■障害者支援費と介護保険との統合問題:財政制度等審議会4月13日

 障害者福祉を考える際に、国の財政に関する動きをウォッチしておく必要があります。
 障害者福祉のための施策を立案し、予算要求をするのは厚生労働省の役割ですが、その要求に対して予算をつけるかどうかは、財務省が決めます。
 障害者支援費制度と介護保険制度との統合など、社会福祉制度全体の見直しが進められようとしていますが、財務省は以下で紹介する財政制度等審議会での方針を自分たちのよりどころとして予算査定を行います。
 したがって、まだ5月ですが来年度予算に向けての動きは要チェックです。

・asahi.com : マネー:歳出削減の道筋探る 財政審 朝日新聞2004年4月8日
http://www.asahi.com/money/kaisetsu/TKY200404080120.html
 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は7日、財政制度分科会の合同部会を開き、05年度予算編成に関する論議を始めた。財政赤字が膨らんでいるため、増え続ける社会保障関係費の抑制や地方交付税などの歳出削減を中心に検討する。だが、歳出削減には、04年度予算で交付税を削られた地方自治体などの反発も強い。景気の回復傾向に水を差さずに財政再建の道筋をつけられるかどうかが焦点だ。

 この報道の続報――
・朝日新聞:来年度予算 社会保障抑制を検討 財政審 介護保険など対象 2004年4月14日 Web版なし

 財政制度等審議会は13日、05年度予算編成に向けて、高齢化の進展で増え続ける社会保障関係費を抑える方策の検討を始めた。利用者が急増する介護保険制度の見直しや、年金や医療、介護などの重複による過剰給付の抑制などが議論される。だが、年金に続く負担増には、国民からの強い反発も予想される。

 05年度予算では、利用者が急増している介護保険制度の改革が最大の焦点になる。開始から4年足らずで介護保険の利用者は約290万人に増加。04年度予算の給付費5.5兆円は、このままでは25年度は約20兆円に拡大する見込みだ。
 財政審は5月中旬に、利用者の本人負担の割合を現行の1割から医療保険並みの2〜3割へ引き上げることや、施設での居住費、食費の給付削減などを提言する構えだ。
 厚生労働省も、給付見直しの総論では財政審の考え方と一致する。00年度に始まった介護保険は5年後の見直しが法律で決まっているため、9月にも同省の案をまとめる方針だ。保険料を支払う被保険者の範囲を40歳以上から20歳以上に広げ、若い人が障害者になると介護サービスを受けられるようにすることが最大の論点だ。…

 新聞記者は勘違いをしています。現在でも、若い人が障害者になれば障害者支援費によるサービスを受けることができます。引用した最後の段落からのぞく厚生労働省の真意は、「介護保険徴収を20歳以上まで広げる。その理由として、障害者支援費と介護保険制度を統合するため、という錦の御旗を利用する」ということを意味します。
 障害者支援費と介護保険との統合は、もはや既定路線として推し進められています。

 私は『当事者主権』(66ページ以下)を読んで、介護保険の「老障一元化」(=年齢にかかわらずすべての障害に対して、必要なときに必要な介助・介護を提供しようという理念)に障害者団体が反対してきた理由を知りました。
介護保険のサービス提供額の上限が、これまで障害者当事者が獲得して自治体からの介助サービスの水準に及ばず、そのまま老少一元化を実現すれば、障害者サービスの大幅な切り下げになることが目に見えていたからである。

 カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクルは、現在の障害者支援費制度のサービス水準の引き下げになる介護保険との統合に反対です。でも、どうしたらいいんだろう?
 
(1)まず、現在必要なサービスを利用していない人は、支援費の利用を始めること。
「こういう生活が自分たちには必要だったんだ!」という当事者のニーズの証明になります。
(2)介護保険との統合問題
 介護保険と障害者支援費を考える5.16討論集会を聞いて、介護保険が保険であることのメリットを活かしつつ、段階的な統合をしていく道しか残されていない――という感触です。後日詳しく報告します。

★財政制度等審議会の建議が出ました
・財政制度等審議会:平成17年度予算編成の基本的考え方について(建議)
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/top.htm

【関連記事】

・【支援費】厚生労働省が介護保険との統合協議を呼びかけ
http://image.blog.livedoor.jp/kaipapa2shin/archives/64841.html

・【支援費】介護保険との統合 障害者8団体話し合いに応じる
http://image.blog.livedoor.jp/kaipapa2shin/archives/75783.html


【参考サイト】
・財務省:財政制度等審議会(財務相の諮問機関)公式サイト
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/top.htm

・財政制度等審議会財政制度分科会 歳出合理化部会及び財政構造改革部会合同部会
(平成16年4月13日)資料一覧
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseic/zaiseic160413.htm

 ここで4月13日に配付された資料が全て読めます。
 社会保障関係だけでも、116ページの資料です。議論の前提となる基礎データがここにそろっています。

・財政審(2004年4月13日)議事要旨
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/gijiyosi/zaiseic/zaiseic160413.htm

★財政審(2004年4月13日)議事要旨←カイパパの注目ポイント
・生活保護の対象者について「能力等を全てを活用」した上でも、という部分が制度の実態としては弱いのではないか。障害者に対し、能力を活用する努力を支援するよりも、福祉サービスをただ費消するだけの者にさせてしまっている場合も少なくない。自分が主宰する団体では、多くの障害者や高齢者が社会を支える側に回るべく努力している。何でも人に保障してもらおうという安易な風潮について、日本の社会も頭を切りかえる分水嶺に来ているのではないか。

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発言者名は明記されていませんが、竹中ナミ委員の発言でしょう。竹中さんは、「高齢者も障害者も身の丈にあったかたちで働くことができる」「そして、そこに福祉施策も注力していくべきだ」というチャレンジドのエンパワメントについて発言されたと想像するのですが、要約されることで「障害者を甘やかすな」といったニュアンスに利用されちゃっていますね……。役所は怖い。

 もう一点チェック。
・今回の建議では、介護について、介護サービス従事者に外国人を採用するなどの参入面での規制緩和を含め、「介護サービスの効率化」に重点を置いて議論すべき。

 この問題は根深い。自由貿易協定(FTA)のこととからめて、いつかお話したいと思っています。