【解説】障害者支援費と介護保険の統合問題

★はじめに〜世間一般の反応
 週刊!木村剛: 今度は介護保険かよ!の記事を読んで、障害者福祉の世界以外では、「介護保険の負担層拡大」は厚生労働省の権益拡大の一環にすぎない、といったイメージで捉えられていることを認識しました。
 厚生労働省の肩を持つわけではありませんが、現在、当事者団体を含めた真剣な議論をしていることを知っていただきたく、「障害者支援費と介護保険の統合」「介護保険負担層の拡大の提案」についてのアウトラインをまとめました。

★障害者支援費と介護保険の統合の話はなぜ出てきた?
 2003年度に制度が開始された「障害者支援費制度」は障害者のサービス利用の増加により(それだけニーズがあったということ)、財源不足が恒常的であることを露呈しました。
 一方、介護保険は制度開始時に「5年後の見直し」をあらかじめ設定しており、2005年度が見直しの年となります。(したがって、今年が見直し作業の年)
 また、介護保険の制度設計時に、「高齢者と障害者すべてに対する保険(老障一元化)」は検討されて見送られた経緯があります。

 厚生労働省は、2004年1月に障害者団体に対して、「介護保険と統合することによって、障害者支援費の財源不足を解決したい」旨の提案を行いました。厚生労働省としては、介護保険の負担層の拡大を認めてもらうため「障害者福祉のため」という大義名分を掲げる意図もあるのでしょう。

 障害者団体側は、「現在の障害者支援費制度は財源の問題以外は、欠陥がほとんどない。一方の介護保険サービスは、著しく低いサービス上限や自己負担など障害者にとって受け入れがたい内容である」として、統合に対する反対の姿勢を示しています。

 しかし、時間はどんどん過ぎていき、社会保障費に対する他省庁・世論の包囲網が強まる中で、本当にノーマライゼーションを実現するためにはどうしたらいいのか、現実的・具体的に考えなければいけない時期が来ています。残念ながら時間をかける余裕はなさそうです。

 詳しくは、2004年5月21日付の「社会保障費をめぐる国の綱引き〜介護保険制度改革のリーク記事?」をお読みください。
 
【過去記事】
・障害者支援費カテゴリー記事
https://image.blog.livedoor.jp/kaipapa2shin/archives/cat_4897.html