私にとって、尾崎豊は、単純に「好きだ」とは言えない特別な存在です。

LIVE CORE 完全版 ~ YUTAKA OZAKI IN TOKYO DOME 1988・9・12 (Blu-ray)
LIVE CORE 完全版 ~ YUTAKA OZAKI IN TOKYO DOME 1988・9・12 (Blu-ray) [Blu-ray]


1988年9月12日に東京ドームで行われた尾崎豊のライブ"LIVE CORE"の全曲レビューをします。長いよ!
尾崎、のどの調子が最悪。リハーサルでは話し声も出ていない。しかし、5万5千人が待っている。逃げ出せない。やるしかない。

オープニングは「COLD WIND」。続いて「・ISM」。出したばかりの最新アルバム「街路樹」から。
高音が出ない。どうする? ファルセットが出ないからウィスパーに切り変えたり、苦心してうたう。うたいつづける。

「Driving All Night」はシャウトできず、セリフっぽくしのぐ。こんなはずじゃない。見てて痛々しい。壊れた声。

4曲め「彼」で、少し声が出てくる。「米軍キャンプ」は弾き語り、たっぷりと間を取りながら、のどを整えていく。声が出てきた!

「Teenage Blues」高音は厳しいが、すごくいい。

「猫」、今まで聴いた中で最高だ。涙なしには聴けない。

そして、「Forget me not」。ぼくはこのうたが一番好きなのだけど。泣いた。魂がうたっている。ボロボロだよ。

「LIFE」「時」は、のどを使い果たして、また、声が出ない。音程も不安定。のどをつぶしてうたう。しゃがみこみ、マイクにかがみこみ、口を押しつけて声をしぼりこむ。これはきつい。だが、聴かせる。尾崎だ。

オザキー!オザキー!必死で応援する声。

ライトがつき、初めて話をする。「何か」を観客席に向かって投げる。
「今投げたのは、おれの夢だから、壊さないように」
きゃーーーオザキーーーと悲鳴のような叫び声。

そして「卒業」だ!
ガラガラのしゃがれ声の卒業。ピアノの弾き語りもかっこいいなあ。

「遠い空」すごいいい笑顔ーーー。キャッチーでいい曲。肩の力抜いてうたっている。

「Scrap Alley」これは高音きついぞ。マイクに、言葉を叩きこんでいく。すごいな。コーラスの踊りがチラッと映る。あはは80’sだ。この曲もだいすき。

「Say goodbye! あの日より幸せになってくれー!」

MCは無い。がんがん名曲ラッシュだ。
次は、「Scrambling Rock'n Roll」舞台から飛び降りた! ステージにもどるが、寝転がったままうたってる。気持ちよさそう。この消耗の凄さって、経験してみないとわかんないね、きっと。自由になりたくないカーイ?

尾崎、からだがぐにゃぐにゃしている。足元がおぼつかないみたい。大丈夫かっ。
ジャケット脱いだ、投げた。きゃーーーー!

尾崎コール! 煽っている。にやりと笑って。
「おまえらはあいかわらずだな」
「ロックロールしてるかい?」
「ロックンロールは好きか?」
「3階のみんなは元気か」
「みやげ話はたくさんあるが、今日はやめとくぜ」

バンド紹介。白シャツの尾崎カッコイイ。

「オンザサクスフォーン」間があって「みんなカレー食ったことあるよな? 本多俊之」(何のこと??笑)

「Scrambling Rock'n Roll」うたにもどった。側転失敗あぶないっ。疲れて座り込み、床にへたりこむ。スピーカーのネットとたわむれる尾崎かわいいな。

「紙切れとバイブル」これは街路樹に収録されたロックナンバー。全体として暗いトーンのアルバムのなかで陽気なナンバー。抽象度があがっていく歌詞。ライブで聴くといいな。セリフ来た。尾崎はわざと低い声をつくって芝居声で話すんだよね。

