ビートルズのなかでは、ジョンとポールの才能が圧倒的で、ジョージやリンゴはフォロワー的存在だった。
だから、欲求不満だったろうとずっと思っていたけれど、実はジョージやリンゴはとてつもなく楽しかったんじゃないかと思った。

ジョンとポールは自分たちの才能を自覚していて、「どこに行くか」を知っていた。「どうやっていくか」を考えることはあっても、行く先はわかっていた。ところが、ジョージとリンゴは、行き先のわからないバンドワゴンに乗り込んで、自分では絶対にできないこと、いけない世界を毎日見せてもらっていると感謝していたんじゃないかな?
そして、天才に感化されて、自分たちの中にある才能を開花させて行った。「お得」だったのは彼らの方だ。

天才たちが行く先に、どこまでもお供するぜ!という気分だったのかも。子分扱いされて不満だったんじゃないか?と思うのは外野の勘ぐりできっとスペクタクルだったにちがいない。

才能ある人のそばにいることは、辛いときもあるけど、この上なきしあわせなんだ。

だから、天才は迷うことなく突っ走ればいい。そして、フォロワーは思う存分ついていこう。

ビートルズの4人は「仲間」だったんだ。何よりも前に。
ジョンとポールの圧倒的な天才が開花していく時に、ジョージは「あ、スゲー」ってびっくりした瞬間があったと思う。「負けるもんか」と思った反応も経て、「付いて行こう」になり、「おれにもできるかも」ってところまで引き出されていった。
そういう「仲間」って最高だ。だから、どれだけ傷つけあっても、お互いを思い合う気持ちは消えなかったんだ。