2004年01月10日

【本】自閉症スペクトル〜最初の一冊

2eb2be8a.jpg

【本】自閉症スペクトル〜最初の一冊

★1 はじめに

 カテゴリー「自閉症スペクトラム」では、しばらくの間、自閉症を学ぶための
書籍・映画などを紹介していきます。

 まず第一弾は、これ以外にないでしょう。自閉症を学ぶ際の、教科書だと思っ
ています。

★2 『自閉症スペクトル 親と専門家のためのガイドブック』

『自閉症スペクトル 親と専門家のためのガイドブック』
ローナ・ウィング 著
東京書籍 2,400円

(1)著者について
 ウィングさんは、イギリスで1970年代の初めから自閉症研究の第一人者として
活躍されています。そして、自閉症の娘をもつ母親でもあります。

(2)私とこの本との出会い
 私は、カイの障害の診断を受けた頃、様々な本やインターネットの情報を読み
漁りました。その頃の私は、心にまったく余裕がなくて、親以外の専門家の書い
たものが、冷たくて、読んでいるうちに苦しくなってきて、読めませんでした。
 そんなときにダダ父通信で紹介されていた『自閉症スペクトル』と出会いまし
た。
 専門家が書いているのに、なぜこんなにあたたかく伝わるのか?――前書き
にある日本で自閉症の子どもと出会った時のエピソードから最後まで――不思議
なほど素直な気持ちで読めました。
 あとで「ウィングさんは母親でもある」ことを知って大いに納得しました。

(3)内容
 この本は、自閉症研究の到達点とイギリスの現状を、正確で中立的に説明して
います。ウィングさん自身の言葉で要約すると――

引用はじまり(同書p.324より)
=======================================================================
成人になったときの状態は、児童期の能力と密接に関連する。しかし、どのよう
なレベルであっても、教育を通して、生活の質を改善することができる。
自閉症スペクトル障害は、脳の一部の生物学的異常による発達障害である。
複雑な遺伝的要因は原因として重要ではあるが、しかし自閉症に導きうる他の身
体的原因もある。それらを合わせて、自閉症障害の全てのレベルの人の出現率は、
おそらく1000人に約9人である。多くの方法が開発されても未だ治癒はない。
しかし今では、教育の方法、まだどのようにしてスキルを増やし障害や問題とな
る行動を軽減するか、環境と日々のプログラムをどのように構造化するかについ
ての多くの知識が蓄積されている。
=======================================================================
引用終わり

 この要約で述べられている一つ一つの意味・根拠が本書で解説されています。
すごいと思う点は、ライフステージごと、本人、家族、専門家全て、さらに利用
できる社会資源について、幅広く目配りされ簡潔明瞭な解説がなされている点で
す。

 そして、この本が解説するイギリスの状況は、日本には足りない支援サービス
の目標となるものです。「イギリスはいいなあ。じゃあ、私たちの住むところに
は何が必要なんだろう?」と考えるヒントになります。

★3 最初の1冊にしてほしい
 この本は、難しそうで少し高めなので、他の薄い入門書を手に取りがちですが、
けっきょくは遠回りになる場合があります。

 最初の1冊にぜひどうぞ!

この記事へのトラックバックURL

http://app.blog.livedoor.jp/kaipapa2shin/tb.cgi/38602
この記事へのトラックバック
私の周りでは、「自閉症」と言うのは聞くけれども、「自閉症スペクトラム」って言うのはあまり聞き覚えがないという方もいます。 今日は、カテゴリー名称にもしている「自閉症スペクトラム」について、普段私が人にお話する内容を書いておこうと思います。 注)決して今回の
■自閉症スペクラムについて■【Tamago Blog‐ It's a picture world】at 2004年01月11日 22:44
この記事へのコメント
「自閉症スペクトラム 親と専門家のためのガイドブック」は、かなり本格的な専門書です。発達心理を専門にしている方、臨床発達心理士を目指す方にはぜひ読んでほしい本ですね。本当にすばらしい本で、私も使わせてもらってます。

 私がよく行く「ジュンク堂」という本屋さんの専門書コーナーには、自閉症関係の本がずらりとならんでいるのですが、本当におすすめできる本は3冊くらい。あ、これいいなと思っていた本をカイパパさんが紹介しておられるので、ちょっと感激でした(^o^)。
Posted by Sana at 2004年01月10日 23:46
あれ〜
土日は更新しないんじゃなかったの?(爆)
とか言いながら、見に来てる私です。

私も「1冊」って言われたらこの本をお薦めしてます。
2冊持っているので、すぐ貸しちゃうんだけど、8割位の人がすぐに返してくれるんですよ。
なんでかっていうと・・・
「ちょっと読んで、コレは家においといて何度も読み返したいって思ったから買っちゃった」
そういう本ですよね。
Posted by こうまま at 2004年01月11日 00:22
>Sanaさん
「近道したければ、原典にあたれ」ですね。
 薄い入門本は手に取りやすいけれど、その中身は、原典をうすめたものだったりします。
『自閉症スペクトル』は翻訳も読みやすく装丁もきれい、見た目ほどとっつきにくくないですよね。

>こうままさん
 カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクルは「日曜・祝日定休」です☆
 土曜日はカセギ時です(朝、カイの寝てる間に……)

「ちょっと読んで、コレは家においといて何度も読み返したいって思ったから買っちゃった」←ホントそうですよね。
 読み返すたびに新たな発見があるというか(物忘れがひどいだけ?(^^;)とにかくオススメな本です。
Posted by カイパパ at 2004年01月14日 07:40