・成年後見訴訟:政府が控訴 選挙権喪失巡り「混乱を回避」− 毎日jp(毎日新聞)2013年3月28日
http://mainichi.jp/select/news/20130328k0000m010027000c.html
 政府は27日、成年後見人が付いた人は選挙権を失うと定めた公職選挙法の規定を違憲と判断した東京地裁判決について、東京高裁に控訴した。新藤義孝総務相は同日、記者会見し、控訴の理由を「今回の違憲判決が確定すると、全国各地の選挙で直ちに成年被後見人の取り扱いが混乱する」と説明した。

この訴訟について、提訴時から注目していました。違憲判決が出て、控訴を見送るかもしれないという観測もありましたが、国が控訴しました。

・成年後見訴訟控訴:法改正、各論で賛否 今国会成立は困難− 毎日jp(毎日新聞) *解説記事
http://mainichi.jp/select/news/20130328k0000m010126000c.html

そもそも、認知に障害がある人が投票できない定めになっていることについて、根源的に感じていることを書きます。

成年後見人をつけられた人の選挙権の話で、二言目には「不正投票の防止」が出てくるのはなぜなんでしょうか?
それを口にして違和感を感じないことが、逆に不思議です。

その人がイメージしている「不正」の内容を具体的に明らかにして語ってほしいと思います。
国は、成年後見選挙権回復訴訟で「不正投票の誘導が行われる恐れがある」と主張しました。

しかし、この主張は、「認知に障害がある人は投票の判断ができず、他人の『あやつり人形』になるに違いない」という決めつけのようにわたしには聞こえます。

この主張を退けた東京地裁判決が正しいと思います。

東京地裁2013年3月14日の判決要旨から抜粋。
■「選挙の公正」を害するおそれがあるか
 能力がない者に選挙権を付与すると、第三者が不正な働きかけをしたり、白票や候補者以外の票を投じたりして不公正、不適正な投票がありうる。しかし、その頻度が相当高く、結果に影響を生じさせかねないなど選挙の公正が害されるおそれがあると認める事実は見いだしがたく、推認する証拠もない。

今回違憲とされた公職選挙法の規定が改正されたとしても、現行の本人確認のやり方や、自筆で候補者名や政党名を書かなければならない選挙は、実質的には選挙権が行使できないひとがいます。

「成年後見人がついたら一律に選挙権停止」なんていう"手抜き"をしている場合ではなく、
認知に障害があっても、選挙権を実質的に行使できるようにする方法のくふうに取り組んでいただきたい。

「投票率が低い」ことが非難がましく言われますが、選挙権があっても投票に行かない人の中には、「わからないから」「行けない」人が相当数いると思うのです。
「投票者フレンドリーな選挙」がいいです。

そして、結局戻っていくのは「私たちのことを私たちのいないところで決めないで」という原則です。

選挙にも参加ができないなんて。
国が、「排除」をして平気な顔をしているような気がしてします。
選挙権のような人権(社会の決定に参加する権利)が、「奪われていても当たり前」とされていることをスルーしてはいけないんだ。そう思います。


<参考にしたサイト>
・障害者欠格条項をなくす会(エッセイ):被後見人の選挙権回復訴訟
http://www.dpi-japan.org/friend/restrict/essay/koukennin01.html

・障害者欠格条項をなくす会(エッセイ):また せんきょに 行きたい
http://www.dpi-japan.org/friend/restrict/essay/koukennin02.html

・「べからず選挙法」の打破を1 成年被後見人の選挙権はく奪は違憲 3・28国に控訴させないためにご協力を - Everyone says I love you !
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/c4c38af9505b065592e16e0af73899cc