12月8日「ケアホームをみんなで考える勉強会」報告の最終回(その4)です。書きあぐねて、こんなに遅くなりました。長いですが、最後まで読んでいただきたいです。

勉強会の内容については、その1その2その3を参照してください。

■勉強会後のつぶやき

勉強会が終わった夜、わたしはFacebookでこんなことを書きました。
それから、やっぱり支援者と親との間には、見えない川が流れている。それは、否定しても仕方のない事実であり、立場の違いをプラスに変えられるようにしたいと思いました。

その「川」が何なのか? これほど支援者も、親も、参加して真剣に熱意を持って参加した勉強会の感想が何故それなのか? 自分でも違和感がありました。そのことを考えたいと思います。

■ある支援者のなげき

ある支援者が、こう語っていました。
親の人から、「あんたを信じていたのに裏切られた」と言われたことが、ずっと理解できなかった。
自分は、直接介助はしなくなったが、経営者として組織を作り、もっと多くのサービスを安定的に提供できるようにしたのに。

──この親の「裏切られた」という気持ちを、わたしは理解できる気がします。

信頼する「この人」にわが子の生活を託したい。「託せる」と思える人に出会い、安心して自分はフェードアウトしたいと願ったことのない親はいないはずだから。

一方で、「どうして裏切り者呼ばわりされるのか理解できない」支援者の気持ちもよくわかります。

「自分が一人で直接支援するよりも、人垣のように、多くの支援者が関わり支える仕組みを作ったのに」なぜ、このような言われようをしなければならないのか。

ここにあるすれ違い(意識の断絶)に、わたしが感じた「川」の意味を気づくヒントがありました。

■支援者は「機能」。有限責任。

支援者は、「機能」。必要な支援を提供する。
誰がその「機能」を果たすかは代替可能な存在。代わりとなる人はいる。質をクリアした支援を提供できればよい。
代わりがいるからこそ、長期的に継続できる。
責任は有限のものとして果たされる。

■親は、「存在」そのもの

親は、親という「存在」そのもの。
子どもを育てることから、必要な環境を与えることや日々の支援まで「機能」を含んでいるが、
唯一であり、代替が難しく、寿命に制限される一回限りの「存在」であることに本質がある。
責任は死ぬまで続くものと意識される(※「続くべきもの」だという規範をわたしは主張しているものではありません。カイの親として個人の意識を語っています。)

■支援者と親の間に流れる川

最初に紹介した支援者のなげきは、こう続きました。
「あんたは経営者になってラクをしている」と批判されるわけがわからなかった。
だが、本当の気持ちは、私個人にずっと自分の子を見てほしかったということだったのだろう。
私(支援者)=親になってほしかった。それがかなわなかったことを嘆いているのだ──と10年たってやっと気づいた。

どう思われるだろうか?

この訴えは(個人的にはものすごくよくわかるけれど…)無茶なものだと、親は気づかなければならないとわたしは思います。
なぜなら親の支援者に対する「親代わり」になってほしいという要求は過剰なものだからです。
その要求によって支援者を期待で押しつぶす危険がある。しかも、支援者が「機能」であるからこその良さを消してしまうからです。

その「良さ」とは、代替可能な存在であるからこそ、Aという支援者がいなくなっても、次のBという支援者が後を継ぐことができる継続性です。

親は死ぬんだよ。
支援者は去っていくんだよ。
そして、誰もいなくなった──にならないように。

親は、特定の誰かに「親代わり」を全委託する叶わない希望は捨てるところをスタートにしなければならない。

「川」と呼んだギャップは、支援者と親のあるべき姿が異なることから来ている。

■支援者は「もうひとりの親」ではない

「支援者は、『親の願い』をまるで分かってくれない」と叫ぶとき、その「願い」が「親と同じだけ、子どものことを思い、24時間365日支援し続けてくれ」というものだとしたら、それは「支援者」ではなくて「もうひとりの親になってくれ」と求めていることになる。
それは、実現可能性がないし、適切でもない。

あきらめることから、リアルな未来の暮らしを組み立てなおさなければならない。

支援者は、親と同じように唯一の存在としてわたしたちの子どもに永遠に関わり続けることはできない。そうするべきでもない。
支援者は、自らの手ではなくても同じ支援(機能)を提供できる他の支援者を組み合わせて、暮らしを組み立てることを考えている。「シフトを組む」というのはそういうことだ。

「川」はお互いをはばむものではなかった。違う存在を「わたし」と見間違えていたから流れていると錯覚した幻。

見つからない「青い鳥」を探すのはもうやめて。
有限性を知る支援者たちと、継続できる機能について、一緒に考えよう。

↓続きです↓
・「川」の続き
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/52520840.html