■火消しと真因

 仕事が忙しくて、日々発生する課題やトラブルの対処に追われています。火を噴いている状態をなんとかするための「火消し」。なんとか切り抜ければ、達成感もあるし、既に一日が終わっている――なんだか仕事をした気になります。

 この状態は、「就学相談会(懇親会)で思ったこと」の記事で書いた、「マクロの問題を考え続けること」と自分の中ではつながっています(kyonさん、ほしさんコメントありがとう!)。

「問題解決」は、「火消し=対処療法」のくりかえしのことではありません。

「なぜ、火事になったのか?」の原因を見つけて、そこの真の原因に対策を打つ⇒未然防止できる

 ここまでやって、初めて「問題解決」をしたっていえるんですよね。

 火消しをして、仕事をやった気でいる状態はマズイ。
「おれがいなきゃダメだろ」みたいな自分の存在価値を誇示するような仕事のやり方がまかり通っていないか?

 福祉や教育の業界で、スーパーマンのような人がいる、奇跡のようなサービスがある、憧れの事業所がある……すごく素晴らしいこと。でも、それが全国津々浦々の「当たり前」になっていないことが問題なんだ。

「問題」がある。それを「解決する人」がいる。「解決する人」は「賞賛」を浴びている。
でも、この「賞賛」の大きさが、「問題」の根深さと、その裏表として「解決レベルの低さ=火消しに終始」を証明していると、気づいている人は気づいているんだろう。

 これは、『ぼくらの発達障害者支援法』を書いて、自分が感じていることでもあります。

 火事はすぐに消さなきゃなりません。火消しは必要な仕事です。それと同時に、スクランブル状態を脱したら、腰をすえて「真の原因」を知恵をしぼって考えなくてはならない。

【参考図書】
 トヨタ生産方式の生みの親といわれる大野耐一さんの『トヨタ生産方式』を再読しているのですが、「なぜ?を5回くりかえして、真因(真の原因)を見つけ、対策をする」ことが、シンプルに語られています。薄くてすぐ読めるので、凡百のトヨタ本を読むよりも前に、まずは「原典」にあたることをおすすめします。

 トヨタ生産方式から私が気づいたことは、別の機会に書きます。

トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして