■障害者支援費制度の方針(2)〜今後考えるべきこと
「障害者支援費制度の行方(1)〜福祉の街づくりフォーラムinちたにて」
からの続きです。
★今後考えるべきこと
障害者支援費の介護保険への統合(+介護保険の範囲を超えた部分は税による支援サービス提供制度は残す)の方針が出たとしても、平成17年度からいきなり「介護保険で」ということは時間的に間に合わないでしょう。2〜3年かけて移行期間を設けると予想します(もっとピッチは早いかも)。
その間に、私たちがすべきことは
「障害者支援費制度の行方(1)〜福祉の街づくりフォーラムinちたにて」
からの続きです。
★今後考えるべきこと
障害者支援費の介護保険への統合(+介護保険の範囲を超えた部分は税による支援サービス提供制度は残す)の方針が出たとしても、平成17年度からいきなり「介護保険で」ということは時間的に間に合わないでしょう。2〜3年かけて移行期間を設けると予想します(もっとピッチは早いかも)。
その間に、私たちがすべきことは
(a)介護保険制度を勉強すること(知らなければ改善提案もできない)。特に「介護認定」の問題点↓
(b)現状の介護認定では、「動きのある知的障害者(自閉症など)」の要介護認定が軽く出てしまう。自閉症に必要な支援認定する基準を、当事者側から具体的に提案・主張することが急務。
(c)介護保険の範囲に収まらない「社会参加」や「自立支援」などの部分を明確に制度化すること。
(d)ケアマネジメントの導入が必ず行われるので、障害特性を理解したケアマネージャー養成に力を注ぐこと――当事者団体によるカリキュラム提案・実施など
★当事者からの具体的提案が必須
現在の障害者支援費制度は、平成15年度にスタートしたばかりで、要支援認定基準、サービスの種類、利用の仕方、事業者の質について、走りながら考えるようなことで来たと思います。よくいえば「柔軟」、悪くいえば「いいかげんなサービス決定・提供が行われているのではないか?」といった根強い不信感の表明もあります。
厚生労働省は、介護保険に統合すれば、地域格差や上記の支援費制度の制度的課題が解消されるといった主張をしていますが、地域格差も、制度的課題も、障害者支援費制度を今のままの介護保険に吸収すれば自動的に解決するようなものではありません。
この点は、当事者と家族、支援者が真剣に考え、こちらから提案をしていかないと、自閉症の人に必要な支援は認知されず、制度として認められないという厳しい現実です。
厚生労働省は平気で言うでしょう。
「制度に問題があるなら、具体的な提案をもってこい」と。
現在の自分たちにそれだけの提案力、運動論があるのでしょうか? 底冷えするような不安を感じます。
★危機感〜何が足りない?
日々の生活に追われ、時間的な余裕がない「パートタイマーの悲哀」を認めた上で、自分たちを代弁できる支援費事業者をはじめとする専門家や研究者と連携を築いて行動していかなければなりません。「それが全国地域生活支援ネットワークなんだ」と期待はしていますが、楽観はしていません。
なぜなら、この問題意識は、親の間でも全然共有できていないからです。
この2年間の制度設計が、子どもたちの未来を大きく変えるのだということを、今はまだ障害者支援費を利用していない当事者と親にまで伝えて、共有エネルギーにしていかなければなんともしようがない気がします。
カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクルでは、「制度は変えられないものではない。自分たちが変化を与えられる」と大真面目に考えていきたいと思います。
【参考】
・厚生労働省:社会保障審議会介護保険部会「介護保険制度の見直しに関する意見」平成16年7月30日
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/07/dl/s0730-5a.pdf
約80ページの報告書(PDF形式)です。これを読まずして、統合に関する議論はできないなあと思いました。厚生労働省がやろうとしていることが理解できます。
障害者支援費制度に関しては64ページ以下にまとめられています。
・日本障害者協議会(JD):支援費の介護保険への統合を考える JDNEWS2004
http://www.normanet.ne.jp/~jadh/jdnews2004
統合問題に関する情報がアップデートされています。
下記の理事会からの声明は、私の現状認識と近いです。紹介します。
「介護保険制度と障害者施策に関しての基本方針 日本障害者協議会 理事会(2004.5.11)」
(b)現状の介護認定では、「動きのある知的障害者(自閉症など)」の要介護認定が軽く出てしまう。自閉症に必要な支援認定する基準を、当事者側から具体的に提案・主張することが急務。
(c)介護保険の範囲に収まらない「社会参加」や「自立支援」などの部分を明確に制度化すること。
(d)ケアマネジメントの導入が必ず行われるので、障害特性を理解したケアマネージャー養成に力を注ぐこと――当事者団体によるカリキュラム提案・実施など
★当事者からの具体的提案が必須
現在の障害者支援費制度は、平成15年度にスタートしたばかりで、要支援認定基準、サービスの種類、利用の仕方、事業者の質について、走りながら考えるようなことで来たと思います。よくいえば「柔軟」、悪くいえば「いいかげんなサービス決定・提供が行われているのではないか?」といった根強い不信感の表明もあります。
厚生労働省は、介護保険に統合すれば、地域格差や上記の支援費制度の制度的課題が解消されるといった主張をしていますが、地域格差も、制度的課題も、障害者支援費制度を今のままの介護保険に吸収すれば自動的に解決するようなものではありません。
この点は、当事者と家族、支援者が真剣に考え、こちらから提案をしていかないと、自閉症の人に必要な支援は認知されず、制度として認められないという厳しい現実です。
厚生労働省は平気で言うでしょう。
「制度に問題があるなら、具体的な提案をもってこい」と。
現在の自分たちにそれだけの提案力、運動論があるのでしょうか? 底冷えするような不安を感じます。
★危機感〜何が足りない?