「Freeze Moon」また良い感じになってきた!胸を張る尾崎かわいいっ。うぉーうぉーうぉーうぉうぉーぅおー♪

また寝転がってうたってる。ぐにゃぐにゃおざき

「ボンネットに寝転んでる奴らわ−… いったいなんだったんだーきっと何もかもがちがう何もかもがちがう何もかもがちがう」

「いったいなにができる。今夜夢みたいみたいに俺は生きて行きたい」

「十七歳の地図」少しスローペースでサウンドもおさえめ。しゃがれた声で魂を届けるうた。のどがつらそう。でもうまいなあ。こんな人みたことないよ。

「路上のルール」音を上げろとなんども指を天に向ける。少しだけ水分をとる。

休みなく次は「愛の消えた街」この頃の詩は、小説のようにストーリーがある。小さく丸くうずくまってうたえなくなる。PONTAさんのドラムソロすげえカッコイイ。

「核(CORE)」実はこの曲大好き。この不安な感じが、絶叫に変わっていく。おおおー、ここからバンドが入るのか、かっこいいぞ。声が、、、ギリギリだ。

「太陽の破片」すっくと立って、客席に語りかけるようにうたう。牢獄の中でつくったこのうたに「思い」を込めて届けている。
ここまでステージの演出はほとんどなかったが、この曲ではステージの下から、光の柱が出ている。太陽の破片のように。君を守りたい。かなしみこぼれぬよう。完璧にうたった。
光の柱が動き、回り始める。このライブで一番たいせつなうただったんだ……

「街路樹」やさしい顔でうたっている。希望のあるラブソングだとあらためて認識した。しっかりとおじぎをする尾崎。何度もおじぎをして、いったん退場。バンドの演奏がこれまたいいんだ。控え室にいる尾崎の顔がちらっと映る。戦っている目をしている。バンド退場。

ステージに光があふれる。客電は消えたまま。アンコールコール。

観客が映し出される。会場若いな! 高校の制服姿がたくさんいる。80’sだなあ!

さあアンコールだ。白いTシャツに着替えた尾崎が再びステージへ。超かっこいい。

いたずらっぽく笑う。ギターを肩に。「シェリー」……

「シェリー」ギター一本で弾き語り。語りかけるように、これは、、、なんというんだろう。歌詞も、メロディーも、忠実にうたっているのだけれど、CDのうたとはちがう。
「メッセージ」そのものが、ごろんと転がり出てくるような印象だ。語りが入る。

「俺だけがかなしいだけじゃない。それに気がつかずにいた」
「俺の今言いたいことは、こぼす涙や、俺の裏切りや、傷つけられた傷が。だけど、誇り高く生きていけたら…」

圧巻だった。

深々と礼。いい笑顔だ。そして「I Love You」

「I Love You」いつもこの曲はとてもやさしい顔でうたっている。いとおしさを込めて。尾崎自身もこのうたをとてもたいせつにしていたんだろうな。すごくいい顔。間奏の間の、はにかんでるみたいなポーズがかわいい。ほっとした笑顔で、深々と最敬礼。

「理由」もう一度ギターを持って、しばらく弦を確かめている。おもむろに、うたいだす。
アルバムのアレンジとちがって、ゆったりと力を抜いて若々しく聴こえる。
シェリー、I Love You、理由、この並びにも意味があるね。傷つき、壊れかけ、またもどってきて。「僕はきみを守るのに、僕はきみの理由を奪う」

ステージの中央、下手、上手に行って、それぞれ深々と礼。すてきだなあ。もう一曲やるぞ。

すごいいい笑顔!!!

「僕が僕であるために」だ。歓声が上がる。

自信に満ちた顔。何もかも悪いものが抜け落ちて、すがすがしい美しい姿だ。客席をすごくきれいな眼差しで見つめながら、笑顔でうたう。見ているこちらがうれしくなる。浄化されるよ。
「なれあいのように暮らしても、きみを傷つけてばかりさ。こんなにもきみのこと好きだけど、明日さえも教えてやれないから」

客席が映る。みんな、立ち尽くして、口ずさんでる。すごい画だ。

手を振る尾崎。深々と礼をして、ころびそうになり! 笑う。

「またどっかで会おうね」