穴を見つける会の報告最終回です。
連載記事です。(1)(2)(3)(4)(5)、特に(6)からの続きになります。

このまま行くと、穴はどんどん拡がっていく気がします。
個人がどのような“贖罪意識”をもとうとも、大きな流れは変えられない。

東日本大震災の影響で、日本はどうなるか。

数字を見ていきましょう。

例えば、自動車の生産台数が前年比5割に落ちている。生産が半減すれば、それだけ仕事がなくなります。仕事がないということは、職がなくなることに直結します。これが一時的なもので、すぐに挽回できれば雇用維持は可能ですが。

自動車産業の就業人口は、製造部門だけで88万人。販売・整備部門と資材部門も合わせると200万人を超えます(資料:日本自動車工業会)。失業者数と比較するとそのボリュームがわかります。

2011年2月分の完全失業者数(出典:総務省「労働力調査」基本集計PDF)は、302万人です。
月末1週間に少しでも仕事をした人は就業者に分類するので、パート・アルバイトや派遣・契約社員といった非正規雇用者は完全失業者数には含まれません。(参考:統計局ホームページ/労働力調査に関するQ&A

2010年10〜12月期調査の、非正規の職員・従業員は、1,797万人です。(正規は、3,354万人)
(内数:パート・アルバイトは1,238万人。労働者派遣事業所の派遣社員は92万人。契約社員・嘱託は331万人。出典:総務省「労働力調査」詳細集計PDF

2011年1月分の生活保護の受給者数は、199万9千人です。(出典:厚生労働省:福祉行政報告例(平成23年1月分概数) ※表の総数が、種類別扶助の延べ数になっているので、複数の扶助を受けている人がダブルカウントされている。実人数は、この表Excelがわかりやすい)

・asahi.com(朝日新聞社):生活保護200万人に迫る 1952年度以来の水準
http://www.asahi.com/national/update/0405/TKY201104050264.html
増加が目立つのは現役世代だ。金融危機後の09年1月と比べると、「高齢者」「母子」などの世帯が1.2倍程度。これに対し、「その他」世帯は約1.9倍と突出する。「その他」の世帯は全体の2割弱を占め、職を失った現役世代が多く含まれる。

上記の数字は、全て震災前の時点のものです。
もしも、穴にいる人の割合が増えていったら一体どうなるのでしょうか?

『ふわふわ vol.35』(PDF)(2010年12月発行。特定非営利活動法人ふわり編集)に、戸枝さんの書いた文章があります。
この国は。消費税の増税とか、介護保険料上げとか、いろいろやることをやったとしても。もう、すでに借金まみれ、超少子高齢化が止まる訳でなし。放っておくと、たくさんの人がホームレス化して行く可能性があるだろう。

そんな状態では、発達障害の人が、新たに直接サービスの対象になるという展望よりは、今、直接サービスを利用して暮らしている障害者の中からも、その傘から漏れる人が出ると考える方が、リアルじゃないだろうか。

そうだとして、どうするのか。

だから。僕達はみんな。ホームレスの方を、今、どうするのかを考え行動しないといけないのだと思う。その具体的行動が、すべての人の将来のセフティーネットになるのだと思うから。

発達障害の、知的障害の福祉関係者が張り巡らしたセフティーネットの網目をすり抜けた人達から、ホームレスが生まれている事実に。とりわけ、僕達、障害福祉に携わる人間は、何らかの答えを見つけないとダメだ。

僕達が、手帳があるとか、ないとか。そういう次元で物事を考え、仕事をしているのでは。この国の社会保障は、もう、持ち堪えない。

この文章は、もちろん震災前に書かれているのですが、これから先を予見していると思います。
だから、戸枝さんは湯浅誠さんに会い、「穴にいる人」のことを考えようとした。

それでも、まだ震災前は、「気づいているひとだけが危機感を持っている」状態でした。

「穴にいる人を救う」とかいう次元ではなく、「穴の中で大勢が暮らす」時代が来るのかもしれない。
たとえば、失業率が10%を超えてきたら、価値観が変わってくる気がします。「失業の日常化」とでもいうのかな。

(6)で書いたような、「お客様は神様です」、「より少ない人数でより高いサービスを」の圧力を、ゆるめてはどうか? それは、私たち自身が職業人として、“お客様”としての要求レベルを下げるということです。意識だけではなく、制度的にも。

仕事を創りだす人を励ますこと、仕事を分け合うこと、アンペイドの社会参加を楽しむこと──そんな程度しか、今は思いつかないけど。

穴の中で、みんなで助けあって暮らし、時々はお祭りを楽しむような時代も、ありえるのかな? それでも、死んだり、殺し合ったりせず、しあわせに暮らせるあり方を考えたい。

──こんなことを、考えるにいたりました。

穴を見つける会の連載は、いったん終わりです。

ブログに書いてよかったです。
これから先、自分が考えて取り組んでいくヒントをたくさん見つけることができました。

自分は、震災をターニングポイントにして、この「閉塞感」から光の射す方向へよじのぼっていけたらいいと考えています。

みなさんの感じていらっしゃることを教えてもらえるとうれしいです。
長文におつきあいいただき、ありがとうございました。