■【水銀原因説】体質の問題?
・(1)【TBS報道特集】自閉症=水銀原因説を論じる
・(2)【水銀原因説?】親の気持ち
からの連載記事です。(1)からお読みください。
【TBS報道特集】自閉症=水銀原因説を論じるへのコメントで、Orangeさんからご指摘をいただきました。
「体質によって、反応する水銀の量が違う」と水銀原因説が主張していることについて、了解しています。
しかし、あえて捨象しました。
その理由は以下のとおりです。
・(1)【TBS報道特集】自閉症=水銀原因説を論じる
・(2)【水銀原因説?】親の気持ち
からの連載記事です。(1)からお読みください。
【TBS報道特集】自閉症=水銀原因説を論じるへのコメントで、Orangeさんからご指摘をいただきました。
水銀の蓄積量との相関の件については、少し誤解があるようなのでちょっと横入りしました。
ニュースでも少しでていたと思うのですが、同じ水銀の量でも反応する人と反応しない人が体質としているということのようです。花粉症や化学物質過敏症と同じだと考えればわかるのではないでしょうか。受け皿の量が人によって違うので、ほんの微量でも発症してしまう人もいれば、大量でも平気な人がいると。。。
なので体内の水銀の量を測定することはあまり意味をなさないように思います。
「体質によって、反応する水銀の量が違う」と水銀原因説が主張していることについて、了解しています。
しかし、あえて捨象しました。
その理由は以下のとおりです。
★1 水銀に過敏反応する体質?
【主張】「(予防接種に含まれる)水銀が自閉症の原因である」
【論証】
予防接種に含まれる水銀の量は一定。
子どもが受ける予防接種の数も一定。(事実1)
↓
予防接種を受けた子どもが全て「自閉症」になるわけではない(事実2)
この事実を整合的に説明するためには、個人差を想定する必要がある。
【タイプ分け】(仮定)
a)体質によって水銀に過敏に反応 =ミネラル検査では検出不能(?)
b)体質によって水銀を排出できず蓄積 =ミネラル検査で検出可能
c)全く症状が出ない
キレーション療法は、水銀などのミネラルを排出させる療法ですが、完全に「0」にすることはできないようです。
したがって、想定タイプa)「微量でも過敏に反応」に対して有効とは考えなかったので、あえて触れませんでした。毛髪ミネラル検査で水銀の数値が高くもないのに、キレーション療法に取り組むのは、リスクの高い「冒険」だと私は思います。
★2 素朴な疑問〜水銀原因説は、先天的障害説の1つのバリエーション?
しかし、よくよく考えてみると、「自閉症=水銀原因説」を検証する際に、
・そもそも、同じ条件で、想定タイプc)(メインストリームの子どもたち)が多数存在する
ことを考えると、水銀原因説は、<ある「体質」の子どもは水銀に反応しやすく、それによって自閉症が引き起こされる>と主張していることになります。
「過敏な体質、特異体質」を強調するのであれば、それは結局のところ「自閉症は先天的な障害」ということを繰り返していることになります。
水銀原因説は、「水銀に過敏な体質を素因として持っていて、水銀が引き金になる」と主張している点が特徴なわけです。
そこで、数ある要因の中で、「水銀こそが」引き金であることの証明は、
(1)「程度問題」や「個人差」を超えた量の水銀量が存在した場合(例として水俣地区を挙げました)の調査
または、
