昨日の記事で書いた"Walk two moons"のフレーズを知ったとき、わたしは、マイケル・ジャクソンの"Childhood"を連想しました。

Have you seen my childhood? (ぼくの子ども時代を知っているかい?)という歌いだしで始まる美しい曲。だけど、その中身はマイケルの奪われた子ども時代を今も探しているんだという悲痛な内容です。

マイケルの自伝を読むと、幼い頃から、売れっ子プロ歌手として全米をツアーして回るという超多忙な暮らしだった。兄弟の中でも突出した才能を持つ彼を中心に、家族とその周囲のビジネスが動いていく。「ふつうの子ども時代」は最初から失われていた。
マイケルは、自分がいわゆるアダルト・チルドレンだと自認していたのかもしれません。

"Before you judge me, try hard to love me,
Look within your heart then ask,
Have you seen my Childhood?"

「ぼくを裁く前に、ぼくを愛そうと努力してみて」

そんなことを言われても困惑するでしょう。「知らないよ」とシャットアウトして逃げたくなるのがふつう。

ただ、マイケル・ジャクソンとまではいかなくても、じぶんの経験や基準でははかりしれないような「苦労」をそれまでの人生で重ねてきて今がある、という出会いは、あります。

「理解できない」とシャットアウトする前に、少しでも理解しようと想像してみる──それは、「何かは特定できないが、何かしらの理由や事情があって、こういった言動に出たんだろう」という推定レベルでいいと思う──そんなことを、マイケルの "Have you seen my childhood?" の問いかけを聴きながら思うのです。