カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクル

〜自閉症から広がる、チャレンジに満ちた新しい世界!〜

支援のヒント

林原めぐみさんが自閉症の診断をうけたファンにかけた言葉が素晴らしい

ぜひ読んでいただきたい!

自閉症の診断を18歳で受けたファンへの林原めぐみさんのことば。
林原めぐみさんは声優・歌手です。綾波レイの声は彼女。
内容も、ですが、あの「林原めぐみ」さんがことばをかけてくれたということが、本人にとって、これから生きていくための支えにきっとなるでしょう。

あわてて読み飛ばしてしまうと「林原めぐみさんは、一部の自閉症の人にしかない才能をあげつらっている」と誤解してしまうかもしれません。それは違います。

むかし看護学生だった頃に出会った自閉症の子どもがジグソーパズルが得意だったことを紹介して、彼女はこう語りかけます。
それが何?ではなくて
その才能は、その子のもの。
その子に「しか」ないもの。
そして、それを生かす場所を模索するのは
誰でもすべきこと。

ピアノが上手い
計算が得意
絵をかくのが好き

直接将来の自分の仕事につながらなくても
何かを探す、扉には、きっとなるよね。

直接の(金を稼げる)仕事につながる才能なんて、そうはない。それは、自閉症の人に限らず。
それでも、どうしてもうまくできない「苦手なこと」で挫折しつづけるより、「得意なこと」「好きなこと」を大事にして、何かを探す扉にして、と言っている。

そこがすごいと思います。この人は、わかっている、と信頼感を覚えました。

読めば読むほど、細かなところまで気をつかった言葉かけです。
傷ついている人へどう声かけをするか? 何度経験しても難しいですよね。
林原めぐみさんは、いじめや不登校、家庭不和については触れていません(多分あえて)。丁寧に伝えているのは、

「未来へ」

ということ。
混乱している心理状態の人に、「ベクトル(矢印の向き→)」を伝えている。

「こっちに未来があるよ」と。

「ベクトル→」が見えたら、歩き出すことができます。

わたしからもお礼を言いたいです。勇気づけられました。
林原めぐみさん、ありがとうございます。

「新しい治療法」情報をどう受けとめるか〜LITALICO発達ナビに関連して

インターネットでは大量の情報が飛び交っています。「発達障害」「自閉スペクトラム症」……なんとかしたいと親も当事者も必死で情報を求めています。求める人がいれば提供する人もいます。

LITLICO発達ナビ(以下、「発達ナビ」。)というサイトがあります。トップページのバナーには「みんなでつくる発達障害ポータルサイト 子どもの相談からお悩みごとまで、みんなで解決」とあります。
「みんなでつくる」のあらわれとして、サイト内の「Q&A」や「コミュニティ」、「地域情報」の口コミ投稿欄、「コラム」のコメント欄にはユーザーが書き込めるようになっています。(会員登録が必要)

ユーザーによる医療情報に関する投稿の取り扱いについての発達ナビのスタンスが掲載されたので見てみました。

・ユーザーさまによる医療情報に関する投稿の取り扱いについて:LITALICO発達ナビ
https://h-navi.jp/medical_information

投稿内容に関連法令に抵触する医療情報が含まれていたり、利用規約の禁止事項に該当する場合は、運営事務局によって投稿を削除させていただく場合がございます。

一方、上記のような表現を含まない、一個人としての感想や体験に関しては削除の対象となりません。

投稿者は、実際にその療法を取り入れて有用だと考えている場合もあるだろうし、もしかしたら商業目的の投稿者もいるかもしれないが、個人としての感想や体験(の体裁をとっていれば)は削除されない。うーん……これでは……。
ここで明らかにされているのは、ユーザー投稿はフリーダムだということ。
したがって、チェックが入っていない「そういうもの」として、ユーザー投稿は読まなければいけないという注意喚起として受けとめました。

発達ナビは、専門家による連載コラムがあることもあって、サイト利用者が「ここにある情報は信頼できる」と思わせる「見た目」をしています。そのため、同じ情報がSNSや掲示板サイトに掲載されていれば慎重に吟味したであろう場合も、つい信じてしまう場合がありそうです。
しかしながら、もともと発達ナビは、以下のような免責条項(Disclaimer)を掲げられて運営されているサイトです。「見た目」がどうであれ、「そういうもの」として慎重に接した方がよいと思います。
コミュニティでの投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コミュニティでの投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。株式会社LITALICOは、発達障害や特定の疾患に関する診断をしたり、投薬・服薬・服用の判断をすることはできませんので、症状や薬に関する質問にはお答えできません。不安がある場合は、医療機関等にご相談ください。

