■中間まとめ発表:愛知県心身障害者コロニーのあり方見直し

★愛知県心身障害者コロニーの将来像を検討する愛知県社会福祉審議会の中間まとめが出ました

「中間まとめ」そのものは、まだ愛知県のHPにもコロニーのHPにも掲載されていません(2005年2月6日現在)。
 以下の考察は、中日新聞での報道にもとづいたものです。

【追記】2005年4月7日
・何か大切なものを忘れていませんか?〜愛知県コロニーの今後のあり方中間報告書
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/17900953.html

 この報告書に対する「違和感」について論じました。

【追記】2005年2月8日
「中間まとめ」報告書が、愛知県心身障害者コロニーHPに掲載されました。

・愛知県心身障害者コロニー:コロニーのあり方調査研究会議の検討状況
http://www.pref.aichi.jp/hsc/topic/hokoku/hokoku.html

 情報提供は、NPOで・ら・しえんのみるすきさんです。ありがとうございます(^^)


【参考過去記事】
 流れを理解していただくためにご一読を願います。

・2004年4月26日:■愛知県コロニーの見直しを諮問 県知事会見
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/447294.html
・2004年5月14日:■愛知県社会福祉審議会:コロニーのあり方検討開始
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/597860.html
・2004年7月8日:■「愛知県心身障害者コロニーのあり方調査研究会議」に障害者委員は入れない
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/4077391.html


★新聞報道

・中日新聞2005年2月1日:県心身障害者コロニー:「地域」めぐり意見交換:審議会部会中間まとめ:5月中旬に最終答申
(※Web掲載なし。以下引用)
■県心身障害者コロニー:「地域」めぐり意見交換:審議会部会中間まとめ:5月中旬に最終答申

 県心身障害者コロニー(春日井市)の将来像を検討する県社会福祉審議会31日、名古屋市東区で開かれた。名称の変更も視野に「施設から地域へ」の方向性を示す専門部会の中間まとめが報告された。障害者を受け止める「地域」の形をどう考えればいいか。出席した20人の委員が意見をぶつけ合った。(福田 要)

 中間まとめでは「地域」を「障害者が住みたいと希望するところ」とし、出身市町村と一致しないケースも想定した。
 これに対し「仲良しと一緒に住みたいという希望もあり得る。親ではなく好きなおじさんやおばさんがいるのも地域では」。矢沢久子委員(県社会福祉協議会委員)が問題提起した。
 太田和子委員(県女性団体連盟会計監査)は「入所者の希望を聞くと言うが、地域の施設などを本人がどうやって把握できるのか」と、福祉情報の伝達が十分ではない現状を指摘した。
「地域に戻っても、家族だけが面倒を見るなら問題解決にならない」と西山八重子委員(金城学院大教授)。「従来の施設より高い水準のサービスを提供することを目指し、家族ではない『地域』を」と意見を述べた。

 コロニーは重症心身障害児入所施設や養護学校など10施設があり、利用者は計約1300人。県内の障害者福祉の中核だったが、入所期間の長期化など問題点が浮上し、「集住」方式など従来の運営方針を大きく見直す必要に迫られている。審議会はさらに専門部会で検討を重ね、5月中旬に県へ最終答申する。

 下記の夕刊記事の方が、中間まとめの内容に触れているのであわせてお読みください。

・中日新聞2005年1月31日夕刊:「地域生活への移行」重点:愛知県心身障害者コロニー
全文)←必読!

★私の意見

 方向性には賛成します。
 中間まとめでは、入所者の地域生活への移行を推進する機能を強化▽地域生活への移行で空いた定員枠に、原則として新たな入所者を受け入れない▽計画的に施設の規模を見直す−などを提案。速やかな移行が困難な入所者には、今後もサービスを提供するとした。

 大切なのは、
(1)「地域でどんな生活が待っているのか」(西山八重子委員の「担い手」に関する指摘は極めて重要)
(2)「地域生活へ移行するためのプロセス」
 が今後どのように提案されていくかです。
 長野県西駒合の場合は、西駒郷基本構想策定委員会を立ち上げ、4つのワーキンググループを設けて検討し、基本構想をまとめています。

【参考】
・長野県公式ホームぺージ:「西駒郷基本構想について」
http://www.pref.nagano.jp/syakai/fukusi/nkoma/top.htm

「西駒郷基本構想素々案」では、年次計画と数値目標が提示され、実行に着手されています。
 今回の愛知県社会福祉審議会の中間まとめでは、まだ方向性の提案だけのようです。

 愛知県においてコロニーの存在は大きい。
 具体的な数値目標や地域移行のスケジュールと今後のコロニーが担う機能(たとえば、一時避難のシェルターとしての機能や医療研究の拠点としての役割は残っていくのでしょうか?)のビジョンの叩き台を審議会で示して広く議論をしていくことを期待します。

★言っておかなければならないこと〜「わたしたちのいないところで、わたしたちのことを決めないで」

・中日新聞2005年1月31日夕刊(再掲)
 今回の検討は、福祉の専門家や医師、障害者の親の会などで構成する専門部会が進めてきた。しかし、議論が非公開だったことや、委員の中に障害者がいないことに障害者団体が抗議するなど論議も呼んだ。

 引用記事のとおり、この検討会議は非公開で、当事者本人は委員に入っていません。今後「中間とりまとめ」が公表され、議論がされることになります。意見や批判に対して、愛知県知事は真摯に受け止め、施策に反映させていくことを望みます。

 ――それにしても、「わたしたちのいないところで、わたしたちのことを決めないで」という「当たり前の話」に対する冷淡な対応がこのままでいいのでしょうか。たしかに知的障害のある人は、意思表出の力は弱いかもしれない。しかし、サポートがあれば自分の意思を示すことはできる。時間や手間を省いて、効率的な審議ばかり優先していませんか? 入り口から差別されてしまっては、どうしようもない。

【参考】中日新聞2005年1月31日夕刊より
愛知県心身障害者コロニー:
 重度の知的障害と肢体不自由が重なる重症心身障害児の入所施設や授産施設、養護学校、職業訓練校などを備えた総合福祉施設。1968年に開所し、10の施設がある。入通所者と生徒は計1327人。愛知県健康福祉部職員の67%に当たる882人が働いている。



【紹介】
 これからの愛知県での地域生活支援を担っていく事業者・個人のネットワーク、生活支援ネットワーク愛知の代表の顔が傍聴者の写真に写っていました(^^)

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