■自閉症の人の”笑顔”

つれづれに。

「自閉症の人の笑顔のために」と私はよく言ってきたのだけれど、ある人から「”笑顔”と聞くと複雑な気持ちがする」と言われたことがあります。

その人が言われたのは、自閉症の人の中には、「いつも笑った表情」をしている人がいるということでした。つらいときも、苦しいときも、表情が変わらない。顔は笑っている。

自閉症の人に共通する苦手として、「感情を適切に外に表すこと」があります。

うちのカイのように、どちらかというと、感情が表情に出にくくてクールな印象を与える子もいれば、常に笑顔になっている人もいます。共通するのは、表情の変化の少なさです。
(もう一方で、感情が激しく出すぎる、コントロールが難しい人もいます)

メインストリームの人たちが「どうやって無意識に感情を表情へ変換しているのか」詳しいメカニズムは知りませんが、考えてみると、この感情と表情のギャップは、自閉症が「コミュニケーションの障害」と説明されることと通じているのかなと思います。
感情→表情へと行く流れの最初に「自分のこの感情は何かを認識する」ステップがあり、そこに弱さがあるのかもしれない。

カイが突然激しく泣き出すことがあります。きっかけが何か全くわからないときがあります。昔体験したイヤだった記憶がフラッシュバックしているのかもしれません。全然ちがう理由かもしれません。そんなとき私が感じるのは、いつものカイのクールな表情の中にある「感情の混沌」の存在です。

「にっこり」と「にやり」と「にんまり」と「にやにや」と、同じ笑顔でも微妙にちがうニュアンス、実際の表情から感じとるだけではなく、こうした抽象的な言葉からも違いを読みとることがメインストリームの人たちの特性なんでしょう。
自閉症の人たちは、他人の感情の機微を読みとることが苦手だと称されるけれど、そもそも自分自身の感情を認識することにハンディがあるのではないでしょうか...

あの人は笑ってるから不満がない、とか、あの人は無表情だから楽しんでないと決めつけずに、「混沌」の中にあるその人の感情をくみとる意識的な努力が必要なんだなと思います。

そして感情も、成長するんですね。
最近のカイは、本当に本当にうれしそうに笑うときが少しずつ増えてきました。そんなときの満たされた気持ちは何物にもかえがたいです。