カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクル

〜自閉症から広がる、チャレンジに満ちた新しい世界!〜

障害者支援費

制度ありきで考えるから

さえすけ母さんの記事に共感──

・あおいそら♪ しろいくも:年の初めに・・・
http://saesuke.cocolog-nifty.com/saenosinsaetarou/2010/01/post-4828.html
そうだよね。別に、制度にこだわることないよね。制度ありきで考えるから、活動の可能性が限られてしまう。もっと、さえすけが住む地域に目を向けて、やってみればいいんだよね。

私たちは、昔に比べたらものすごく恵まれています。私たちは、過渡期を見てきたから、それがわかります。
それでも「サービスがあるのが当たり前」になっているときがある。
だけど、当たり前ではないんだよね。

カイも来年6年生。中学生になると、支援サービスの内容が変わってしまう。どうしよう?と考えているところです。

大切なことを気づかせてもらいました。さえすけ母さん、ありがとうございます。

65歳以上介護保険料 低所得者層の負担軽減方針 厚労省

■65歳以上介護保険料 低所得者層の負担軽減方針 厚労省

 ニュースリーダー。
 障害者支援費制度の将来を考える際に、介護保険制度の動きを注視する必要があります。
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エピソードによる批判の危険さ

■エピソードによる批判の危険さ

「障害者支援費制度の方針(2)〜今後考えるべきことへのコメントを1件削除しました。
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■障害者支援費制度の方針(2)〜今後考えるべきこと

■障害者支援費制度の方針(2)〜今後考えるべきこと

「障害者支援費制度の行方(1)〜福祉の街づくりフォーラムinちたにて」
 からの続きです。

★今後考えるべきこと

 障害者支援費の介護保険への統合(+介護保険の範囲を超えた部分は税による支援サービス提供制度は残す)の方針が出たとしても、平成17年度からいきなり「介護保険で」ということは時間的に間に合わないでしょう。2〜3年かけて移行期間を設けると予想します(もっとピッチは早いかも)。

 その間に、私たちがすべきことは
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■障害者支援費制度の行方(1)〜福祉の街づくりフォーラムinちたにて

■障害者支援費制度の行方(1)〜福祉の街づくりフォーラムinちたにて

福祉の街づくりフォーラムinちたへ参加してきました
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【障害者支援費】施設への補助と居宅支援サービスへの補助どこがちがう?

■障害者支援費制度と介護保険との統合〜施設への補助と居宅支援サービスへの補助どこがちがう?

★注目サイトの言及〜支援費制度と介護保険との統合について障害者施設はどう考えている?

 私が最近注目しているサイトに、

・障害福祉〜かざぐるま
http://maroon.way-nifty.com/welfare/

・くもり、のち、はれ(介護保険日記)
http://tauler.tea-nifty.com/kaname/

 があります。
 障害者支援費制度と介護保険との統合問題について、タイムリーな情報提供を行っており、とても参考になります。
 両サイトが同時期に、介護保険との統合問題について、障害者施設に関する議論がほとんど聞かれないことを記事にしています。

・くもり、のち、はれ: 介護保険日記21 障害者部会、部会長案を介護保険部会に提示
http://tauler.tea-nifty.com/kaname/2004/06/21.html
少し気になるのは、支援費の費用構成。
全国レベルではっきりと現れていますが、支援費は介護保険よりもずっと施設重視。
施設経費に比べれば、在宅支援など微々たるもの。
けれども、施設への言及、少ないような気がします。

・障害福祉〜かざぐるま: 支援費制度改革〜障害者施設では?
http://maroon.way-nifty.com/welfare/2004/06/post_17.html
支援費制度(障害者施策)と介護保険制度の統合問題については、障害者施設団体の動きが鈍いことがかなり気になっています。
例えば、知的障害者施設の団体である日本知的障害者福祉協会。
会員専用ページ(会員=協会加盟施設)に統合問題に対する見解が掲載されているものの、一般向けには非公開で、非常に違和感があります。
要するに、障害者施設として何を考えているのかが、ほとんど伝わってこないのです。
このことは、障害者施設独特の「閉鎖性」を端緒に表わしている、と言い切っても、決して過言ではないでしょう。
言い換えれば、「まさに変わろうとしている」障害福祉に対する危機感が、きわめて希薄なのです。

