■障害者支援費制度の行方(1)〜福祉の街づくりフォーラムinちたにて

福祉の街づくりフォーラムinちたへ参加してきました
 内容については、すばらしいパネラーをそろえていましたので心配していませんでした。参加者数は、300名くらいでしょうか。秋の運動会などイベントの多い時期に、これからの団体のキックオフイベントとしてはまずまずの成功です。(朝日新聞2004年9月26日では参加者「約1500人」とありましたが「?」です)
 主催者である若者たちは、疲れた顔のなかに充実感を漂わせていました。
 全国地域生活支援ネットワーク(公式サイト近日公開)、生活支援ネットワーク愛知ともに、今回の経験を活かして、スキルアップを図り、ネットワークの成果物を見せて実力を実証していけば未来が拓かれます。応援します。

 全体のレポートは、会場で私のとなりに座っていたさえすけ父さんが詳しく書いてくれています。ぜひお読みください。

・自閉症でもいいよね: 9月25日福祉の街づくりフォーラムINちた に行きました
http://saesuke.cocolog-nifty.com/saenosinsaetarou/2004/09/925in.html

★障害者支援費制度の方針が年末には決まりそうだ

 今回フォーラムで聞いた話のなかで、特記しておきたいことは障害者支援費制度の今後のことです。

【過去記事】
・【解説】障害者支援費と介護保険の統合問題
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/707282.html

 黒田秀郎氏(厚生労働省老健局総務課 課長補佐)(介護制度改革本部事務局)が「介護制度改革の方向性と障害者施策との関係」という題目でお話をされました。
 私の受けた印象は、厚生労働省は当初の目論見どおり、「今年末に障害者支援費制度の介護保険制度への統合の方向性の結論を出す」方向で、世論の説得モードに完全に入ったということです。5月に村木厚子・厚生労働省障害保険福祉部企画課長(当時)のお話を聞いたときから、だいぶ雰囲気が違いました。

 私の受けた印象――

(1)厚生労働省は、障害者団体の説得はあきらめた(=反対があっても断行する)
(2)説得する相手は、経済団体(経団連)と世論(負担増になる40歳未満の勤労者)である。


 黒田氏の話のどこからそれを感じたかというと、
〈介護保険との統合〉という表現は誤解を招く。二つの制度が一つになってしまうのではない。
・原則:介護保険の範囲は介護保険給付でまかない。
・例外:不足部分は障害者支援費でまかなう。
 ということであって、二つの制度は残るといえる。
 現在でも、65歳以上の障害者は、まず介護保険給付を受けて、足りない部分を支援費でみるということが行われている。
 これを、65歳未満にも広げるだけのことだ。

 という趣旨の部分でした。

「統合統合と大騒ぎするけど、65歳以上では既に行われていることを広げるだけだ」=騒ぐようなことではない――というニュアンスに聞こえました。
 カンタンに批判を加えておきましょう。たしかに、現行の障害者支援費制度に変更を加えない前提なら、「65歳未満にも対象を広げるだけ」といえるかもしれません。しかし、統合と同時に、支援費制度自体のサービス内容の変更も予定されているのであれば、「単に広げるだけ」という説明は詭弁です。
 ――しかしこのレトリック(「65歳以上では既に行われている」)は有効ですねぇ。

 厚生労働省のこれからの動きは、

(1)→障害者団体に対しては、「悪いようにはしないから、まあ任せておきなさい」という感じ?
(2)→経済団体に対しては、「社会保障費の総額抑制につながるような改革にしますから、どうか負担増を受け入れてください」と手形を切るようなイメージ?

 それを如実に表した報道――

NIKKEI NET:経済 ニュース
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20040921AT3K1902C19092004.html
65歳未満の障害者給付、税金併用を検討・厚労省
 厚生労働省は来年の介護保険制度改革で65歳未満の障害者を給付対象に加える場合、介護保険の給付限度を超えるサービスは税金で賄う方式の検討に入った。障害者向けの現行の支援費制度は給付範囲が広く、介護保険制度に負担が大きいとの懸念に対応する。給付対象の拡大には経済界などの反対が強いが、厚労省は給付費増への一定の歯止め策を導入することで理解を得たい考えだ。

 介護保険は原則として65歳以上を給付対象に、2000年4月に発足。法律で5年後に見直すことが決まっている。改革の柱は介護の必要性が軽度の人への給付制限と障害者や末期がん患者など65歳未満でも介護が必要な人を対象に加える点。対象年齢を引き下げる場合は、現在40歳からの保険料負担も20歳以上などに広げ、収入増も確保する方針だ。 (07:00)

「障害者支援費制度の方針(2)〜今後考えるべきこと」
へつづく


【参考】
・厚生労働省:障害者施策に係る支援費制度について(リンク集)
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/syakai/sienhi/index.html

・厚生労働省:介護保険制度について(リンク集)
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/index.html