなど、親だけではなく地域で支援するの段階――があるというお話だと理解しました。
そして、親が本気で「地域で生活」=ある程度親から自立して地域の中で自閉児・者が生活していくことを望んでいるのかどうか?
地域で生活していくためには、地域の人々に自閉症を理解してもらわないといけません。8割方は自閉症を誤解している世間を変えていくのは大変な労力です。それに取り組んでいく覚悟がありますか? と、それを問われているような気がしました。
★2 10年後を見据えた行動=先見性
先生はまた「10年後の状況を見据えて、今から行動をしていく先見性が必要だ」とおっしゃっていました。「その時になってから行動していては遅い。その恩恵をこうむるのは後から来る世代です」と。
そのためには、達成目標をリストにして、壁に貼っておくといい。「自分の町では〜〜はできたか?」をチェックして、次に何をすべきかを常に意識しておくこと。
★3 親の役割
(1)3つの「育てる」役割
親には3つの「育てる」役割がある。
a)子どもの養育者
b)家族を育てる
c)社会を育てる
(2)地域生活支援における親の役割
a)自閉児・者の賢明な代弁者
b)賢明な行動者
c)地域の支援者
この意味は、子どもがある程度手が離れ、余裕が出てきた親に、他の同じ境遇の親子のための支援者になってほしい、ということ。つまり、自分の経験を伝えてあげたり、小学校などの福祉を勉強する時間の講師となって自閉症の理解を広めたり。「親」だからこそできる支援をしてほしい。
d)サービス提供者
さらに、足りないサービスを自ら提供する事業者になってもいい。支援費制度は、サービス提供者の規制緩和なので、親自身が連携して組織を作り、サービス提供者となるのも大変良いこと。
「自閉症の子は、(わが子だけ幸せになればいいやと思っても)一人では、1年は幸せになれても、一生は幸せになれない」
だから、勇気と誇りを持って自閉児・者のためにこの町を変えていってほしい。
以上
★思い出したこと
思えば、この講演会は、後のつぼみの会父親部の中心メンバーになる、ryusan、motoyamaさん、タロ吉さんと私の4人で、初めて一緒に自閉症協会愛知県支部(つぼみの会)のお手伝いをした機会でもありました。
この日、私は、高橋先生のほかにも、藤村出さん、山田優さん(タレントじゃない方)とも初めてお話しさせてもらったんだっけ。
あ、今思い出した。講演会が終わった後に私はステージに上がらせてもらって「つぼみパパメーリングリスト」の宣伝をさせてもらったのだった。最初の晴れ舞台だったね。
そして、講演会後、今の父親部代表世話人のryusanとサシで飲み、「うちの子も可愛いが、よその子も可愛い! この子たちのために一緒にがんばろう!」とへべれけになりながら叫んでいたのでした。
偶然なんだけど、必然を感じる出会い。もう3年前なんだね。
★このレポートについて
2002年の講演レポートですが、今読み返してみても、問いかけられているメッセージの重さにまったく変わりはありません。むしろ、障害者福祉のグランドデザインが提示された今にこそ重要性が増しています。
「自閉症の子は、一人では、一年は幸せになれても、一生は幸せになれない」――この命題は、私を動かす指針となりました。
●基調講演「自閉症児・者の地域生活を支えるには」
高橋 脩(豊田市こども発達センターセンター長)
〜NHK障害福祉フォーラム「自閉症児・者の地域生活を支えるには」〜
2002年6月23日(日)
※このレポートは講演会を聞いたカイパパの主観的な解釈です。文責はすべてカイパパにあります。
★1 本気で地域で暮らしていこうと思っていますか?
高橋先生の講演で、私が一番ショックを受けたことは、「みなさん、本気で地域で暮らしていこうと思っていますか?」という問いかけでした。
高橋先生は次のようなことを指摘されていました。
今の国の施策は、施設介護は予算が無くて、また収容能力がとても対応できないから在宅介護にシフトして、在宅介護をどこまで長続きさせられるか? というスタンスだと指摘されたのです。
つまり、親や兄弟が歳をとってへとへとになりながらも「ホームヘルパー」などを活用して、何とかぎりぎりまで自閉の子を見ていき、最後にどうしようもなくなったら50歳や60歳になった自閉の子を施設に入所させる……本人にとって、親にとって、それが果たして幸せなライフステージですか? と静かな口調で問いかけていました。
(1)施設介護、(2)在宅介護、(3)地域介護(?)――グループホームなど、親だけではなく地域で支援するの段階――があるというお話だと理解しました。
そして、親が本気で「地域で生活」=ある程度親から自立して地域の中で自閉児・者が生活していくことを望んでいるのかどうか?
地域で生活していくためには、地域の人々に自閉症を理解してもらわないといけません。8割方は自閉症を誤解している世間を変えていくのは大変な労力です。それに取り組んでいく覚悟がありますか? と、それを問われているような気がしました。
★2 10年後を見据えた行動=先見性
先生はまた「10年後の状況を見据えて、今から行動をしていく先見性が必要だ」とおっしゃっていました。「その時になってから行動していては遅い。その恩恵をこうむるのは後から来る世代です」と。
そのためには、達成目標をリストにして、壁に貼っておくといい。「自分の町では〜〜はできたか?」をチェックして、次に何をすべきかを常に意識しておくこと。
★3 親の役割
(1)3つの「育てる」役割
親には3つの「育てる」役割がある。
a)子どもの養育者
b)家族を育てる
c)社会を育てる
(2)地域生活支援における親の役割
a)自閉児・者の賢明な代弁者
b)賢明な行動者
c)地域の支援者
この意味は、子どもがある程度手が離れ、余裕が出てきた親に、他の同じ境遇の親子のための支援者になってほしい、ということ。つまり、自分の経験を伝えてあげたり、小学校などの福祉を勉強する時間の講師となって自閉症の理解を広めたり。「親」だからこそできる支援をしてほしい。
d)サービス提供者
さらに、足りないサービスを自ら提供する事業者になってもいい。支援費制度は、サービス提供者の規制緩和なので、親自身が連携して組織を作り、サービス提供者となるのも大変良いこと。
「自閉症の子は、(わが子だけ幸せになればいいやと思っても)一人では、1年は幸せになれても、一生は幸せになれない」
だから、勇気と誇りを持って自閉児・者のためにこの町を変えていってほしい。
以上
★思い出したこと
思えば、この講演会は、後のつぼみの会父親部の中心メンバーになる、ryusan、motoyamaさん、タロ吉さんと私の4人で、初めて一緒に自閉症協会愛知県支部(つぼみの会)のお手伝いをした機会でもありました。
この日、私は、高橋先生のほかにも、藤村出さん、山田優さん(タレントじゃない方)とも初めてお話しさせてもらったんだっけ。
あ、今思い出した。講演会が終わった後に私はステージに上がらせてもらって「つぼみパパメーリングリスト」の宣伝をさせてもらったのだった。最初の晴れ舞台だったね。
そして、講演会後、今の父親部代表世話人のryusanとサシで飲み、「うちの子も可愛いが、よその子も可愛い! この子たちのために一緒にがんばろう!」とへべれけになりながら叫んでいたのでした。
偶然なんだけど、必然を感じる出会い。もう3年前なんだね。
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最後に書かれている「サービス提供者」自身にあたる訳ですから、しっかり利用者のニーズに応えていきたいと思います。