★危機感が希薄なワケ〜施設に対する補助は法に定められた「義務」

 支援費予算が不足する危機的状況の中、施設に関する言及がない、施設に危機感が希薄、なのは合理的な反応といえます。
 なぜなら、施設にかかる費用は、国が10分の5を負担することが、知的障害者福祉法で「義務」付けられているからです。
 一方で、居宅支援サービスに関する補助は、2分の1以内を補助することが「できる」規定となっており、国の予算のうち、まず義務的な補助を支払ってしまった後に、余ったお金で居宅支援サービスへの補助額を国の裁量で決めることができるという構造になっています。

 ノーマライゼーションの思想、地域で暮らす、と国も言い始めている中で、このままの制度でいいのか。障害者支援費制度は、単に財源の問題ではなく、これまでの施設重視の施策の見直しと密接にリンクしています。

【参照条文】
・法庫:知的障害者福祉法
http://www.houko.com/00/01/S35/037.HTM#s5
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障害者支援費財源170億円不足の見通し

■障害者支援費財源170億円不足の見通し

 障害者支援費制度をめぐる動きも激しい。

・朝日新聞(2004年6月22日)障害者の在宅サービス補助、約170億円不足の見通し
http://www.asahi.com/politics/update/0622/005.html
 身体・知的障害者を対象にした障害者支援費制度で、04年度の国の在宅サービスの補助金が当初予算で約170億円不足する見通しであることが22日、厚生労働省の試算でわかった。財源のめどはたっておらず、障害者の生活や市町村財政への影響は避けられそうにない。03年度に始まってから2年連続100億円を超える大幅な不足で、制度は早くも存続自体が危ぶまれる状況だ。
 不足が見込まれるのはホームヘルパーを派遣したり、グループホームの運営を支援したりする市町村のサービスで、費用は全額税金で賄う。2分の1を国が補助し、都道府県と市町村が4分の1ずつ負担する。

 介護保険との統合うんぬんより先に、早くも今年度中に市町村からのサービス支給量の切り下げが実行されそうです。

 施設関連の補助金は法律で国の補助が「義務」と定められています。しかし、地域生活を支えるホームヘルプなどへの補助金は「任意的」です。
 制度上は、国は自治体に対して「予算がないから、これ以上は補助金を払えません」と言えてしまいます。

 2002年度初めに支援費決定を受けた方は、そろそろ継続申請の時期が来ます。今までと同じ量の支援費決定が受けられるかどうか? 自治体も、国から補助金が下りてこないと見えた状況では、なりふりかまわず切り捨ててくる可能性があります。

 昨年は「支援費制度スタートの年に、国がお金がないから払わないとしたら、二度と自治体は国を信用せず支援費制度は失敗に終わる」ということから、厚生労働省は省内の予算をかき集めて異例の対応をしました。
 同省は4月にホームヘルプサービスの報酬単価が引き下げられたことなどで不足額は25億円前後減ると見込んでいるが、残りの約145億円をどう補うか、めどはたっていない。

 03年度も当初予算で516億円を計上したが、128億円が不足。省内のほかの予算を流用して約114億円分穴埋めした。障害福祉課は「(2年連続の)流用は極めて困難で、制度上補正予算も難しい」としている。財源が確保されなければ不足分は自治体財政で賄うことになるため、サービス支給を抑える市町村も出かねず、障害者の生活にも影響が出そうだ。

 いったい、どうなる…?
 今は6月。2004年度が始まって、まだ2か月しか経っていません。この時期に厚生労働省が試算結果を公表したところに、彼らの考えているところが見えてきそうです。

