障害者差別解消法に基づく基本方針(原案)に対するパブリックコメントの締切があさって12月25日と迫っています。
iken


・前記事:障害者差別解消法に基づく基本方針(原案)に関する意見募集が始まりました
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/52560213.html

障害者差別解消法は、昨年6月に制定されています。施行は平成28年4月1日です。
実際にこの法律をどのように運用していくかを定めていくための基本方針の案を今回政府が作り、意見募集をしています。

・内閣府:障害者差別解消法に基づく基本方針(原案)に関する意見募集について
http://www8.cao.go.jp/shougai/kihonhoushin_iken.html

<意見の出し方フロー>

じっさいに、カイパパが意見を出した際の流れを参考に紹介します。

(1)そもそも「障害者差別解消法」って何かを知る。

今回意見募集をしている基本方針は、障害者差別解消法の運用のための方針です。
なので、まずは、パンフレットをながめてイメージをつかんでみました。

・障害者差別解消法リーフレット
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_leaflet.html

・わかりやすい版のリーフレットもあります
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_wakariyasui.html

ポイントは、「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮の不提供」が禁止されるということがわかりました。

不当な差別的取り扱い、合理的配慮はどんなものなのかについては、ハートネットTVの番組が参考になります。「番組ダイジェストを読む」ボタンをクリックすると内容が読めます。

・NHK:ハートネットTV:障害者差別解消法について
2013年9月9日・10日放送ページ
 放送:幸せバリアフリー ―障害者差別解消法 施行へ―(1)
 放送:幸せバリアフリー ―障害者差別解消法 施行へ―(2)

法律そのものは、ここ(テキスト版)で読めます。文字ばっかりで、ぐぇっとなりますが、ざっとでいいので読んでから、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてのよくあるご質問と回答<国民向け>を読むと、なんとなくわかったような気がしてきます。

(2)障害者差別解消法に基づく基本方針(原案)を読む

「それで、実際にはどのように運用されるの?」という疑問が生まれたところで、今回意見を募集している「基本方針」原案の登場です。

意見募集のページから、読んでみましょう。長いので、原案をダウンロードして印刷することをオススメ──当然ですが、法律よりもだいぶわかりやすいですよ。

読みながら、ここはよいと思ったところには、賛成の◯を、よくわからない部分には?を、足りないと思ったところには「+コレ」と書き込んでいくとあとで意見がまとめやすくなります。

(3)意見を書く

どの部分に対する意見かがわかるように、「該当箇所」の項目番号とタイトルを明示すると伝わりやすいですね。後から自分で見てもわかりやすいです。

カイパパは、基本方針原案は、「いい感じだな、よくできてるなあ」と思いました。なので、意見を出したいと思った2点「本人の意思決定支援」と「差別禁止の実効性」にしぼって、書きました。
障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(原案)への意見 2014.12.23.

障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(原案)について、2点意見を申し上げます。

<本人の意思決定支援>
【該当箇所】ローマ数字2 3 合理的配慮(1)合理的配慮の基本的な考え方 マル3

差別禁止の目的は、本人の意思を尊重し、本人が選んだ行動を、障害を理由に妨げることがないようにすることだと思います。障害があるからといって、他人だけで決めることは本人の意思を踏みにじる差別です。
そのため、本人の今後を決める際に、必ず本人が参加できることを保障すること、また障害があるために、意思決定が単独で行うことが難しい人の意思決定を支援することを明確にすべきです。
基本方針(原案)には、意思表示の手段の保障、支援者による補佐について書かれています。よいと思います。さらに、そもそもの前提として、「本人の参加を保障すること」を基本方針のなかに明記してほしいです。

<差別禁止の実効性>
【該当箇所】ローマ数字5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 2 相談及び紛争の防止等のための体制の整備

行政は既に障害者週間などで、啓発などはやっています。差別禁止法が新たにできたことで、何が行政として変わるのか?
私は、特にローマ数字5「2 相談及び紛争の防止等のための体制の整備」を実効のあるものにしてほしいと思います。法は、新たな機関は設置せず、既存の機関等の活用・充実を図るとしていますが、そうであればなおさら、「活用・充実」の方向性と実践例を基本方針として示すべきです。
例えば、地域で暮らす住民が、障害者のグループホームの建設に反対運動をする場合があります。この場合、行政が当事者任せにするのではなく、早い段階から介入し、地域との橋渡しを担うこと、その際に行政は、単に対立する双方の「間」を取るような仲裁ではなく、障害者の権利を保障するために尽力する責任を持つことを例示するなどして明らかにすべきと考えます。

以上です。

「差別禁止の実効性」についての意見は、基本方針を受けて作成される、より具体的な「対応要領」「対応指針」に反映されるものかもしれませんが、「単に対立する双方の「間」を取るような仲裁ではなく、障害者の権利を保障するために尽力する責任を持つこと」を基本方針にしてほしいという思いから、書きました。

(4)意見を送る

インターネットから意見を出す人が多いと思います。1,000文字の文字数制限があるので、文字数カウントのできるソフトで書くとよいでしょう(上のカイパパ意見は約820文字)。1,000文字では足りない場合は、複数回に分けて入力して送ることができます。1人1回とかいった制限はありません。

・意見入力フォーム:障害者差別解消法に基づく基本方針(原案)に関する意見募集について
https://form.cao.go.jp/shougai/opinion-0016.html

ここでは、氏名、住所、電話番号を必須入力なのが心理的ハードルになりますが、「じぶんも法律をつくり運用していく一員なんだ!」と胸を張ってハードルを越えたいと思います。

締切まで、あと2日あります。

「簡単に書ける」とは申しません。テンプレートを用意して、コピペするだけでは、今回の意見募集では意味がありません。たとえば「合理的配慮」を具体的に考えることは、これからの社会のあり方を変えるヒントになると思います。よろしければ、ぜひ。