昨日は、一般社団法人しんが主催する「精神-発達障がいによる社会的孤立を地域でどう支えるか?」をテーマにした集まりに参加してきました。

■「しん」の紹介

・一般社団法人しん:8月24日開催「精神-発達障がいによる社会的孤立を地域でどう支えるか?」
http://syadanshin.jimdo.com/2013/08/24/精神-発達障がいによる社会的孤立を地域でどう支えるか/

しんは、名古屋市西区を中心に活動する精神・発達障がいをもつ方が、その人らしく人生に希望を持って生活していくことを全力で応援する団体です。
カイパパは、縁あって、代表の本間さん、副代表の中山さんが法人を設立する前に出会うことができ、その時以来、活動に注目し、応援をしています。

・より詳しくは、しんのサイトをご覧ください。
http://syadanshin.jimdo.com

■夢叶レンジャーとは?

今回の集まりは、しんが始めた「夢叶レンジャー」(=夢が叶(かな)うと書いて「むーと」と読みます)の募集が目的のものでした。
MUTO1

夢叶レンジャーとは、精神障がいを持つ方の「社会参加」を応援する一般社団法人しんのボランティアスタッフです。
医療福祉制度では、不足しがちな支援や活動の企画・運営を行います。
制度では追いつかない最先端の地域課題に取り組みます。

この文をお読みいただいて気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、私が関わっている草の根ささえあいプロジェクトの理念と重なり、社会参加を応援する実践に取り組もうとしている「しん」に対して、私が持っている経験を提供できたらいいなと思っています。

■「精神-発達障がいによる社会的孤立を地域でどう支えるか?」に参加して

会場に着いてまず驚いたのは(カイパパ遅刻しました…)、30名超の方が参加していたことです。このテーマで、初回で、この人数はすごい。いかに、しんが慕われて、期待されているかがわかります。また、参加者の立場も、当事者が一番多くて(!)、家族、支援者、学生、一般の方など幅広いところもうれしかったです。それぞれの立場から見えるものは違うし、持ち寄れるものも異なるからこそ、どうすれば、社会的孤立を地域で支えられるのか?を一緒に考える意義が大きいです。

内容は以下のとおりです。

(1)しん代表の本間さんからのオリエンテーション
 精神障がいが置かれている日本の現状(自殺のデータは何回見てもショックでした)と夢叶でやろうとしていることを説明。

(2)当事者のお話
 アスペルガー症候群があり、8年前に統合失調症を発症された女性(Lさん)の体験談をお聞きしました。

(3)グループワーク 
 「精神発達障がいにより社会的に孤立したらどのような支援を希望するか?」を5つのグループに分かれてワークショップ形式で話し合いました。

(4)交流会
 これには参加できませんでした。次回はぜひ。

私にとっては、Lさんのお話を聴けたことが本当によかったです。

子ども時代のいじめのことや、病気を発症したきっかけ(Lさんは「壊れてしまった」と表現しました)。周りの人たちから見放されて孤立してしまった。その間、ずっと、お姉さんが唯一の社会とのつながりだった。姉夫婦との同居、デイサービスとの出会い、就労移行支援を受けて、職を見つけて、今は一人暮らしをしている──

Lさんは、ノートにびっしりと手書きした内容を読み上げるかたちでお話をされました。一見淡々としてみえましたが、私はすぐ近くにいたので、彼女の声の震えや息づかい、半ばからずっと手がブルブルと震わせながらお話をされている様子がよくわかりました。何度も、涙しました。

感想として、私が話したことです。
家族(お姉さん)がいてくれて本当によかったと思う。自分も、家族だから、唯一の味方として、自分がボロボロになっても必死になって守ろうとする気持ちがわかる。だけど、Lさんのお話を、『だから、家族がいれば大丈夫。家族がやればいいんだ』と結びつけてほしくない。家族がいない人はどうするのか? 家族にも事情があって、支援できない場合も多い。支援したことによって家族が病気になったり、家族関係が壊れてしまうこともある。

この思いを胸に、グループワークにのぞみました。

近頃毎週のようにワークショップをやっている気がするのですが、初めての人たちと話すのはとてもいいですね。自分の頭が、いつもと別の働き方をするのがわかります。特に今回はLさんの体験談をみんなで聴いたあとだったので、私は、「家族(姉)が一番支えてくれたのだけど、姉依存になってしまって姉をボロボロにしてしまった。そして、今関係を修復の過程にいる。」ことを意識して、付箋出しをしました。

MUTO2

グループワークの成果です。

写真の下のほうにある「依存」についての付箋は私が出しました(緑色の文字の付箋がカイパパ)。
・自立って何だ? どうなったら自立したといえるのか?
・自立できていないと、「対立(孤立)」⇔「依存」の2択になってしまう。
・だけど、自立できるようになる前に、「依存」を許してほしい。
・甘えて、受け入れてくれる人(たち)、人間関係が必要だと思う。

子どもが大人になっていく過程で、甘えて受け入れられたことが自分で立つための「地面」をつくると思うからだ(このことは、起業の学校の関戸校長から教わった。)

けれども、この関係性を、「大人」になってから、「病気」「障害」を抱えて、「他人」との間で得ることは非常に難しい。また、依存の関係性を提供する支援機関などはない(「あってはならない」とは言わないが、大きなリスクがある)。

「友達」「仲間」というキーワードがたくさん出ましたが、私は、「家族」や「恋人」のような1対1の関係性(だけ)ではなく、たくさんの(私のイメージでは5名以上の)多様な「友達」が、「甘え」や「依存」をパートパートで受け入れる関係性を築けたら、ひとつの解決の方向性になるんじゃないかと思っています。
このあたりを、夢叶で次回以降話し合っていきたいなと思います。
MUTO3

これは、夢叶くんを立体にしてしまったぬいぐるみです。オズの魔法使いのカカシさんを連想しました。

最後に、一緒にワークをした就労移行支援事業所で支援員Nさんの言葉を書き留めておきます。
「目標が必要」

支えられるばっかりじゃない、「誰かの役に立つ」とか、「役割を持つ」という目標が、生きていくための支えになる。



【次回の開催案内】

「夢叶(ムート)」のこの会は継続して開催していきます。
次回は、9月です。

「精神発達障がいによる社会的孤立を地域でどう支えるか?#2」

・日時:2013年9月29日(日) 14:00〜17:00

・場所:一般社団法人しん事務所
   名古屋市西区花の木3−17−14 第一新日本ビル2F

お申込および詳細は こくちーず をご覧ください。