【参考記事】
・kotora★blog: 居宅支援費 170億円不足!!
http://kotora.blogzine.jp/kotora/2004/06/170.html

【過去記事】
・【支援費】状況の整理
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/25234.html
 自治体への「萎縮効果」について。

介護保険・障害者支援費統合〜育成会容認へ

■介護保険・障害者支援費統合〜全日本手をつなぐ育成会容認へ

 昨日の記事「介護保険・障害者支援費統合容認の中間報告書案」の続報です。

・朝日新聞2004年6月8日:障害者福祉と介護保険の統合、知的障害者団体が賛成へ
http://www.asahi.com/health/aged/TKY200406070287.html
 05年の介護保険見直しの焦点である障害者福祉との統合について、知的障害児・者と家族でつくる「全日本手をつなぐ育成会」(32万人、東京都港区)が統合に賛成する意見書案をまとめたことが、7日わかった。厚生労働省と協議している身体・知的・精神障害者の8団体のうち、初めて賛成を打ち出す。各団体が考えを示す厚労省の意見聴取を18日に控え、統合論議に影響を与えそうだ。
 意見書案は、03年度にスタートした障害者支援費制度が「財政的に破綻(はたん)状態」である、と指摘。障害者の地域生活を支えるサービスの増加に対応するには「支援費制度の改革のみでは不十分」とし、「安定財源を保障するため介護保険との統合は必然」と結論づけている。地方組織の意見を聞き、16日に正式決定する。
 藤原治理事長は「1割の自己負担が必要になるなど課題は多いが、新しい方向性をつくらないといけない」と説明する。
 厚労省は増え続ける介護保険のサービス費用を賄い、障害者福祉を充実させるため、40歳以上となっている介護保険の被保険者年齢を引き下げ、障害者福祉と統合することを検討している。
 障害者団体には「介護保険には上限があり、必要な介護を受けられなくなる」「高齢者と障害者のサービスの内容は違う」など不安が根強く、統合に慎重な意見が多い。


 一方で、本日6月9日正午日比谷公園にて、介護保険統合・一般財源化反対の集会「6.9障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」が開催されます。
 身体・知的・精神障害といった障害別による分断が生じることは将来的にもマイナスです。
 どうしたものか。まずは自分なりに考え続えないと。来年、希望したとおり障害者支援費を使えているかどうかわからない。

【謝辞】
 こうままさんからコメントで上記記事のURLを教えていただきました。

介護保険・障害者支援費統合容認の中間報告書案

■介護保険・障害者支援費統合容認の中間報告書案

 こちらも動きあり。現在あるサービスの変更、将来のあり方に関わります。切実…。

・毎日新聞2004年6月5日:介護保険・障害者支援費
統合容認の中間報告書案を提案−−厚労省部会
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/06/05/20040605ddm002040173000c.html
 介護保険と障害者支援費の両制度の統合問題について、厚生労働省の社会保障審議会障害者部会で4日、障害者施策のうち介護保険の範囲に収まらない分を別建てで対策を取ることを条件に、統合を容認する中間報告書案が提案され、本格的な議論が始まった。安定財源の確保から賛成意見が出る一方、介護保険の適用外部分が不明として慎重な意見もあった。今月中に中間報告書をまとめる方針だが、一部の障害者団体は強く反対しており、統合を明確に打ち出せるかは不透明だ。【玉木達也】

 全文をお読みください。分析については後日。

【解説】障害者支援費と介護保険の統合問題

【解説】障害者支援費と介護保険の統合問題

★はじめに〜世間一般の反応
 週刊!木村剛: 今度は介護保険かよ!の記事を読んで、障害者福祉の世界以外では、「介護保険の負担層拡大」は厚生労働省の権益拡大の一環にすぎない、といったイメージで捉えられていることを認識しました。
 厚生労働省の肩を持つわけではありませんが、現在、当事者団体を含めた真剣な議論をしていることを知っていただきたく、「障害者支援費と介護保険の統合」「介護保険負担層の拡大の提案」についてのアウトラインをまとめました。

