12月3日開催の新城での市民福祉フォーラム。あたたかい笑いあり、涙ありの濃密な時間と空間でした。
テーマは、「知ってスッキリ!発達障がい」。目的は、発達障害に関わる関係者を、福祉だけではなく、保育・教育・行政からも広く参加してもらい、「連携の最初の一歩にしたい」というものです。
わたしは、ご縁あって、5月の最初の企画会議と諏訪利明先生への基調講演の依頼をお手伝いしました。

久しぶりにお会いできた諏訪先生の講演は、圧巻でした。テーマは、「まず理解から始めよう」でした。こうやって整理して伝えたら伝わるんだ!と気づきの連続。資料にグルグル丸をつけながら一言も聴き逃すまいと聴いていました。
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一番印象に残っていることは、「突然、障害だと言われ、自閉症の知識を十分に与えられずに、さぁ療育、と言われても親はとまどうばかり。丁寧な診断と説明が最初にあって、まずは知識を持ってもらうところからスタート」と言ってくださったところです。
子育てには「学校」がありません。みんな、「自分が育てられた経験」をよりどころに手探りで子育てにのぞみます。でも、障害のある子どもの「育ち」や「育て方」については経験したことがないから。未知のゾーン。だから、なんの見通しも手立ても示さずに「がんばって」と言われてもどうがんばっていいかわからず迷走するばかりです。親も誤学習と自爆をくりかえしてしまう……

「自分で勉強しなさい」と言われても、どう勉強したらいいのか? ガイドとなる人が必要ですよね。
諏訪先生は、自閉症の特性を「自閉症の人の学習スタイル」と表現しました。多数派の子どもたちとはちがった学び方をする。それを知ることができれば、試行錯誤の方向性を間違えずに、本人がハッピーに学ぶことができるわけです。
だから、「まず理解から始めよう」なんですね。「入り口」の大切さを、あらためて確認しました。

わたしは、第2部のシンポジウムに登壇させていただきました。与えられた時間は15分間。
「親のこれまでの経験から、会場に参加している専門家に対する期待を話してほしい」という主催者からのオーダーでした。

何が伝えたかったかというと、
子の障害がわかった親は、みんな、がんばろうとしている。だけど、うまくいかず、がんばりすぎたり、逆にもう子どもを見たくなくなったりとひとりの人の中でいったりきたりの葛藤をくり返している。
親は、自信を喪失して自己嫌悪に陥っている。同時に、自分の苦しみ=この苦しみという同一化が起きている。それが虐待リスクにつながっている。
子育てを親子だけで抱え込ませてはダメ。見通しと手立てを知っている専門家の出番です
ということです。
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なにしろ短時間なので、凝縮して伝えようと準備していました。5分オーバーしましたが、会場の熱がぐんぐんと上がり、伝わっていると実感しました。
親の体験を話す機会はたぶん10年ぶりです。10年前とは違って、自信を持って話せる部分ができてきたなと感じました。カイのおかげです。
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他にも感銘を受けたことがあります。
穂積新城市長が、フォーラムの冒頭に共催者としてあいさつをされました。市長自らがリーダーとなって「こども園」などを進めているのだなとご自身の言葉で丁寧に語られていました。また、途中退席されることなく、フォーラムの最初から最後まで参加されていたことにも驚きました。
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わたしの前に、高松信友(しんすけ)さんが当事者として、歌とメッセージを放ちました。
はじめに一言……、僕が小学生〜高校生くらいまで感じていた気持ちで言わせてください。1番困ってるのは当事者じゃなくて、オメェら(支援者)だろうが!バーカっ!!

大人になった現在でも、こう叫ばずにはいられないこと、過去の傷は過去のものではなく今も胸の中にある、折り合いのつかない苦しみがナイフのように突き刺さりました。
「これから」のことだけじゃなくて「これまでのこと」も反省して、大人になったひとたちと一緒に考えていく必要性を感じます。

シンポジウムの登壇者に、子ども未来課から上田敏代参事、学校教育課から榊原ともみ指導主事、新城福祉会から荒川淳矢氏がそれぞれの現場での実践について報告をされました。
荒川氏が最後に、「主に成人の暮らしを私たちは見ているが、過去にどのようにご本人が育ち、学んできたか野情報が本当に少ない。子どもの頃からの積み重ねを知りたい。もっと情報を共有できるように、連携をはじめていきたいです」という言葉が、今回のフォーラムの意義だったと思います。
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懇親会もあり、じっくりと親の想いを語り合うことができました。過去は変えられない、わたしたちは「間に合わなかった」ことがある、だからこそ今の子どもたちにはこんな思いをさせたくない──と。
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懇親会にて。気持ちの良い人たちとのあたたかい時間。

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プロジェクト部メンバーも応援に来てくれて心強かったです!