このような免責条項は、発達ナビに限らず、他サイトでも一般的なものです。

信頼できる情報かどうかは、つまるところ個人の判断に任せられています。その「新しい治療法」の効果とリスクを検討して、取り入れるかどうかの決断も個人でするしかありません。

参考にプロジェクト部の医療セミナーで、吉川徹医師が挙げられた考慮すべき基準を載せておきます。

【アドバイス】
効果が厳密に証明されていない「療法」が、全て効果が無いかというとそうとも言い切れない。
が、効果が確かめられていないものは副作用も厳密には確かめられていないことに注意が必要。

 <標準的ではない療法を試す際に考慮すべき3つの基準>
 1 安全性が確かめられている。あるいは理屈で考えてどう考えても危険でないもの。
 2 値段が高くない。本人や家族の負担が大きくない。
 3 標準的療法を受けることを妨げないものであること。

「1 安全性」と「2 負担」は慎重に確かめるべきです。1と2がOKだとしても、3をチェックしなければいけません。最初の時点では1と2がOKだったのが、あとで変わる場合もあります。特定の療法で、患者を囲い込み、標準的療法を受ける機会を逃して手遅れにいたるケースを避けるためにも。
くれぐれも気をつけていきましょう。

吉川医師は発達ナビのコラムを執筆されていて、新しい薬や治療法の情報の受けとめ方について述べられています。

・発達障害と医療、新しい薬や治療法の情報をどう受け止めれば良い?−児童精神科医・吉川徹(10)
https://h-navi.jp/column/article/35025865

ちなみに、コラムに関しても免責条項がついていました。
コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。

昔話と早期療育についてもうじき17歳になる子の親が思うこと

NHKの「あさイチ」で取り上げられた応用行動分析(ABA)を使った療育について、感想をカイパパFacebookページに投稿をしました。

昔話。
やってみはしたけれど、うちの子の発達レベルには合っていなかったのでしょう、まったくかみ合わず無視をされました。
あきらめずに続けようと思うには、あまりにもとりつく島がなさすぎて。
うちの場合は家庭では、設定された形での「療育」はあきらめ、生存と成長を保つ「子育て」になりました。(まず何よりも寝ないことが最大の課題でした…)

試すのはいい。わらにもすがりたいのが親の自然な気持ち。
でも、発達レベルによって、合う場合とそうでない場合がはっきりとある。合わなければ、そのアプローチが合っていないのだから、あきらめればよい。わが子をアプローチの形に無理に合わせるのは違うよね。

肩の力を抜いて。一緒にいるだけで、がんばっているのだから。

この投稿へのコメントやシェアを読ませていただいて、もう少し丁寧に、思ったことをつづっておきたいと思います。

応用行動分析(ABA)は発達や社会適応を助ける必要な手法です。TEACCHもABAが根幹にあります。療育や教育の場で、専門家による実践が進むことを期待しています。そして、無理のない形で、その子どもの発達に合わせた(たのしくできる)ABAを親にも教えていただけるとありがたいです。

「早期療育」という言葉は、実に、厳しい言葉で、、、
特に、大きくなってしまった子どもを持つ親にとっては、「あの時やっていれば…」という「手遅れ感」による自分を責めてしまう感情が重たくて。
だからといって、「早期療育」をアピールするな、というつもりはありません。
が、複雑な気持ちは消せないんですよね。

私が経験から思うことは──

学齢期前に(多くの親が、最もやろうとする時期)ABA療育を「家庭内」で徹底しようとすることは、弊害があるんじゃないかな?ということです。

それは、うまくいかないときに(うまくいかないことが多い)、親が子どもを嫌いになってしまうことです。ただでさえ、愛しにくいこの子たちがABA的な枠から外れた想定外の(意図しない)リアクションをしたときに、親は怒りを覚えてしまう。
専門家であれば、距離感を保ち、トライ&エラーができても。24時間親であることをやめられない私たちには「感情」が邪魔をします。(←ここが親と専門家の大きな差です。無視してはいけない)

混沌の中にある小学校入学前は、何よりも優先すべきは「生存」です。子どももそうだけど、何よりも親が追い詰められないように周りが支えることだと思います。

親としては、あきらめることも勇気がいるので、「今はまだタイミングじゃない」と決めて、自分の中で「保留」にするのがよいのかなと思います。

いやがるのは、自分に合わないものをはねのける、何よりも貴重な力です。そうやすやすと型にはまってくれないのが、わたしたちの子どもたち。
親だって人間だから、成功してほめられたい!失敗は腹が立つ!のが自然です。

「こうでなきゃ」とか「こうしなきゃ」が首をしめるので、まずは、自分の首をしめる手をゆるめませんか?