★障害者支援費と介護保険の統合の話はなぜ出てきた?
 2003年度に制度が開始された「障害者支援費制度」は障害者のサービス利用の増加により(それだけニーズがあったということ)、財源不足が恒常的であることを露呈しました。
 一方、介護保険は制度開始時に「5年後の見直し」をあらかじめ設定しており、2005年度が見直しの年となります。(したがって、今年が見直し作業の年)
 また、介護保険の制度設計時に、「高齢者と障害者すべてに対する保険(老障一元化)」は検討されて見送られた経緯があります。

 厚生労働省は、2004年1月に障害者団体に対して、「介護保険と統合することによって、障害者支援費の財源不足を解決したい」旨の提案を行いました。厚生労働省としては、介護保険の負担層の拡大を認めてもらうため「障害者福祉のため」という大義名分を掲げる意図もあるのでしょう。

 障害者団体側は、「現在の障害者支援費制度は財源の問題以外は、欠陥がほとんどない。一方の介護保険サービスは、著しく低いサービス上限や自己負担など障害者にとって受け入れがたい内容である」として、統合に対する反対の姿勢を示しています。

 しかし、時間はどんどん過ぎていき、社会保障費に対する他省庁・世論の包囲網が強まる中で、本当にノーマライゼーションを実現するためにはどうしたらいいのか、現実的・具体的に考えなければいけない時期が来ています。残念ながら時間をかける余裕はなさそうです。

 詳しくは、2004年5月21日付の「社会保障費をめぐる国の綱引き〜介護保険制度改革のリーク記事?」をお読みください。
 
【過去記事】
・障害者支援費カテゴリー記事
https://image.blog.livedoor.jp/kaipapa2shin/archives/cat_4897.html

障害者支援費制度をふりかえる

■障害者支援費制度をふりかえる

 ここしばらくは、障害者支援費制度についての記事が多くなります。

 そもそも「障害者支援費制度ってなに?」という質問にお答えして、過去記事でおさらいできるようにリンクをまとめました。よかったらご利用ください。

・【支援費】支援費制度をまったく知らない人のための早わかりガイド 2003年12月16日
https://image.blog.livedoor.jp/kaipapa2shin/archives/25663.html

 障害者支援費のサービス単価切り下げ案が年末に突然出された際に書いた記事です。

・【支援費】状況の整理 2003年12月18日
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/25234.html

 支援費の予算オーバー、単価切り下げ、抗議、撤回の流れを整理したもの。

・【支援費】財源問題:介護保険との統合を検討(厚生労働省) 2004年01月02日
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/29187.html

 財源不足の解決として、厚生労働省が介護保険との統合を提案しました。しかし、これはもともと介護保険の2005年度見直しに向けて、たとえ障害者支援費の財源不足がなかったとしても、検討はされていたことでした(と最近になってわかりました)。

・【支援費】介護保険との統合 障害者8団体話し合いに応じる 2004年01月29日
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/75783.html

 1月22日から話し合い開始。しかし、統合についての明確な結論はいまだ出ていません。

・【支援費】サポート! 厚生労働省 2003年12月21日
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/25225.html

 ここで書いたように、私は厚生労働省は「福祉の番人」なのだから、叩いたりなじったりするだけではダメで、この現実の中でよりよい方向性と解決を見出すためにサポートするべきだというスタンスです。物分かりよすぎる、という批判されそうですが、しかし、状況は本当に悪いんです。

・社会保障費をめぐる国の綱引き〜介護保険制度改革のリーク記事? 2004年05月21日
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/660226.html

 社会保障費削減の包囲網が完全にしかれた。それに対する防御策として厚生労働省が放った統合案・介護保険の負担層の拡大案。

 さあ、どうする。
 この問題は、障害者に限らず無関係な人が誰もいない、問題です。「福祉とは国のあり方の問題だ」と聞いたことがありますが、まさにそのとおりなのですね。

 私の中に結論があるわけではありません。一緒に考えていきたいと思います。
 さしあたっては、5月16日の「介護保険と障害者支援費を考える討論集会」の整理から始めます。


【参考】
・厚生労働省:障害者施策に係る支援費制度について(リンク集)
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/syakai/sienhi/index.html

・厚生労働省:介護保険制度について(リンク集)
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/index.html

社会保障費をめぐる国の綱引き〜介護保険制度改革のリーク記事?

