アメリカ精神医学会で『精神障害の診断と統計の手引き』第5版(DSM-5)が承認されたと、wired_jpの記事が速報しています。

・精神疾患のマニュアルが改訂:病気の定義とは
http://wired.jp/2012/12/21/mentalhealth/ 
(元記事は、WIRED NEWS (Italian))

以下が、DSM第5版の主要な(そして議論の的となっている)点のいくつかである。WIRED.ITでは、そのいくつかを数カ月前に予想していた。

まず、自閉症だ。DSMの新版では、自閉性障害の項目から、より一般的で総括的な自閉性スペクトラムへと移行する。診断書をつくる医師たちの助けとなるように、DSMはこのスペクトラムに含まれるさまざまな精神障害に関係する基準に適合する患者たちの、具体的な例を記載している。

この見直しにおいて最も論議を呼んでいる点が、アスペルガー症候群である。これは社会生活への適応に関する精神障害のごく軽度なもので、第4版では独立した番号(299.80)をもっていたが、自閉症スペクトラムに組み入れられるようになった。…

この他、「特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)」も、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder)に組み入れられるようです。

日本では、2005年施行の発達障害者支援法が、「発達障害」を定義を第2条第1項で次のように定めています。
この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発言するものとして政令で定めるものをいう。

日本にも、影響はあるのでしょうか?

・アメリカ精神医学会のDSM-5のホームページを見ると、2013年5月に正式リリース予定のようです。
http://www.dsm5.org/Pages/Default.aspx

上のWIRED記事で少し触れられている、今年1月のNew York TimesのDSM改訂の影響についての記事について、ベムさんが検討記事を書かれています。

・DSM-5:自閉症スペクトラム障害の診断基準変更に伴うインパクトに関する報道について - ベムのメモ帳Z
http://d.hatena.ne.jp/bem21st/20120122/p1


■New Definition of Autism Will Exclude Many, Study Suggests-New York Times
(新たな自閉症の定義は多くの人を締め出すと研究は示唆します)
http://www.nytimes.com/2012/01/20/health/research/new-autism-definition-would-exclude-many-study-suggests.html?_r=0

長年、現在の診断基準の曖昧さが自閉症とその関連障害の診断率上昇に寄与したと多くの専門家が指摘してきたということであり、DSMが第4版から第5版に改訂されるに当たっては、専門家の多くが自閉症の診断基準が明確になるとともに、それに伴ってその範囲が狭くなることを予想しているとのことです。

ちなみに、ベムさんはブログを引越しされて、現在のブログは、ベムのメモ帳V3です。

また、障害区分に関しての記事ではありませんが、afcpさんが、DSM-5についての興味深い考察を書かれています。

・DSM-5における「V軸」の扱いー国際生活機能分類(ICF)への接近?ー - A Fickle Child Psychiatrist
http://www.afcp.jp/entry/2012/06/09/213209
…ICFは医学的モデルにとどまらない社会的モデルをも包含した分類を提唱しています。ICFでは人の生活機能を健康状態、心身機能・身体構造、活動と参加、環境因子、個人因子の相互作用としてコーディングしていきます。このうち健康状態は主に国際疾病分類(ICD)によってコードされ、ICFがその他の部分の分類を規定しているのです。

このように disorders と disabilities を分けていくやり方、そこに環境と個人の因子の寄与を考慮していくやり方は、医師には比較的馴染みのないものだと思います。DSM-5の体系にこうした評価が入ってくると、日本でも精神科医の教育は多少変わってくることになるのかもしれません。

診断への影響については正直よくわかりませんが、障害概念の変化は興味深いです。

米国での診断基準のガイドラインの変更が、日本の医療にどのように影響するのか? そして、それが障害者福祉にどのような影響を与えるのか? さらに、わが子やこの障害をもつ人たち、そしてこれから診断される人たちにどんな影響があるのか?

正式リリースも来年5月ですから。専門家の解説と予想を待ちたいと思います。

(追記)
DSMの"Autism Spectrum Disorder"を訳すと、"自閉症スペクトラム「障害」"となりますが、日本での診断名は、「自閉症スペクトラム」だけの方向で行くといいなあと思っています。

(蛇足)
ちなみに、このブログタイトルは、お察しのとおり「自閉症スペクトラム」に「スペクタクル」をかけています。すみません、これで10年やってきています(^^;

・HPタイトルの由来について
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/26415.html

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