もう少し時間がたって、時機が来てからでも遅くはないと思います。

うちの子の場合、伸びを実感したのは中学生になってからでした。それまでの積み重ねがあったから、とも思いますが、大人になるにつれて身体、脳が成長してきたから、というカイ自身の成長の要素が強いと感じています。(*カイは3歳から12歳まで週1回療育(※ABAではありませんが)に通っていました。)
吸収できる準備ができてからの取り組みは、本人も自信が持てて、親もうれしくなります。

わたしのわずかな体験ですが、こういう考え方もあるということで、なにがしかの参考になればと思います。(わたしも、これでも昔はけっこう真剣に勉強したんですよ! 失敗しましたけど)

【追記】
わたしは早期療育の必要性を否定するものではありません。文中にも書きましたが、カイは3歳から12歳まで週1回療育に通っていました。そのことについての記事も書いています。
(古くからの読者はご存じのとおり。カイには数多くの恩人がいます)

・彼は勉強家 (2011年12月1日の記事です)
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/52355936.html

ABA療育は発達レベルに合わせて、評価して計画して実施するものです。なので、「発達レベルに合わないからやらない」ということは本来ないはずのものです。しかし、素人である親は、どうしても「もっとできるようにしたい」という高いレベルを望み、願望から、その子には難しすぎる課題を与えてしまいがちです。
特に幼児期は、家庭では、子育てをするだけで、相当にがんばっているのだから(障がいがない子の子育てだって大変なのです。ましてや障がいがある子は…)。
親が自分を追い込まないように、周りの人たちも気をつけていただきたいというのが伝えたいことです。

味わい尽くしてから、『次』に行ける

こうままブログは、毎回書かさず読んでいます。
最近のこの記事には、「そうだ! そうなんだよ!!」と共感しました。

・こうくんを守れ!!!:ばあちゃんは偉大
http://koumama.seesaa.net/article/423701047.html

こうくんはビニールを伸ばすのが最近好き。ある日黒ビニール袋を10枚くらい伸ばしていた。それを見てのこうくん家でのやりとり──
帰宅して夕食をとっているこう父に
「今日は黒いゴミ袋を大量に粉々にしてるけど、私がうまく量を制限できなかったせいだから怒らないでね」と言ったら
「怒るに決まってるだろ」と言う。
「まぁ、そりゃそうなんだけど、怒っても意味ないし」
「じゃ、ほっとくのか?専門家として今後どういう対応するつもり?」といぢわるを言う。
「今日は3枚、とか制限できるようになればいいんけど、それが難しくて・・・」
とかやっていたら
ばあちゃんが
「なんだかよくわからんが、安いおもちゃじゃないか」
・・・・・・
終了のゴング。

「なんだかよくわからんが、安いおもちゃじゃないか」──まさに。

自閉度と知的障害が重い人の場合、「楽しいこと」を見つけることが難しいです。だから、ひとたび見つけた「数少ない楽しいこと」に執着するのも自然なことです。
でも、周りから見たら、「物の本来ではない使い方」だとか「こだわり」だとか、このままじゃいけないんじゃないかとヒヤヒヤして禁止をしたくなります。

でもって、この記事を読んで思い出したのが、2013年12月に参加したグループホームの勉強会での戸枝さんのお話(→レポート記事はこちら)。
ノースカロライナ州アルバマーレ市でみたグループホームの一室のエピソードを紹介したい。
壁が全部「黒板」の素材になっていた。お絵かきが好きな人が入居。描きたいだけ描いて、「味わい尽くしたら堪能して次へ進める」という方針にもとづいている。
「描けないように禁止する」発想ではない。

「味わい尽くしてから、『次』に行ける」

カイも、嗜癖のようにこだわりが続くんだけど、半年とか1年ぐらい経つと、「味わい尽くし」たのか、ぴたりとやめることがあります(そして、『次』のこだわりへ行くのだけれど)。

他害や自傷につながるものでなければ、やめさせようとするより、「味わい尽くす」ところまで見守るほうがいいのかなと思います。
もちろん、楽しみの幅をひろげるトライは続けながら。

【おすすめ】DVD親と教師のための自閉症の人が求める支援

みなさん、こんばんは。カイパパです。今日は初売りでにぎわう栄から名古屋駅までカイと一緒に歩きました。本当は、草の根ささえあいプロジェクトの新年会にカイを連れていき、みんなに紹介をしたかったのですが、家を出る前のメモ帳を使っての「行き先交渉」で却下されました。彼の好きなBOOKOFFとTSUTAYAをハシゴしてきました。わたしの海外出張用のノイズキャンセリングヘッドホンを付けてあげたのですが、これが快適なようで、ほとんどずっと付けていました。名古屋駅の地下街エスカで、鷹の爪団の特別店舗が今日から出ていて、なんと島根県に里帰りしてきたばかりの吉田君との撮影会があり、貴重な3ショットを撮ってもらいました。幸先の良いスタートです!


