穴を見つける会(1)(2)(3)からの続きです。

ワークショップの内容は、前回までの記事で書きました。今回は、もらった資料の復習をしてみます。

【本人を取り囲む構造図】

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この図について、ワークショップの終わりに、戸枝さんが説明をしてくれました。

「本人特性」の左右に「個人」「環境」が書いてあるところが一番印象に残りました。
「個人」がもつ特性がまずあり、そこに「環境」が掛け合わさって、「本人特性」が決まってくる。

たとえば、「個人」が持っている自閉傾向は、先天的なものだが、家庭や学校、職場といった「環境」によっては、プラスに転じる可能性がある/あった。
しかし、生まれ育ってくる間の、不適切な関わりや誤学習…、そして、今ここにある無配慮な環境によって、「障害」と呼ばれる「本人特性」が出てくる。

もって生まれた発達障害は、選んだわけではない。
早い時期に気づいて、環境を整えてあげられたら。障害の重い軽いに応じた、必要なサポートを切れ目なく続けていけたら。
実は、「本人特性」はマイルドなものになり、生きやすさは増すんですよね。

この図でいう「個人」(生まれついたもの)だけで、決定してしまうわけじゃないんだよな。
また、育ちの履歴で、決定されてしまって、もう変更が不可能なものでもない。
いつだって、今ここにある環境を整えることはできるから、「遅すぎる」なんてことはないんだ。

──と、単純な図を見ながら思いました。(今、もう一度再認識しました)

残りの、矢印と、2つの◯の説明をしますね。

本人特性から「制度」に向かって出ている矢印は、「申請」を意味しているのだと思います。
本人の求めを受けて、制度が「ここに支援が必要な人がいる」という信号を、「社会資源」に対して発して、支援が稼動し始める。

矢印が、出ない。あるいは、途切れる、という状態を思い描くと、「制度の光が当たらない穴」の存在が浮かび上がってきます。

「制度」がない。
本人の「申請」ができない。
「社会資源」がない。足りない。

どうなる?
=サポートゼロ……

「社会資源」の◯には、「フォーマル」と「インフォーマル」があります。
これは、制度化された社会資源(フォーマル)は、支援対象を特定するので、必然的にタテ割的になるのに対して、制度化されていない社会資源(インフォーマル)は、複数の主体が、横串でつながってサポートができる(可能性がある)ことを示しています。

戸枝さんのお話──
制度化すると対象別になってしまう。

セーフティ「ネット」は、穴があるから、セーフティ「シート」にならないかな。

それは、機能別につながる、ユニバーサルな支援と考えているのだけれど。
そのためには、支援者が専門性の殻を壊して、つながらないとできない。
どう思う?

(何人の人が読んでくれているか不安を覚えつつ、続きます)

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