(2)水銀を含む予防接種をある時点から「止めた」地区の調査(デンマークでの調査が報告されている)
によって、検証されなければいけません。
★3 検証について図で表すと

★4 ただし、個別のケースで高濃度の金属蓄積を起こしているとしたら
しかし、上記の調査は、疫学的な証明を行うものです。
一方で、臨床的にみて、a)過敏体質かb)代謝異常か事故か、理由はわかりませんが、有害な金属の蓄積が診断された個人については、有害物質を取り除く(摂取しない)療法がありえます。
しかし、これは、自閉症について一般化される療法ではありません。
化学物質過敏体質(?)あるいは事故などで過剰に浴びてしまったケースについての対処療法と考えます。
またキレーション療法をした結果によって、自閉症が「改善」したと主張する際には、成長やその他のプログラムの効果との比較検証も必要です。(しかし、親にとっては「改善した結果」があれば、それでいいと思うことでしょう)
【TBS報道特集】自閉症=水銀原因説を論じるへteddyさんからコメントをいただきました。
teddyさん貴重な体験をシェアしていただき、ありがとうございました。
このコメントを読んで私がつくづくと思ったことは、本当に「親はしんどいなあ」ということです。
★親のしんどさ
私たちは、学説で食べている研究者ではありません。
親として、「どう行動するか?」を日々判断を迫られ、選択して生きています。どんな情報でも、無関係な傍観者ではいられません。自分なりの判断と行動が求められるから…
その意味で、親は、とってもシンドイ。判断の質も問われ、結果の責任も取らなければいけないから……。
私は、キレーション療法に必死で取り組む親の方を批判する気持ちにはなれません。
私も親だから。
ただ、TBS報道特集を見ただけでは、一方的な「効果」だけが印象に残りました。否定的な見解もあり、キレーション自体の身体的なリスクもある。できるだけ情報を集めて自己責任で「慎重にね」と声をかけたいのです。
【関連記事(連載)】
・(1)【TBS報道特集】自閉症=水銀原因説を論じる
・(2)【水銀原因説?】親の気持ち
・(3)【水銀原因説?】体質の問題?←現在ご覧の記事です。
・(4)【水銀原因説?】TBS報道特集への反響リンク集
・(5)【本】自閉症研究の到達点を知るために
・(6)【水銀原因説?】自閉症協会からのコメント
・(7)【水銀原因説?】TBS報道特集で「注意の呼びかけ」2004年3月14日放映
【主張】「(予防接種に含まれる)水銀が自閉症の原因である」
【論証】
予防接種に含まれる水銀の量は一定。
子どもが受ける予防接種の数も一定。(事実1)
↓
予防接種を受けた子どもが全て「自閉症」になるわけではない(事実2)
この事実を整合的に説明するためには、個人差を想定する必要がある。
【タイプ分け】(仮定)
a)体質によって水銀に過敏に反応 =ミネラル検査では検出不能(?)
b)体質によって水銀を排出できず蓄積 =ミネラル検査で検出可能
c)全く症状が出ない
キレーション療法は、水銀などのミネラルを排出させる療法ですが、完全に「0」にすることはできないようです。
したがって、想定タイプa)「微量でも過敏に反応」に対して有効とは考えなかったので、あえて触れませんでした。毛髪ミネラル検査で水銀の数値が高くもないのに、キレーション療法に取り組むのは、リスクの高い「冒険」だと私は思います。
★2 素朴な疑問〜水銀原因説は、先天的障害説の1つのバリエーション?