今日は、わたしが一番苦しかった時期に救ってくれた文章を書いてくださった志賀利一さんが推薦されているDVDをご紹介します。

・志賀利一Facebookページ:《正月に構造化のDVDを振り返り視聴してみました》
https://www.facebook.com/toshikazu.shiga/posts/684232844942244
(略)
ここ3年くらい、全国の福祉施設や教育現場を訪問する機会が増えました。多くは素晴らしい実践をしている場所です。それでも、
1)構造化の整備は必要だと思っているが組織で継続的に実施することが難しい、
2)組織的に構造化された環境を作っているが対象者に意味ある生活を提案できていない、
といったどちらかの課題を抱えています。
改めて、昨年朝日新聞厚生文化事業団が売り出した3本セットのDVDを観たら、その答えが丁寧に説明されているのにです(見本をもらったのでCMします)。

教科書やDVDと違い、現実の支援の場とでは「経営的な戦略」「トップのリーダーシップ」「職員採用と教育」「人事評価と処遇」「組織のガバナンス」「地域の中での役割」等、いろんな条件に折り合いをつけて、初めて良好な支援が提供できるわけですから、決して容易なことでないのはわかります。

しかし、DVDを観て、少なくとも第一歩を全員で踏みだそうとしないなんて・・・ 

この辺りが、私の今年の仕事上のテーマの大きな1つになりそうです。すでに「TEACCHの構造化の基礎なんて」と思っている人(私もそうでした)、もう一度DVDや本を読んで勉強しましょうね。答えは、この中にしか無さそうです。

これがそのDVDです。

・社会福祉法人朝日新聞厚生文化事業団:DVD 親と教師のための自閉症の人が求める支援
http://www.asahi-welfare.or.jp/purchase/detail/jiheisho_shien.html
「気が散って集中しにくい」「段取りが苦手」「どこに注意を向ければいいのか分からない」「見通しがつかなくて不安」。自閉症(ASD)の人の支援に欠かせないこれらの視点(学習スタイル)をもとにして、それぞれの個性に合わせて考える支援とは。その答えがこの3巻のDVDにあります。自閉症の人への支援の基本「構造化」について、世界で初めて完全映像化されたDVDが、ついに登場です。

視覚支援だけではない、自閉症の人が求める支援の全貌を、自閉症の人への臨床の第一人者、佐々木正美教授の案内で明らかにし、米国ノースカロライナ大学ゲーリー・メジボフ教授が特別出演で解説します。自閉症の人の教育、福祉、医療、生活の支援にかかわるすべての人、必見のDVDです。

志賀さんが、あえて今このDVDを紹介されているのは、袖ヶ浦福祉センターでの虐待死事件を意識してのことです。

「重度知的障害のある人に対して、特に混乱した時の対応について、わからない」だから、威圧的な言動で従わせる──という現状があるという発言を聞きました。ではどうしたらよいか? わからないから仕方がないではないか、といった居直りにも取れるようなあきらめも聞こえてきました。
しかし、打つ手は実は研究されてきています。ところが、それが浸透していない。根本的な解決につながる方法を求めて探して、落ち着いた暮らしを実現するための努力が取られていないことが問題です。

志賀さんはこう語っています。
いわゆる重度・最重度の知的障害がある、行動障害の著しい人のことを、強度行動障害と呼び、研究や支援のあり方について私たちの国で検討されはじめたのは四半世紀前です。長い年月をかけ、対象者の状態像や支援の基本的なあり方については、概ねコンセンサスを得られたと思っています。そして、この支援のあり方として、どんな個別の支援計画を立案・実行しようとも、日中活動や生活の場でしっかりと「構造化」を行っておくことは最低限の条件だとも考えています。もちろん「構造化」だけで、行動障害のすべてが解決する訳ではありません。しかし、「構造化」無しには、支援は一歩も進みません。

