■【事件】三重の施設職員に禁固10月を求刑―障害者に投票指示

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 障害者に候補者名指示 投票干渉容疑で施設職員逮捕@asahi.com 2003年11月10日
 この事件の続報です。

三重の施設職員に禁固10月を求刑―障害者に投票指示@中日新聞 2004年3月1日(夕刊)(Web版なし)
 昨年11月の衆院選で、三重3区から立候補した自民党の平田耕一氏=比例で復活当
選=への投票を知的障害者に指示したとして、公選法(投票干渉)の罪に問われた三
重県四日市市別名、知的障害者更生施設「垂坂山ブルーミングハウス」職員森正樹被
告(52)=同県いなべ市北勢町=の論告求刑公判が一日、津地裁であり、検察側は、
禁固10月、公民権停止5年を求刑した。
 検察側は論告で「社会的弱者の弱みにつけ込み、主権者としての権利を奪った」と
指摘した。
【関連事件】
障害者更生施設職員4人を逮捕 投票干渉の疑い 和歌山@asahi.com 2003年11月10日

★事件をどうみるか
 私が以前「知的障害者の年金、月2万円寄付させる 神奈川の施設」の記事で書いた問題意識が、
今回の投票干渉(強制)にも当てはまります。

【問題意識】
・知的障害者は本人の意思表明が全くできないか、困難な場合が多い
・知的障害者の家族は、世話になっている施設・人に対して立場が弱い
・社会福祉法人だからといって、すべてが「高いミッション」を持っているとは
限らない
・必要なのは、利害関係のない第三者による厳しい「監視」。監督官庁だけでは
なく、理事・評議員、監事の監視もあったはず。それらが「身内」で機能しな
いとすれば、「責任」を問うことに加えて、公認会計士や弁護士などの「監視」
を義務付けるべきではないか?
・親たちのために(親亡き後のためにも)権利擁護のための組織(NPOなど)も
必要だ。

★「投票」干渉の特別なあやうさ

 社会福祉法人は、行政の役割を受託する特別な地位を従来から与えられてきました。
許認可を得るのも至難の業です。
 許認可を得る、あるいは業務を受託する過程で、政治との結びつきが生まれ、法人の中には、
理事や監事に議員が名を連ねているものもあるようです。

 政治家が便宜を図る時、見返りとして求めるものは、金と票です。

 知的障害者にも1票がある。しかし、それを行使するための条件は難しい。「どうせ無駄になる1票だから、
法人のために使おう」という発想が出てくるのでしょう。
 検察の指摘「社会的弱者の弱みにつけ込み、主権者としての権利を奪った」は正当です。
「どうせ無駄になる。わかりゃしないんだから」
 という発想は、知的障害者を馬鹿にしています。

 この事件で罪を問われたのは、職員個人です。個人的な行為だったのでしょうか。