これは書いておきます。
・中日新聞2015年11月17日朝刊:特別支援学級の生徒殴る 名古屋市千種の中学校 50代教諭傷害容疑
名古屋市の公立中学校の特別支援学級で、担任が知的障害のある生徒をげんこつで殴り、けがをさせたという報道です。
名古屋市教育委員会は「調査中」ということで公表をしていませんでした。
障害者が被害者となった事件は、公表が遅い(されない)ことが多いように感じます。被害者が証言できないから?
この事件のように、殴った側が認めていても。
「いじめ」でもそうですが「なかった」前提で調査や対応すると「まずは隠そう」という心理が働いてしまいます。
「虐待」も同じです。「ある」前提で、調査対応をしていくことで、真実解明、原因特定、対策が可能になります。
被害を受けた生徒のケアを最優先に行うことはもちろん(同じ学級の生徒たちも心配です)、原因を解明し、再発を防止していただきたい。
殴りたくて殴る人はいないと思います。担任が指導に行き詰まり、手が出たのかもしれません。殴るにいたる前段階が必ずあったはずです。特別支援学級では、複数の教員が入っています。チームでの対応はどうなっていたのか。学校としての取り組みは?
「学校は、障害者虐待防止法の適用外だ」とよく言われます。そう聞くと「学校は虐待防止をしなくてもいいの?」と思ってしまいますがそんなわけはありません。
障害者虐待防止法29条にはこう定められています。
学校長の責任として、障害者に対する虐待を防止するため必要な措置を講ずるものとされているのです。
特別支援学級内でのチームでの対応と学校全体としてのバックアップ体制、虐待防止対策が求められています。しかし、対策を打とうにも、「虐待がある」と心のなかでは思っていても口に出せない。「ない」という前提で物事が進んでしまう。そういった職場風土が邪魔をしているように思います。
本気で虐待をなくすためには、目を背けたくなる現実があっても、直視するところから始めなければなりません。親も、教員も。訴えられない子どもたちのために。
【参考】「学校、病院が、障害者虐待防止法の適用外」ということの意味をコンパクトにポイントを教えてくれる記事です。
・ノーマライゼーション 障害者の福祉2011年8月号「障害者虐待防止法の成立」佐藤彰一
・中日新聞2015年11月17日朝刊:特別支援学級の生徒殴る 名古屋市千種の中学校 50代教諭傷害容疑
名古屋市の公立中学校の特別支援学級で、担任が知的障害のある生徒をげんこつで殴り、けがをさせたという報道です。
名古屋市教育委員会は「調査中」ということで公表をしていませんでした。
学校は問題発覚後の10月28日、特別支援学級の保護者を対象に臨時の保護者会を開いて概要を報告した。しかし、通常学級の保護者への説明はなく、市教委は公表していない。市教委の担当者は「教諭らから聞き取り調査中で、事実だとしたら誠に遺憾で、処分を検討する」と話している。
障害者が被害者となった事件は、公表が遅い(されない)ことが多いように感じます。被害者が証言できないから?
この事件のように、殴った側が認めていても。
「いじめ」でもそうですが「なかった」前提で調査や対応すると「まずは隠そう」という心理が働いてしまいます。
「虐待」も同じです。「ある」前提で、調査対応をしていくことで、真実解明、原因特定、対策が可能になります。
被害を受けた生徒のケアを最優先に行うことはもちろん(同じ学級の生徒たちも心配です)、原因を解明し、再発を防止していただきたい。
殴りたくて殴る人はいないと思います。担任が指導に行き詰まり、手が出たのかもしれません。殴るにいたる前段階が必ずあったはずです。特別支援学級では、複数の教員が入っています。チームでの対応はどうなっていたのか。学校としての取り組みは?
「学校は、障害者虐待防止法の適用外だ」とよく言われます。そう聞くと「学校は虐待防止をしなくてもいいの?」と思ってしまいますがそんなわけはありません。
障害者虐待防止法29条にはこう定められています。
(就学する障害者に対する虐待の防止等)
第二十九条 学校の長は、教職員、児童、生徒、学生その他の関係者に対する障害及び障害者に関する理解を深めるための研修の実施及び普及啓発、就学する障害者に対する虐待に関する相談に係る体制の整備、就学する障害者に対する虐待に対処するための措置その他の当該学校に就学する障害者に対する虐待を防止するため必要な措置を講ずるものとする。
学校長の責任として、障害者に対する虐待を防止するため必要な措置を講ずるものとされているのです。
特別支援学級内でのチームでの対応と学校全体としてのバックアップ体制、虐待防止対策が求められています。しかし、対策を打とうにも、「虐待がある」と心のなかでは思っていても口に出せない。「ない」という前提で物事が進んでしまう。そういった職場風土が邪魔をしているように思います。
本気で虐待をなくすためには、目を背けたくなる現実があっても、直視するところから始めなければなりません。親も、教員も。訴えられない子どもたちのために。
【参考】「学校、病院が、障害者虐待防止法の適用外」ということの意味をコンパクトにポイントを教えてくれる記事です。
・ノーマライゼーション 障害者の福祉2011年8月号「障害者虐待防止法の成立」佐藤彰一
2条では、前述のように、家庭、福祉現場、就労先の3種類の虐待を規定し、通報義務や対応スキームをおいているのであるが、3条では「何人も、障害者に対し、虐待をしてはならない。」と定めており、この3条に定める虐待と2条との関係をどう理解するのか整理が必要である。
本法では2条に規定する虐待を「障害者虐待」と呼ぶと規定しているが、障害者に対する虐待は、日常生活のさまざまな場面で生じていることは前述の通りであり、2条の規定からはずれる医療現場や教育現場における障害者に対する虐待を「障害者虐待」と呼べないのは、いささか日常用語とそぐわない。つまり3条に規定する障害者に対する虐待も、この法律を離れれば「障害者虐待」なのである。
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