そんなことは常識であり、支援技法上も「枯れた技術」であるはずです。冗長で、混乱を引き起こしている情報を整理し、自らの能力にマッチした、自尊心をもって実行できる活動を準備し、落ち着き、安心して過ごせる時間を増やせて初めて、人との良好なコミュニケーションを育むといった、これこそ「当たり前」の支援のあり方です。決して、強度行動障害や自閉症の支援だけではない、基本中の基本だと思うのですが。

「DVDを観ただけでマスターできて解決」なんて、「聴くだけダイエット」みたいなわけにはもちろんいかないでしょうが、優れた教材があるのだからまずはそれを観て学ぼう!という呼びかけです。

タイトルに、「親と教師のための」とありますが、入所や通所施設でも、ヘルパーにとっても、きっとヒントになるはず。

混乱し、苦しみ、困っているのは本人です。周りにいる者も、それでいいなんて思っていない。困っている。「なんとかしたい」と心から思っている方に届けたいです。

月とゆび

「かいくんが気がついたコトやモノに言葉を添えて、世の中を教えて」という妻のことばは、僕に大切なことを気づかせてくれました。

そのことを伝えたら、妻は、
気がついたコトは、チャンスなんだよ。
かいくんが、”月”に気がついた時は、感動したなぁ〜
ある時に気がついて、空の月を、じっと見ていたの。
それまでは、『かいくん、お月さま、見て』と何度ゆびさしても、わたしの”指”を見ちゃってたから。
と話してくれました。

前にも書いたけど、僕は、カイのことを「見くびっている」のだと思います。

「どうせ、教えられないのだから…」と。みすみすチャンスを見逃し続けていたんだな。

急がせて、学校に送り届けるのが親の仕事じゃない。
同じ瞬間をともにすごして、カイの目から見た世の中を、僕ものぞいて、そこに言葉を添えていけたら。カイが、注目しているそのモノに言葉を添えることができたら。

世界が美しく、生きるに値するものだと伝えること──それは、親が子どもにしてあげられる最高のことだろう。僕にもできるかもしれない。

IMG_6390

モノやコトに言葉を添えて、世の中を教えて

昨日カイを学校へ送った後、妻とこんなメールのやりとりをしました。

IMG_6970

私は、カイが立ち止まったり、寄り道することを「時間がかかるなぁ」「遅刻しちゃいそうだ!」としか思っていませんでした。

妻からの「かいくんが(自分で)気がついたモノやコトに言葉を添えて、世の中を教えてあげてほしい」との言葉を聴いて、私の目に映るカイとその世界の姿が変わる気がしました。

カイのサポートブック携帯版

保育園の頃から、カイのサポートブックを、妻が欠かさず作り続けてくれています。
IMG_1202
カードサイズの携帯版
(学校や事業所などには、A4版の詳細版サポートブックを渡してあります。)

表紙には、顔写真にメッセージ♪
カイです。よろしくお願いします!

自閉症で言葉が苦手です。
文字で書いてもらうと、少し分かります。
質問されても、うまく答えられません。
困ったことをしたり、変わったことをします。
まだ3歳くらいの心です。
迷子のときは、危ないので、助けてください!

体が小さいのは、病気のせいです。ぐったりしていたり、
大怪我をしていたら、救急車をお願いします!

このメッセージは、自閉症を知らない人にわかりやすいように、「言葉が苦手」であるとか「3歳くらいの心」という表現をあえて使っています。

本文は、次の項目が1枚ずつまとめてあります。
1 「自己紹介」
2 「連絡先」
3 「コミュニケーション」
4 「身辺自立」
5 「食事」
6 「好きな遊び」
7 「苦手なこと」
8 「問題行動」
9 「かかりつけ医」
この項目と順序は、カイの状態や、渡す相手によって変更をします
サポートブックは、形式も内容も「これで決まり」というものではなく、常に変化をしていくものなんですよね。

携帯版のよいところは、まずサイズがコンパクトなところ。
読むのがラクなので、全部目を通してもらえます。(お医者さんや初めて入るヘルパーさんには重要な点)
ポイントをしぼってあるので、大切なことが覚えてもらえる。
そしてもちろん常時携帯できます!

