■懸命に働く友〜うれしい知らせ

 親友に、知的障害者入所施設で働く男がいます。彼とは、2002年6月の講演会(講演記録:高橋脩先生講演レポート「本気で地域で暮らしていこうと思っていますか?」)で初めて出会いました。

 以来、たくさん語り合い、TEACCHトレーニングセミナーなどの仕事も一緒にやってきました。

 彼は、1年前に、地域移行の仕事をするために岐阜から長野の施設へと自ら選んで移っていきました。私は、「いつか帰ってこいよ」と武者修行に出すようなつもりで見送りました。

 8月に久々に再会したとき、彼は激ヤセしてイライラしていました。3時間ぶっとおしで彼はひたすら話した。「自分の無力さが、悔しい」と涙を流す彼を前に私は呆然としていました。
 たしかに、夏の時点の「結果」だけ見ていたら、「結局だれがやっても無理なんだよ」という評価になるかもしれない。でも、涙は胸のうちに燃え続ける炎の証なんだ。あきらめなければゲームオーバーにはならない。すぐに結果を出そうとするのはよそう。昔みたいに、段階を踏んで仲間を増やしていこうよ。そんな話をしたように覚えている。

「眠れないんだ」とつぶやいた彼のことがずっと気がかりでした。

 春になって、うれしい知らせが届きました。「初めてのグループホームをオープンした」と。

・信濃毎日新聞(2005年3月28日):重度自閉症の人向けグループホーム 県内初、三水に 
http://www.shinmai.co.jp/news/20050328/KT050317FTI090019000022.htm
 社会福祉法人「林檎(りんご)の里」が、上水内郡三水村倉井に、重度知的障害で自閉症の人を対象にしたグループホーム「ひこうき雲」を開設し、4人が暮らし始めている。知的障害者を対象にしたグループホームに軽度の自閉症を伴った人が入居するケースはあるが、自閉症を入居の対象とするのは県内初。パニックなど行動障害がある人でも自立した生活が送られるよう、施設職員の経験者が支援している。

 ひこうき雲は、木造2階建て約170平方メートル。5つの個室やリビング、浴室などがある。定員5人で、職員は常駐と補助が1人ずつ。建設費は2730万円で県の補助を受けた。

 入居者は5人とも既に決まっており、20代から40代までの男性。いずれも同法人が村内で運営している入所施設「あおぞら」で暮らしていた。出身地は北信3人、中信と東信から1人ずつ。ホームヘルプサービスなども利用して生活しながら、仕事や日中活動の場を探すという。

 こうしたグループホームに対し、本年度から自治体が運営費を補助する制度もスタート。支援費で支給される額に加えて、1人当たり月額8万5000円を県と市町村で半額ずつ負担する。北安曇郡池田町の社会福祉法人「信濃の郷」が準備している自閉症の人対象のグループホームもこの制度を利用する。

 「ひこうき雲」設置にあたり、地元の反対はなかったという。管理責任者の藤村出さん(47)は「山間地でも知的障害者を受け入れてくれる時代になった。重度の人でも希望すれば地域で暮らせることを示したい」と、張り切っている。
 「まだひとつめ。これからもっと自分は働く」という親友の決意表明にしびれました。
 意外と人間はしぶとい。仲間がいれば支え合える。
 自己満足じゃなく、苦しくても「結果」を追い求めて、僕らはやっていこう。

 彼からのメール(許可を得て抜粋引用)――

 やればわかる
 でればわかる
 
 出る前はいろいろ心配されたけど、

 グループホームに移り住んだ
 みんながとてもいい表情で暮らしている
 
 その姿がうれしくもあり、 
 今までどんな思いで暮らしていたかを思うと
 胸が痛くもある