このブログで、選挙について語ることは初めてですが、どうにも不思議な結果に思えて、データをもとに分析しておきたいと思い、書きました。
まず、2012年衆議院選挙の結果です。
自民294、民主57、維新54、公明31、みんな18、未来9、共産8、社民2、大地1、国民1、無所属5
衆議院450議席中、自民党が294議席(獲得議席率65.3%)を占めました。野党第一党が民主党57議席ですから、自民党の完勝です。
内田樹先生が、小選挙区制のねらいについて、こう書いています。
・選挙結果について (内田樹の研究室)
http://blog.tatsuru.com/2012/12/17_1053.php
安倍自民党が掲げた政権公約があるわけですが、絶対安定多数の議席を獲得した結果を、国民が「原発推進を選んだ」とか「右傾化した」とか「改憲に舵を切った」といったふうに、急激に大量に価値観を変えたといったふうに受けとめるのは実像に合っているのでしょうか。少なくとも、自分の実感とは大きなずれがあります。
そこで、党派別得票数(どの政党が何票獲得したか)と獲得議席率(当選議席数の全体に占める率)のデータでふりかえってみたいと思います。中日新聞12月17日朝刊に掲載されていた表にもとづいています。
この表によると、自民党の得票率は、小選挙区で43.01%、比例代表では27.66%となっています。それぞれ獲得議席率を並べて見てみましょう。
<自民党>
小選挙区 得票率 43.01% ⇒ 小選挙区における獲得議席率 79.00%
比例代表 得票率 27.66% ⇒ 比例代表における獲得議席率 31.63%
小選挙区の獲得議席率の高さが際立っています。
小選挙区では他候補者より1票でも多ければ議席を総取りする仕組みだからですね。自民党は、得票率2位の民主党(得票率22.81%⇒獲得議席率9.00%)を大きく引き離していますから、小選挙区での結果によって「地滑り的勝利」が起きています。
それから、注目したいのは、公明党の小選挙区と比例代表の得票率の差です。
<公明党>
小選挙区 得票率 1.48% ⇒ 同 獲得議席率 3.00%
比例代表 得票率 11.84% ⇒ 同 獲得議席率 11.86%
これは公明党が、小選挙区での立候補者をしぼりこみ、連立相手である自民党候補への投票に協力しており、比例代表では公明党支持者が公明党にダイレクトに投票しているからではないでしょうか。
小選挙区と比例での投票先の使い分ける投票行動は、意識的に行われているのでしょうし、自民党が公明党と手を結び続ける理由がここから見て取れます。次回の選挙で、公明党支持者が小選挙区で自民党以外に選挙協力をした場合、結果が逆にブレる可能性が高いので、今回自民党が単独過半数を大きく超えていても、公明党と連立政権を組まない選択肢はないのだと予想します。
【参照記事】
中日新聞の表そのものはウェブに掲載されていないので、参考記事を貼っておきます。
・自民、得票4割で議席8割=小選挙区の特性浮き彫り【12衆院選】:gooニュース(時事通信社配信記事)
http://news.goo.ne.jp/article/jiji_elex/politics/elex/jiji-121217X616.html
まず、2012年衆議院選挙の結果です。
自民294、民主57、維新54、公明31、みんな18、未来9、共産8、社民2、大地1、国民1、無所属5
衆議院450議席中、自民党が294議席(獲得議席率65.3%)を占めました。野党第一党が民主党57議席ですから、自民党の完勝です。
内田樹先生が、小選挙区制のねらいについて、こう書いています。
小選挙区制は得票率と議席率が同期しない制度であり、わずかな「風向き」の変化で、ドミノ倒しのように一政党が地滑り的勝利を収めるように制度設計されている。
…略…
それよりは「わずかな入力差が大きな出力差となる」複雑系モデルの方が、有権者の変化を反映しやすいし、なにより政治家にひりひりした緊張感を与えることができる。
定常的であるより、頻繁に揺れ動く「不安定な政体」の方が「生命」の本態に近いのではないかと、そう考えた人がいたのだろう。
なかなかの知恵者である。
・選挙結果について (内田樹の研究室)
http://blog.tatsuru.com/2012/12/17_1053.php
安倍自民党が掲げた政権公約があるわけですが、絶対安定多数の議席を獲得した結果を、国民が「原発推進を選んだ」とか「右傾化した」とか「改憲に舵を切った」といったふうに、急激に大量に価値観を変えたといったふうに受けとめるのは実像に合っているのでしょうか。少なくとも、自分の実感とは大きなずれがあります。
そこで、党派別得票数(どの政党が何票獲得したか)と獲得議席率(当選議席数の全体に占める率)のデータでふりかえってみたいと思います。中日新聞12月17日朝刊に掲載されていた表にもとづいています。
この表によると、自民党の得票率は、小選挙区で43.01%、比例代表では27.66%となっています。それぞれ獲得議席率を並べて見てみましょう。
<自民党>
小選挙区 得票率 43.01% ⇒ 小選挙区における獲得議席率 79.00%
比例代表 得票率 27.66% ⇒ 比例代表における獲得議席率 31.63%
小選挙区の獲得議席率の高さが際立っています。
小選挙区では他候補者より1票でも多ければ議席を総取りする仕組みだからですね。自民党は、得票率2位の民主党(得票率22.81%⇒獲得議席率9.00%)を大きく引き離していますから、小選挙区での結果によって「地滑り的勝利」が起きています。
それから、注目したいのは、公明党の小選挙区と比例代表の得票率の差です。
<公明党>
小選挙区 得票率 1.48% ⇒ 同 獲得議席率 3.00%
比例代表 得票率 11.84% ⇒ 同 獲得議席率 11.86%
これは公明党が、小選挙区での立候補者をしぼりこみ、連立相手である自民党候補への投票に協力しており、比例代表では公明党支持者が公明党にダイレクトに投票しているからではないでしょうか。
小選挙区と比例での投票先の使い分ける投票行動は、意識的に行われているのでしょうし、自民党が公明党と手を結び続ける理由がここから見て取れます。次回の選挙で、公明党支持者が小選挙区で自民党以外に選挙協力をした場合、結果が逆にブレる可能性が高いので、今回自民党が単独過半数を大きく超えていても、公明党と連立政権を組まない選択肢はないのだと予想します。
【参照記事】
中日新聞の表そのものはウェブに掲載されていないので、参考記事を貼っておきます。
・自民、得票4割で議席8割=小選挙区の特性浮き彫り【12衆院選】:gooニュース(時事通信社配信記事)
http://news.goo.ne.jp/article/jiji_elex/politics/elex/jiji-121217X616.html
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