私も持ち歩いていて、時々取り出して眺めています。

これから初めてサポートブックを作成したい方には、こちらのリンク集をどうぞ。

・発達障害 自閉症 サポートブック
http://www.support-book.net/

(参考)
・togetter: 自閉症・発達障害のわが子を伝えるサポートブック、何を願って、どう作ったらいいの?
http://togetter.com/li/100465

・カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクル : 初トゥギャリました!「自閉症・発達障害のわが子を伝えるサポートブック、何を願って、どう作ったらいいの?」
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/52251375.html

支援者ウォーリー

昨日、ウォーリーさんと久しぶりに食事をしました。
会うたびに、グレードアップしていく旧友がまぶしかったです。
(本人は、「ダメだ。全然できてない!」と常に謙虚ですが)

いろいろなお話をしましたが、一番印象に残ったことを書き留めておきます。

「壁の対応とドアの対応」

「壁」は動かない。=決まったことを決まったとおりの対応をすること。

「ドア」は開いたり閉まったりする。=状況に応じて対応が変わる。

自閉症の特性をもつ人は、一度、誤学習してしまったら、それを上書きする修正がとても困難です。

ある場面において、時に、開いたり、時に、閉まったりする対応は、本人を混乱させてしまう。

だから、「壁」でなければならないときは、(たとえ、そこで妥協したほうがラクな場合であっても)動じないことが必要。すごくキツイこともあるけれど…

「私たちは専門家じゃないが、専門職なんだよ」

という、ウォーリーさんのお師匠さんの珠玉のことばを教えてもらいました。

前に会ったときは、「支援者でもある親」の印象が強かった彼が、「親でもある支援者」の顔で語っていました!
私も、「プロとして向上せねば」と刺激をもらいました。ありがとう、ウォーリーさん。
IMG_0281
シンポジストをつとめた帰り。ネクタイ姿のレアショット

初トゥギャリました!「自閉症・発達障害のわが子を伝えるサポートブック、何を願って、どう作ったらいいの?」

昨日、@kaipapa2shin(私のTwitterアカウントね)が、初めてTogetterでTwitterでのやりとりのまとめをしました。

・自閉症・発達障害のわが子を伝えるサポートブック、何を願って、どう作ったらいいの?
http://togetter.com/li/100465
親が、保育園や学校や地域などの人々に、わが子の特性を伝えるために作成する「サポートブック」。何を願って作るのか? どう作ったらより本人のためになるのか?

このまとめは、@tiyohahaさんのつぶやきから始まります。
@REIKOCZTさんの始めた本来の形、@koumama_さんが若いお母さん達に伝えてる気持ちのものでこそ伝わるけど、良く見る「取扱を誤ると誤作動を起こしますのでインクはメーカー純正品のみ使用可能」みたいなものでは返って…と思うんだ。

これに、@REIKOCZT(自閉症ノブの世界のREIKOさん!)、@koumama_(こうくんを守れ!)が応えて、さらに、@tomjerry_momの未明の連続ツイートで話題は深まり……
ラストは、@sakuraume24の一言で終わります──
新学期新学年新しい環境で支援して下さる側と本人がつながれる前向きなサポブが広がるといいですね(^O^)/さぁわたしも‼

いいですね^^ まとめていて、私もとても参考になりました。

サポートブックとは、自閉症・発達障害をもつ人の周りにいる方々に、本人のプロフィールや得意なこと・苦手なことをお伝えして、支援に役立てるために作成するものです。

このまとめでは、親がどんな思いで、サポートブックを作成しているか、どんなサポートブックを作成し、どう相手に伝えれば活用してもらえるか?について、経験にもとづいたアドバイスが得られます。同時に、しんどくてサポートブックなんか作る余裕がない…、作ったけど読んでもらえなかった…、そんな悲しい体験も語られています。

現実をみすえて、一方的ではなく、本人を中心においたサポートをしていく第一歩にサポートブックがなりますように!

これから初めてサポートブックを作成したい方には、こちらのリンク集が役立ちます。

・発達障害 自閉症 サポートブック
http://www.support-book.net/

いろいろなフォーマットが見つかるので、自分に合いそうなものを選んで、ためしに作ってみてはいかがでしょうか?

ぶどう社の新刊です。私はまだ読んでいませんが、評判です。
重い自閉症のサポートブック
重い自閉症のサポートブック
クチコミを見る

【おすすめ】ジョーの発達障害サポート研究室☆

■【おすすめ】ジョーの発達障害サポート研究室☆オープン

 おすすめサイトを紹介します。

 カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクルのパートナーブログ、TamagoBlogのジョー(Tamago改め)さんが、本日コンセプトを一新! 名前とブログタイトルも変えてスタートしました!

 タイトルは、「ジョーの発達障害サポート研究室☆」(略称JO研)

 コンセプトは、

〜だれでも使えて、本人がたのしんで成長・生活できる支援グッズ、療育方法を研究開発しています〜
いつの日か「世界中で愛される療育教具、支援グッズの開発」を目指し、今日から新たなスタートです。読者の皆様、今後ともヨロシクお願いします(^^)/
 志が高い!

