■【心に残る言葉】「相対性の彼方」小田和正さん

 私のエンタテインメント情報の入手源は、朝の「めざましテレビ」です。一人のアーティストを長めのインタビューで紹介するコーナーが好き。最近だと、大島ミチルさん、瀬戸内寂聴さん、華原朋美さんのインタビューが心に残りました。

 今日紹介したいのは、小田和正さんの言葉です。


【謝辞】ゆうゆさんの全文テープ起こしを参考にしました。
・Time Can't Wait(BBS):2005・6・16 めざましテレビ独占インタビュー
http://www.far-east-cafe.jp/cafe/live/index.cgi?mode=view&no=111


★同世代へのエール

 インタビュアーである軽部アナウンサーは、小田さんの年齢(57歳)に注目した質問をします。
「同世代の吉田拓郎さん、井上陽水さん、財津和夫さんのことを意識しますか?」
「あいつらのことは、すごく愛おしいと思うね」と小田さん。

「しかし、その反面、社会で働く同世代の人たちについては、気になることも…?」
「結構、元気ないよね。人生、思うようにいかないなってね」

「同世代に対しエールを送っていきたいって思っていますか?」
「ほとんどの歌は本気で歌っていると、もう、そいつらのことしか浮かんでこないからね。僕の場合は…」

★アルバムタイトル「そうかな」


そうかな

  *軽部アナから「そうかな」が「相対性の彼方」の略語で
   ここにも、同世代へのエールが込められていると紹介される。
「相対性の彼方という、チョット難しい本来のタイトルに込めている思いっていうのは?」
「頑張っても、頑張っても…頑張り続けるしかないんだなっていう…
 そこの先には多分見えるものは無いんだろうけど…
 とにかく頑張るっていうのがテーマだろうなって思いですかね」

 この小田さんの言葉が胸に来ました。

★「相対性の彼方」って?

「相対性」の対義語は「絶対性」。
 相対が他のものとの比較によって定義されるのに対して、絶対はそのもの自体によって定義される。
「相対性の彼方」というタイトルは色々な意味に解釈できます。

(1)「価値観」で解釈してみる

「絶対的に正しい価値はない」「あなたの正義とわたしの正義は、どちらも”正しい”」「個人の価値観に優劣はない」という価値相対主義を自明の前提として、自分自身の人生の意味や目的や達成を考えたとき、「大きな価値に殉ずる」というような生き方はできない。

(2)「成長の尺度」で解釈してみる

「目標」という意味で考えてみたら、「ゴール」だと思っていたものがたどり着いてみたら、もっと遠くに「ゴールPart.2」が見えていた。「まだまだ上には上がいる」「自分の成長はまだまだ足りない」という、昨日の自分には勝ってるが、明日の自分には負けている。「ありたい自分」は遥か彼方だ。

(3)「他人との競争」で解釈してみる

 村上春樹の短編集に『回転木馬のデッド・ヒート』というものがある。
 回転木馬=メリーゴーランドの馬たちは、上がったり下がったりして、あたかもデッドヒート(競争)しているように回る――実際には、等間隔で位置が固定されていて、スタートとゴールの時で全く変化はない――これって、私たちのことじゃないの?

 現実社会では、抜きつ抜かれつ、デッドヒートしているように見える。けれども、その「差」は実に相対的なものだったりする。離れて見たら、やっぱり、メリーゴーランドの馬が死に物狂いで走っているようなものかもしれない。

(1)(2)(3)は「相対性」の部分についての解釈です。
 それぞれに「彼方」とよべるものはどんなものだろう?

★その先には多分見えるものはない、それでも

 小田さんの言葉――
 頑張っても、頑張っても…頑張り続けるしかないんだなっていう…
 そこの先には多分見えるものは無いんだろうけど…
 とにかく頑張る

 に重ねておきたい言葉があります。
頑張ればなんとかなると思って生きてきた人間が、
頑張ってもなんとかならない子の父親になったという現実。
気がつけば、頑張ってみたところで自分の人生も大したことひとつできていないという現実。
理想と現実のギャップがたくさんあればあるほど、それが普通なのかも知れません。

 これは『「障害児なんだ、うちの子」って言えた、おやじたち』のあとがきでレインボーおやじさんが書いている言葉です。


 谷川俊太郎さんの詩も重ねておきます。
そこへゆこうとして
ことばはつまづき
ことばをおいこそうとして
たましいはあえぎ
けれどそのたましいのさきに
かすかなともしびのようなものがみえる
そこへゆこうとして
ゆめはばくはつし
ゆめをつらぬこうとして
くらやみはかがやき
けれどそのくらやみのさきに
まだおおきなあなのようなものがみえる
〜谷川俊太郎「選ばれた場所」『クレーの絵本』所収より

 私の思いは、



 ……



 ――ここに書くのはやめておきます。
 みなさんも、それぞれに考えてもらえたらいいなあ。


【参考になった記事】
・OFF COURSE SHOPPING NAVI:小田和正 | そうかな
http://www.ybeams.com/offcourse/shop/KOda_CD/A12Sokana/A12Sokana.html

・WAVE:小田和正インタビュー:つぶやきのようなタイトルに込められた思いは深く揺るぎない
http://www.waveweb.co.jp/interview_detail.php?num=671

・思い入れ★ホームシアター★日記:「小田和正 『そうかな』〜相対性の彼方  タイトルの意味に迫る!」の段
http://samemoon.ameblo.jp/entry-6fa7ae014e791a9e0cebe5b5dc78c410.html

・こんぶさんと一緒♪: ちっとも特別じゃない、小田和正
http://anago-maki.way-nifty.com/blog/2005/05/post_67f5.html

・自閉症でもいいよね: 好きな曲
http://saesuke.cocolog-nifty.com/saenosinsaetarou/2005/06/post_b759.html