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【思想】ノーマライゼーション

★はじめに

 私は、我が子の障害を知るまで、ハンディキャップや福祉の世界についてよく知りませんでした。少しずつ学ぶ中で、「ノーマライゼーション」という思想の意味を知り、感動した瞬間がありました。

★ノーマライゼーションの思想の出発点

 ノーマライゼーションは、それまで一般的に正しいとされてきた「障害者は一般社会から隔離された(保護された)場所で暮らすべきだ」という思想に対するアンチテーゼとして提唱されたそうです。

 ノーマライゼーションの思想は、
・人間社会には、一定の確率で障害をもった子が生まれる。
・だから、社会はもともと、障害をもった人とそうでない人を一緒に含んでいる
・特別なところに隔離してしまうのは不自然なことだ

 というところが出発点なんですね。

 そこからスタートして、
「それじゃあ、障害のある人もハッピーに暮らせるように社会資源や制度を整備していきましょう」というアクションにつながっていく(一般に、このアクションのことをノーマライゼーションと呼んでいますね)。

★「ノーマライゼーション=バリアフリー」?

 ところが、アクションは大切なんですが、出発点である「ノーマルな社会って何?」という問いかけをすっ飛ばしてしまうと、「ノーマライゼーション=バリアフリー※」と限定的にとらえられてしまったりする。しかも「ほんとはやらなくてもいいんだけど、やってあげた」みたいな発想に陥りがちです。
(※ハード面の整備に矮小化したバリアフリー)

 この発想は、

・ハンディのある人々は「何も生産できない、価値のない人々」
・だから、社会の余裕をつかって、保護してあげている
・できるだけ社会に迷惑をかけないように生活しなさい

 という排除の思想に容易につながりがちです。あれ? ノーマライゼーションがアンチを唱えたはずの思想に舞い戻っている??

★祈りのような〜根源的な主張

 ノーマライゼーションの思想は、そんなもんじゃない、極めて根源的な主張だということを確認しておきたいです。

 いろんな人がフォローしあいながら、「ここ」で幸せに暮らしていける、そういう社会が「普通」なんだ――歴史上そんな社会は現実には存在しなかったかもしれないけれど、そうだったらいいなと自分たちが選んだ方向へ進化していけるといいな。そう思います。

★参考HP:
青空より〜 「福祉の豆知識」 ←短くまとまってます
ノーマリゼーションの父 N・E・バンク−ミケルセン ←歴史を知るために
arsvi.com 用語解説「ノーマライゼーション/ノーマリゼーション」 ←詳細。詳しい参考文献リスト有り