 ジョーさんの話では、もしもいいグッズができたら欲しい方に販売してシェアできるかも? と構想しているそうです。工作がだいっきらいな私みたいな人(少なくないはず!)には、そちらの展開も楽しみですね。

 JO研、期待してます。

・ジョーの発達障害サポート研究室☆
http://tamago-picture-world.cocolog-nifty.com/blog/

いきつけの歯医者を見つけよう

■いきつけの歯医者を見つけよう

★いきつけの歯医者さん

 自閉症スペクタクルの子どもたちにとって、虫歯は大問題です。
 歯をおとなしく磨かせてくれる小さい子どもは少ないですよね。虫歯の治療が必要になっても、治療不能で悪化させてしまう恐れがあります。
 そこで、普段から、いきつけの歯医者さんを作り、虫歯でなくても、定期的に歯科医でフッ素塗付など診てもらうことをおすすめします。
続きを読む

噴水☆キラキラ

噴水きらきら

■噴水☆キラキラ

 自閉症の子をもつ親にとって、「好きなこと」「興味のあること」を見つけてあげることはとても大切です。
 なぜなら、自閉症は認知の障害なので、本人が自然に興味のあることを見つけることが難しいからです(集中力が持続しない特性もあります)。
 カイはキラキラする、チカチカする、「光」モノが大好きです。

 写真は、名古屋テレビ塔の南にある池です。光が反射してとてもまぶしい! カイは光る水面に魅せられて動こうとしませんでした。

 木々の木漏れ日、ガラスの乱反射、虹色の油膜、電光掲示板、ネオン、ゲームセンター、どれもキラキラする光です。
 カイの目の中で、光が満ち溢れ、自分も光になったみたいに解放されているのかな?

【ヒント】外出時:心の支えをもつ

地下鉄電光掲示板

★【ヒント】外出時:心の支えをもつ

 自閉症スペクトラムの子どもたちにとって、環境の変化は大きなストレスです。

 外出や旅行などいつもの生活パターンと違うため、混乱して、奇声や多動が起きた
り、迷子になったりと心配ごとがつきません。
 親は「どうやって乗り切るか」と頭を悩ませる場面です。「いっそ出かけるのをや
めようか」とあきらめてしまうことも珍しくありません。想像するだけで疲労しきっ
た気持ちになりますから。
続きを読む

【HP】お菓子ができるまで

ミルキー工場

★お菓子ができるまで

今朝は、いつも私が巡回しているブログから見つけた掘り出し情報を紹介します。

pblog 2003/12/28記事
「お菓子ができるまで」

 お菓子ができるまでの過程を、工程ごとに、単純なアニメーションで説明するホー
ムページを紹介しています。たとえば、

不二家ミルキー工場見学ツアー

ヴィジュアル(視覚的)で、かつ単純化して伝えてくれるので、自閉症の子ども
にもわかりやすいのでは? お菓子は、みんな大好きですしね!

これはパソコン教材の題材としてもヒントになると思いました。
pizzaさんのこの上記記事には他にもたくさんインターネットで見られる工場見学の
情報があります。ぜひご覧ください。

【追記】
「レゴブロックが出来るまで」
 英語サイトですが、言葉は関係ありません。視覚的です。すっごく面白い! ぜひご覧ください。

pizzaさんにコメントで教えていただきました。ありがとうございました!

【注意】ビジュアルドライブに気をつけて

レイク

【注意】ビジュアルドライブに気をつけて

 毎週水曜日は「支援のヒント」と題して、自閉症の人の支援に役立つ(と私が思う)ちょっとしたヒントを紹介しています

★ビジュアルドライブ
 自閉症の人は、視覚刺激に反応して動かされてしまう傾向があります。これを「「ビジュアルドライブ」」と呼びます。

 たとえば、大好きなバスが見えたので、反射的に車道に飛び出してしまう、自分でも止められず身体が動いてしまう…。この瞬間、周りは全く見えていません。状況も忘れています。
続きを読む

【構造化】探索行動への対策編(2)

ラップ

【構造化】探索行動への対策編(2)

 12月10日記事の続編です。水曜日は自閉症の人への「支援のヒント」を掲載しています。
 支援費単価切り下げの非常事態のなかで、連載記事はお休みにすべきか、とも思いましたが、これはこれで続ける意味があると思い更新します


(厚生労働省案への撤回要望書(ひな形)は、一つ前の記事です!)