しかし、よくよく考えてみると、「自閉症=水銀原因説」を検証する際に、
・そもそも、同じ条件で、想定タイプc)(メインストリームの子どもたち)が多数存在する
ことを考えると、水銀原因説は、<ある「体質」の子どもは水銀に反応しやすく、それによって自閉症が引き起こされる>と主張していることになります。
「過敏な体質、特異体質」を強調するのであれば、それは結局のところ「自閉症は先天的な障害」ということを繰り返していることになります。
水銀原因説は、「水銀に過敏な体質を素因として持っていて、水銀が引き金になる」と主張している点が特徴なわけです。
そこで、数ある要因の中で、「水銀こそが」引き金であることの証明は、
(1)「程度問題」や「個人差」を超えた量の水銀量が存在した場合(例として水俣地区を挙げました)の調査
または、
(2)水銀を含む予防接種をある時点から「止めた」地区の調査(デンマークでの調査が報告されている)
によって、検証されなければいけません。
★3 検証について図で表すと

★4 ただし、個別のケースで高濃度の金属蓄積を起こしているとしたら
しかし、上記の調査は、疫学的な証明を行うものです。
一方で、臨床的にみて、a)過敏体質かb)代謝異常か事故か、理由はわかりませんが、有害な金属の蓄積が診断された個人については、有害物質を取り除く(摂取しない)療法がありえます。
しかし、これは、自閉症について一般化される療法ではありません。
化学物質過敏体質(?)あるいは事故などで過剰に浴びてしまったケースについての対処療法と考えます。
またキレーション療法をした結果によって、自閉症が「改善」したと主張する際には、成長やその他のプログラムの効果との比較検証も必要です。(しかし、親にとっては「改善した結果」があれば、それでいいと思うことでしょう)
【TBS報道特集】自閉症=水銀原因説を論じるへteddyさんからコメントをいただきました。
はじめまして。私はアメリカにて医者のもとで番組内容と同じ水銀排出治療を受けたものです。TBSの今回の報道内容に関すること、というよりは、水銀排出治療自体に関する意見を述べさせて頂ければ、と思っています。(略)
あと、私が息子の水銀排出治療を行った理由は自閉症がそのせいで引き起こされたから、とかそういったことは考えないで、純粋に検査をして、高濃度の水銀を体内にためていることがわかったからです。身体に悪いものを子供の体内に残せなかったからです。結果的に息子の水銀の数値は低くなりました。本当に良かったと思っています。
自閉症の子供の中にはこういった子供もいて、そういった状態にあるかどうかを検査することは決して悪いことではないと思います。ですが、客観的な自己判断の元で治療を行われることが大事です。こういったご判断をできる方でない限り、キレート治療はお勧めできません。
teddyさん貴重な体験をシェアしていただき、ありがとうございました。
このコメントを読んで私がつくづくと思ったことは、本当に「親はしんどいなあ」ということです。
★親のしんどさ
私たちは、学説で食べている研究者ではありません。
親として、「どう行動するか?」を日々判断を迫られ、選択して生きています。どんな情報でも、無関係な傍観者ではいられません。自分なりの判断と行動が求められるから…
その意味で、親は、とってもシンドイ。判断の質も問われ、結果の責任も取らなければいけないから……。
私は、キレーション療法に必死で取り組む親の方を批判する気持ちにはなれません。
私も親だから。
ただ、TBS報道特集を見ただけでは、一方的な「効果」だけが印象に残りました。否定的な見解もあり、キレーション自体の身体的なリスクもある。できるだけ情報を集めて自己責任で「慎重にね」と声をかけたいのです。
【関連記事(連載)】
・(1)【TBS報道特集】自閉症=水銀原因説を論じる
・(2)【水銀原因説?】親の気持ち
・(3)【水銀原因説?】体質の問題?←現在ご覧の記事です。
・(4)【水銀原因説?】TBS報道特集への反響リンク集
・(5)【本】自閉症研究の到達点を知るために
・(6)【水銀原因説?】自閉症協会からのコメント
・(7)【水銀原因説?】TBS報道特集で「注意の呼びかけ」2004年3月14日放映
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私たちは、自閉症だけでなく他の軽度発達障害についても、別の見方をしています。いわゆる「脳高次機能の障害」としてこれらの問題を見るときに、機能障害自体は水銀のような化学物質、環境物質、毒性の高い薬物(アルコールなど)に限らず、様々なbrain traumaによって起こされるので、その原因全部を特定するのは不可能だと考えます。しかし何らかの機能障害があるわけですから、どうすればその障害を少しでも軽減できるかを考えるのです。
ですから、環境的要因・個人的要因など、様々なアセスメントを行ってから「どうすればいいか」を考えます。その上で、水銀の体内蓄積濃度が標準値より高ければ排出を考えるかもしれませんが、それだけで脳機能が飛躍的に改善するかどうかは分からないです。
自閉症とADHDは共通点があるのですが、それは左脳がきちんと働いていないということです。これをどうやって活性化させるかを、療育プログラムなどを使いながら考えているというのが、今の私のスタンスです。