■名古屋市自閉症・発達障害支援センター〜一緒に創っていこう

 毎日チェックをしている、「つぼみの会名古屋市自閉症・発達障害支援センター開設準備プロジェクト(NASプロジェクト)」公式サイトに、2月24日に行われた名古屋市障害福祉部と自閉症協会愛知県支部NASプロジェクトチームとの会談報告と要望書がアップされました。

 非常に重要な内容なので、活動報告記事No.3全文を転載します。
[活動報告記事No.3]
 
名古屋市自閉症・発達障害支援センターに関する現計画案の確認等
日時: 2月24日 木曜日 15:00〜16:30
場所: 名古屋市役所 健康福祉局 障害施設課会議室
出席者: 名古屋市健康福祉局障害福祉部様より役職者2名
      自閉症協会愛知県支部 NASプロジェクトチームより5名

<記事>
 名古屋市健康福祉局障害福祉部様より、名古屋市自閉症・発達障害支援センター(以下、支援センター)の設置に関して、直接会談のご案内を頂きました。
 NASプロジェクトメンバー5名で当局に訪問し、自閉症協会愛知県支部としては、今後の出来る限りの協力姿勢を当局にお伝えしてきました。また、支援センター開設計画に関する現況についても確認してまいりましたので、以下に要約します。

【内容】

■支援センター開設に向けての検討会の設置について ⇒4月頃を目処に設置する。
〜名古屋市当局より〜
・4月頃をめどに、関係機関(教育委員会等)や関係団体(自閉症協会等)により構成した検討会を設置し、支援センターのあり方や支援のための体制整備について協議していく。また、本検討会は、定期的に継続していく形で運営する。

〜NASプロジェクトチームより〜
・当事者団体のネットワーク、機動力を活かし、「当事者が求める支援センターの姿」を具体的にまとめ上げた提言書を5月までには提出する方向で進めます。この提言書は当局がセットする検討会の議題に取り上げていただきたい。
 これに対し、当局は快く了解して頂きました。

■支援センターの設置場所について ⇒現時点において確定はしていない。
〜名古屋市当局より〜
・児童福祉センターへの支援センター設置については確定ではなく、あくまで計画である。設置場所の決定についても、4月から開催予定の検討会の場で協議していきたい。

〜NASプロジェクトチームより〜
・設置場所に関する様々な候補の中に児童福祉センターが一つの案として上がることは当会としても理解できる。ただし、当事者ニーズとしては就労・権利擁護など親亡き後の支援整備が急務と考えているため、この点も考慮しながら今後、当局がセットする検討会の場で最適な設置場所を決めていきたい。

■支援センターの対象、役割について ⇒全ての発達障害児者を対象とし、中核センターを目指す。
〜NASプロジェクトチームより〜
 昨年の12月に成立した、発達障害者支援法に定義されている通り、全ての発達障害者の笑顔を実現するための支援センター(全ての発達障害児・者を対象とした支援センター)としてください。と伝えた上で、現時点でのプロジェクトチームとしての見解・要望を文書化するべく、要望書No.2を当局に手渡しました。

〜名古屋市当局より〜
 支援センターの対象は、「全ての発達障害児・者」である。また、支援センターの役割は、発達障害者のライフステージ全般に関わる関係機関(消費者生活センターなども含め)や市内の資源をつなぎ合わせるための「中核センター」であるべきと考えている。その具体的な体制・仕組み作りを検討会で協議していきたいし、具体的なニーズも当事者団体からは提案してほしい。
 要望書の文書による回答については、3月22日辺りを目処にお渡しする。

 以上の通り、名古屋市当局からは大変誠意のある見解・姿勢を示していただきました。私たちもこれに応えるため、当事者団体としての役割・責務を、これからも誠意をもって果たしていきたいと考えています。

文責:NASプロジェクトチームリーダー 小川純一

★本当に、名古屋市自閉症・発達障害支援センターが創られようとしている

・中日新聞(名古屋市民版)2005年2月17日:どうなる暮らし〜05年度市予算案から(下)
障害者福祉
…(略)…
 昭和区の児童福祉センターに九月、自閉症・発達障害支援センターを設ける。他人との関係づくりやコミュニケーション能力などに困難を抱える子について、職員や医師らが相談に乗る。
…(略)…

 私はこれまで、名古屋市の障害者基本計画次世代育成基本計画に、自閉症・発達障害支援センターの開設がきちんと書き込まれていることを評価し、期待を表明してきました。
 しかし、2月12日のジョーさんの記事を読んでから色々と考え、中日新聞での報道を目にして、正直、唐突感と「行政だけで何もかも決めて始めて、大丈夫かなあ…」と危惧を覚えていました。

★一緒に創る〜わたしたちの自閉症・発達障害支援センター

 今回、名古屋市が支援センターを2005年度に設置するとわかってからの、自閉症協会愛知県支部の動きは迅速でした。
 支部内にプロジェクトチームを結成し、公式サイトを設置、すべての人にオープンな形で働きかけを始めました。
 同時に、一方的に行政を「なじる」のではなく、NASプロジェクトコンセプト4)にあるように「支援センターを支えるため、自分たちにできる貢献を明らかにする」という姿勢を打ち出しています。難しい自閉症・発達障害への支援を考えたときに(だれも「魔法の薬・療法」を知らない)、「当事者団体が支援センターのベストのパートナーである」ということを自覚したメッセージだと受け止めました。

 名古屋市が、事前に当事者の声を聞くことなく、支援センターの設置を決定したことは、とても残念なことでした。ジョーさんが、前記記事の中で「過ちはあらためることができる」と記していましたが、それは実際にはとても難しいことですよね。「一度決めたことは変えられない」と硬直的な態度になってしまう人・組織が多すぎる。
 しかし、名古屋市は、遅ればせながら発達障害者支援法の趣旨を実現するため、当事者団体との協働と市役所の中での連携に4月から踏み出そうとしています。この方針転換に敬意を表します。
 10月(9月?)まで時間が短いですが、「まず開設時期ありき」ではなく、とことん建設的な議論を尽くしてほしいと思います。

 私は思います。

 本人に寄り添えば、行政も教育も当事者も「同じ方向」を向けるはず。

 願いは同じ――発達障害のある人が安心してしあわせに暮らせる名古屋市にしていくこと。
 発達障害を理由にした悲しい事件が二度と起きないように…
 以上の通り、名古屋市当局からは大変誠意のある見解・姿勢を示していただきました。私たちもこれに応えるため、当事者団体としての役割・責務を、これからも誠意をもって果たしていきたいと考えています。

 この言葉に、胸がじんとなりました。
 一緒に創っていけば、志高く、他の県や市から模範とされるような、支援センターにきっとなれる!