★3 高層化しよう
 子どもの手に届かないところへ、ものを移動しましょう。構造化ならぬ「高層化」ですね。

 危険を避けるため、また、叱るストレスを減らすための工夫です。

★4 ラップな我が家
 ものも減らした、ロックもした、けれどもガラスごしに「大好きなビデオテープ」や、棚の上に「大好きな電話機」が見えていたらどうしても触りたくなってしまいます。
続きを読む

【構造化】探索行動への対策編(1)

ふすまカギ

【構造化】探索行動への対策編(1)

 前回の支援のヒント(12月4日記事)では、部屋をキレイに保つことをお話しました。けれども、それは自閉症の人の探索行動との終わりのない戦いとなりがちです。
 今日はその対策について書きます。

★1 物を減らす
 自閉症の人は視覚情報に強く反応する特徴があるため、視覚刺激が多い状況では落ち着かなくなりがちです。
 これは、キライなものが多い状況だけではなくて、好きなものがたくさんある場合でも反応して動いてしまうのです。
 ですから、落ち着きを生み出すために物を減らしましょう。
 棚や引き出しから物をなくせば、いずれ「そこに何もないこと」を理解し、探索行動をやめます。

※注意※
続きを読む

【構造化】部屋をキレイに保つ

あいうえおマット

【構造化】部屋をキレイに保つ

 おはようございます。カイパパです。

 今日は、カイママからの聞き取り情報をもとに、「支援のヒント」をお送りします 

★部屋をキレイにしよう
 なんじゃそりゃ? と思われるかもしれませんが、自閉症の人(特に幼児)の場合、異色、拾い食い、なめる危険を減らすために日々の掃除は欠かせません。

「そんなもの食べちゃダメでしょ!!」と激怒するより、しからないですむ工夫がいいですね。しかっても、伝わりにくいので。

★片付けても片付けても…
 片付けても、片付けても、再び散らかされ汚されるのがオチなのですが、あきらめずに淡々と片付けつづけましょう。
 片付ける行為も子どもは見ていて、「秩序に戻す」ことの意味を少しずつ理解していってくれる(ハズです)。

 ……でもつらい。執拗な「探索行動」への対応のヒントは次回の支援のヒントで

写真:片付けても片付けても…完全にバラバラにされた「あいうえおマット」

【食事】目で食べる

お好み焼き

【食事】目で食べる

 カイパパ@4歳自閉症男の子の父です。

★このジャンルの説明〜支援のヒント

 自閉症の人に対する支援・サポートについてのヒントを、ささやかですが掲載していきます。
 実体験、お友達からの情報、本、講演会からの受け売り、色々ありますが、そのつど根拠を明示していきますね。
「支援の手法」といっても、自閉症の人は様々なので、ある人には有効でも他の人には全然合わないこ うちの子も、偏食があります。ただ、妻が努力して一つずつ増やしてきて、今ではだいぶ食べられるものが増えてきました。

 そこで、食事のバリエーションを増やすためのヒントです。

 カイの場合は、「お好み焼き」の形にすると食べるという「強み」があって、最初食べさせようとして拒否したものでも「お好み焼き」に加工しなおすと食べてくれることが多くあります。つまり、「味」よりも「見た目」で判断して食べているんですね。目で食べている。
 初物や苦手なものは、お好み焼きの形で食べてさせて、だんだんと形がわかるようにしていきます。既に味には慣れているので、普通の形でも食べられるようになる、というのが理想のステップです。今もよく使っている方法です。いつもうまくいくとは限りませんが(カイの方がウワテの場合が増えてきました)。

「見た目」に着目して工夫するのは、食のバリエーションともあります。ですから、あくまでも「ヒント」として活用していただけたらと思います。

★偏食がきつい

 自閉症の人の多くは偏食が強いです。
 たとえば、「白いものしか食べない」とか「決まった銘柄の飲み物しか飲めない」とか。「白いごはんは食べられなくて、かやくごはんなら食べる」「野菜炒めのように色々なものがごちゃまぜになっていると手も触れられない」とか。
 レストランへ行っても食べられる物がなくて仕方がなく持参のボーロをずっと食べていた、なんて経験をされた方いませんか。

 偏食の理由は様々だと思いますが、自閉症の特性として、「初物(初めてのもの)が苦手」ということがあります。つまり、自分の知らないものは不安=知っているものに固執する傾向があります。これが極端だと「こだわり」と呼ばれます。

★目で食べる
続きを読む
about us

カイパパ

ブログ内検索

WWW を検索
このブログ内を検索
最新コメント
カテゴリ別
月別過去記事