親として同じ境遇の若い親御さんたちに伝えなきゃならないことは、実は私たちは「失敗の連続」でここまで来たということです。

カイが診断を受けてから就学前の時期が、私が一番自閉症の勉強をした時期でした。「こうすればうまくいく」という様々な方法を、勉強することはとても大切です。
けれども、教えてもらったことを帰宅してすぐにやってみたとしても、ほぼ100%失敗しました。
なぜ失敗するのかも、その時はわかりませんでした。

役に立ったのは、原理原則的な、「自閉症とはこういう障害だ」という理解でした。「氷山モデル」は、いつになっても、発想のヒントになります。

「こうすると失敗する」(「すべからず集」)は役に立つことが多いです。

たとえば、「声かけは理解できない」「大きな声での指示はかえって怯えさせる」「視界に入るところに、触ってほしくない物は置かない」とか。

幼いうちは特に、親もエネルギーがあるので、がんばって色々なトライをして、失敗をします。やりすぎてしまうことも。
そして、どこかで「こんなのは役に立たない」「うちの子のレベルでは無理だ」とあきらめてしまいます。

いま振り返ってみれば、失敗の要因は、子どもの「その時の能力レベル」を見誤るところにあったんだと思います。「今は、まだその時期ではなかった」ということ。

子どもの成長のスピードが、多数派の発達とは全くちがうのですが、目に見えないところで、少しずつ少しずつ伸びていきます。

ところが、親は、もうある時点で「あきらめている」ので、前に失敗したことをもう一度試してみようとはしないんですよね。「できない」と見くびってしまっている。
大人である自分と同じように子どもを固定化して見てしまう失敗です。

そこを、親以外の、教員やヘルパーが「(親御さんはできないと言っていたけど…)やれるんじゃないか?」と思ってトライしてくれることで、「できるようになっていた」とわかることが結構あるんです。

親の失敗体験によって、失っている子どもの成長の機会というものが、たくさんあるんだと、13歳の子どもを育てていて思うのです。
この、↑「親」は、「教師」や「ヘルパー」や「医師」「専門家」で置き換えることもできるんじゃないでしょうか? 長い期間ずっと見てきた経験が、邪魔をしてしまうところが。

時間をおいて、もう一度トライしてみることが大切。
そして、やっぱり、親だけで子どもを囲い込んではいけないんだと思います。
色々なタイミングで、様々な人々に関わってもらうことで、「発見」を待っている能力がある。

子どもの成長を見くびることこそが、最大の失敗だ。と最近強く思います。

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