日々の生活に追われ、時間的な余裕がない「パートタイマーの悲哀」を認めた上で、自分たちを代弁できる支援費事業者をはじめとする専門家や研究者と連携を築いて行動していかなければなりません。「それが全国地域生活支援ネットワークなんだ」と期待はしていますが、楽観はしていません。
なぜなら、この問題意識は、親の間でも全然共有できていないからです。
この2年間の制度設計が、子どもたちの未来を大きく変えるのだということを、今はまだ障害者支援費を利用していない当事者と親にまで伝えて、共有エネルギーにしていかなければなんともしようがない気がします。
カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクルでは、「制度は変えられないものではない。自分たちが変化を与えられる」と大真面目に考えていきたいと思います。
【参考】
・厚生労働省:社会保障審議会介護保険部会「介護保険制度の見直しに関する意見」平成16年7月30日
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/07/dl/s0730-5a.pdf
約80ページの報告書(PDF形式)です。これを読まずして、統合に関する議論はできないなあと思いました。厚生労働省がやろうとしていることが理解できます。
障害者支援費制度に関しては64ページ以下にまとめられています。
・日本障害者協議会(JD):支援費の介護保険への統合を考える JDNEWS2004
http://www.normanet.ne.jp/~jadh/jdnews2004
統合問題に関する情報がアップデートされています。
下記の理事会からの声明は、私の現状認識と近いです。紹介します。
「介護保険制度と障害者施策に関しての基本方針 日本障害者協議会 理事会(2004.5.11)」
(略)
基本的な前提
さて、国がいうところのいわゆる障害保健福祉施策と介護保険制度との統合については、残念ながら本協議会をはじめ、8団体などで提起した懸念される諸問題についての指摘に対し、厚生労働省より未だに明確な回答が出されてなく非常に残念である。
ただ私たち団体の取組みが力及ばず、三位一体改革に抗しきれないで、一般財源化されることをも想定しておく必要がある。そのような状況の中にあっては、国税が投入されている介護保険への統合も一つの選択肢として考えていかなければならない。
(略)
ベターな選択と粘り強い協議
本協議会のそうした基本的な立場を踏まえ、冒頭に述べたような三位一体改革の流れにおける障害者施策の一般財源化という直面する問題に対し、真剣に、真摯に、慎重に、対応していくことが私たちには求められている。事態は何を選択してもいばらの道という厳しい状況に置かれている。すでに財界は障害者の介護保険組み込み並びに保険加入の年齢引き下げに反対を表明しており、一見、私たちと近い立場にありそうに見えるが、決してそうではなく、社会福祉全体という枠組みで見たときに、負担をしたくないわけで、そういう観点からますます厳しい状況が進んでいるといえる。
そのような中、障害者施策が今一般財源化されるとしたら、全国的な格差はますます増大していくであろう。標準的なシステムを活用することも一考に値する。
その場合において、障害者の脱施設・脱病院を具体化しえるような、施策でなければならない。もちろん介護保険制度のみでは無理であり、ひとりひとりのニーズに対応しうる施策がそれに加えられる必要が絶対にある。
現状においては支援費制度の継続が望まれるところであるが、極めて厳しい状況認識のもと、ベターな選択がなしえるように、厚生労働省障害保健福祉部との粘り強い協議を継続していかなければならない。そして何としても、統合した場合の施策全体の姿を明らかにさせていくべく努めていきたいと考える。それなしには選択自体極めて難しいのである。
また本協議会を含む8団体共同の運動は、日本の障害者運動史上において、極めて意義深いものであり、これを大切にしていく視点も重要である。
厳しい状況認識と現実的判断の鍵
社会福祉をめぐる状況がとても厳しいものであることを率直に認識し、現実的なそして柔軟な対応が今求められている。私たちが求めている理念や目標と、現実との反復運動が余儀なくされている。しかし、1割の応益負担には到底応じられないことや、要介護認定のありかたなど、譲れない部分も多く、今後の厚生労働省との協議において、どう展開していくか、最終判断はその内容に左右される。
Tweet
厚生労働省は、「介護保険と支援費の統合」ではなく、「介護保険の被保険者の範囲」の問題であるとしていますね。少し戦術を変えたようです。
あくまで個人的意見ですが、仮に支援費と介護保険が統合した場合、年齢を要件として1割負担を減免したり、「社会参加ヘルパー」を派遣することは、公平性の観点から、他の利用者から理解を得られないのではないかと懸念しています。
一方、高齢者にも負担軽減や「社会参加ヘルパー」を認めるなら、保険財政は厳しくなります。
かなり難しい、ぎりぎりの決断が求められてきましたね。