■【光とともに】ドラマ第1回をきっかけに(2)

 4月21日の記事「【光とともに】ドラマ第1回をきっかけに」は、整理しきれていない部分があって、わかりにくかったと思います(こももさん、Tamagoさん、あきちゃん、さえすけ父さん、コメントありがとうございます!)。記事のかたちで、補足します。

【あわせてお読みください】
・【光とともに】ドラマ第1回をきっかけに
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/423153.html


★光の声での独白

(光の声で)

「ぼくは、ママには夢がいっぱいあったことを知っています。
ぼくと一緒にお散歩したり、おしゃべりをしたり、ぼくといっしょにいろんなことをしたかったんだよね。
ぼくが生まれてくることを本当に、本当に、たのしみにしていたんだよね。
でも、ごめんね、ママ。ママの思っていたような子どもじゃなくて、みんなと同じじゃなくて、ごめんなさい。」

 ドラマを観たとき「光の声」での独白は、正直言って違和感がありました。その理由は、あの年齢の、知的障害のある子どもは、あんなに明確に(心の中であったとしても)言語化できないと思ったからです。

 しかし、光がモヤモヤしたかたちで、
(自分は、母親を困らせているかもしれない)
(自分は、他の子より不器用だ)
 といったことを感じていることは、ありえると思います。

 それは、私の息子カイ(4歳。知的障害を伴う自閉症)がたまに見せる、私たちの顔色をうかがうような表情や、失敗を恐れる自信なさげな様子から感じることです。

 ですから、ドラマのあのセリフを光の声で語らせたことは演出として「アリ」だと思います。母親の思いの投影と、光のモヤモヤと二つの意味が込められていると読み取れるからです。

★それがみんなの通る道

 光が「ママの思ったような子じゃなくてゴメンネ」と心の中で思っている――そう親が思ってしまう状況や親子関係は、とても悲しいことだなあと思います。
 同時に、強調しておきたいのは、

 悲しいことではあるけれど、そう思うのは避けがたいことであって、
 障害がわかり受容していく過程で誰もが必ず経験することだということです。

 私が、カイがしゃべる夢をみたのも、障害を認めたくない思いがリフレインしていたからです。

★立ち直って、わが子を支えたい

 自閉症スペクトラムの子にも、もちろん感情があります。表出化は苦手だけれど、「自分は受け入れられている・いない」ということは、敏感に感じていると思います。
 自閉症を、怖い、忌み嫌うもの、災厄だととらえているかぎりは、「ママ、ごめんね」とこの子が思うことをとめることはできないでしょう。

 私は、カイにしあわせになってほしい。「自分はこのままでいいんだ」と自尊心をもって生きてほしい。だから、早く立ち直りたかった。「ここでつぶれてどうする? 30年生きてきた自分が試されている」と歯を食いしばる思いがありました。

 そして、2年半じたばたあがいてみた。5キロもやせてしまった。けれど、なんとか乗り越えた。仲間も見つけた。その結果、必要以上に明るい私がここにいる。スペクタクル、なのかな?(^^;

 ……なんだか、いつものようには書き上げられません。あの頃を思い出し、語ることは、かたまりかけたかさぶたを、もう一度はがすような感じがします。

 影響をうけたサイトを紹介します。


【参考サイト】
・われわれの存在を嘆くな
http://member.nifty.ne.jp/unifedaut/dontmourn.htm
あなたは自閉ゆえに子どもを失ったのではない。あなたは子どもを失った。しかしそれは、あなたの待っていた子が生まれてこなかったためなのだ。それは、現に生まれて、生きている自閉の子の責任ではない。われわれ自閉者が背負うべき重荷ではない。われわれだって家族を必要としている。われわれだって、受け入れられるに値する存在だ。われわれに必要なのは、この世に生まれてさえこなかった子どもの亡霊に目を奪われるあまり、自分をまっすぐ見てくれないような家族ではない。本当の姿を見てくれて、ありのままの自分を大切にしてくれる家族なのだ。必要ならいくらでも嘆くがいい。失われた自らの夢のために。しかしわれわれのために嘆く必要はない。われわれは生きている。現実の存在なのだ。そして、ここにいて、あなたを待っているのだから。

 高機能自閉症の本人が書いたこのメッセージがいつも胸にあります。

・But He is beautiful:そういうふうに生まれてきた
http://www.geocities.co.jp/SweetHome-Brown/1467/diary02.htm
 こうままさんちの、自閉症のこうくんのお姉さん、バボーちゃんのお話――
先日、バボーがその人差し指にバンドエイドを貼ろうとしていたので見てみたら・・・
皮をむきすぎて血が出ていた。
ものすごく痛々しくて、悲しくなってしまって思わず
「何でこんな事するの???」
すっごく感情的に怒ってしまった。

普段、私は感情的に怒るって事はあんまりない。
スペシャルなこうくんを育てているので感覚が麻痺しているのかもしれないけれどかな〜り、寛容な方だと思う。
なので、必然的にバボーは怒られる事に慣れていない。
突然の母の言動にビックリして固まった後泣きそうになりながらも精一杯きっぱりとのたまった。

「バボーはそういう風に生まれてきたの!!!」

頭から冷水を浴びせられたようなショックを受けた。これまで、こうくんがおしゃべり出来ないことや、他の子とちょっと(かなり)違う行動をすることに対して
「神様がそういう風にお作りになったんだよ」とか
「もともとそういう風に決まっていた事なんだよ」とか言ってきた。
 …
バボーは分かっていたんだ。
こうくんの障害が、どうにもならないモノであることを。

バボーは指の皮をむくのは良くないって十分分かっている。
分かっているけど、どうしても我慢できなかったんだ。

「バボーはそういう風に生まれてきたの!」という言葉、うん。そうだそうだ。自分を信じられなくなりそうな時に私も叫んでいます。
「カイパパは、そういう風に生まれてきたの!!!」(*^0^*)v