■社会保障費をめぐる国の綱引き〜介護保険制度改革のリーク記事?

★1 3つどもえの綱引き

 社会保障費(この中には、公的年金も、介護保険、健康保険、障害者支援費制度などすべてが含まれる)をめぐる国の綱引きが激しくなってきました。
 カイパパが注視しているのは以下の3つの動きです。

・(1)財政制度等審議会(財政審)→平成17年度予算編成方針に影響を与える
 (財務大臣の諮問機関)      【錦の御旗】財政健全化、歳出改革
  事務局:財務省

◇平成17年度予算編成の基本的考え方について(建議)(2004年5月17日公表)
・財政制度等審議会:平成17年度予算編成の基本的考え方について
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/tosin/zaiseia160517/zaiseia160517a.htm

【報道】
・毎日新聞2004年5月18日:財政審:予算編成で建議提出 来年度予算、歳出の抑制の重要性強調 
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/05/18/20040518ddm008010068000c.html

・(2)経済財政諮問会議→「骨太の方針」予算編成方針にも影響を与える
 (総理大臣の諮問機関)【錦の御旗】構造改革
  事務局:内閣府

◇骨太の方針2004素案(2004年5月19日公表)
・内閣府 経済財政諮問会議:第11回会議情報(平成16年5月19日)
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/new.html

【報道】
・朝日新聞2004年5月19日:特別会計抑制へ目標策定へ 骨太の方針・第4弾素案了承
http://www.asahi.com/business/update/0519/129.html

・朝日新聞2004年5月19日:保険料徴収見直し 「骨太の方針・第4弾」素案
http://www.asahi.com/money/pension/news/TKY200405180417.html

・(3)社会保障審議会→障害者支援費と介護保険などの制度設計に影響を与える
 (厚生労働大臣の諮問機関) 【錦の御旗】ゴールドプラン、障害者基本計画など
  事務局:厚生労働省

◇答申は6月の予定

★2 分析――厚生労働省は出遅れている

 財政審も経済財政諮問会議も「社会保障費の抑制」を重要な柱として掲げ、すでに公表されました。特に、財政審は、社会保障費と地方への補助金の削減について、「憎悪」さえ感じるような気合が入っています(一方、防衛費やODAについては、さらっと触れただけ)。経済財政諮問会議は、どちらかというと構造改革、景気回復、経済再生がメインテーマなので、社会保障制度が一番の課題と強調しているわけではありませんが、メンバーである奥田経団連会長や谷垣財務大臣が、財政審の建議をベースに社会保障費の削減・数値目標の設定について主張しており、最終答申には何らかの社会保障費抑制の趣旨が盛り込まれる予想です。

 一方の社会保障審議会は、障害者支援費と介護保険との統合問題での結論が見えず、出遅れており、攻め込まれています。

 財務省と官邸から、「社会保障費削減、数値目標設定」と迫られているのに対して、「お金は必要です。でも、制度設計は現在話し合い中です」と冷や汗をたらたら流しながら説明しているような状態です。これでは、夏の概算予算要求は乗り切れないでしょう。

★3 リーク?――朝日新聞2004年5月20日記事

 どうするんだろう? と思ってみていたら、朝日新聞がスクープを打ちましたね。

・朝日新聞2004年5月20日:20〜39歳からも半額介護保険料を徴収へ 厚労省案
http://www.asahi.com/national/update/0520/015.html

■20〜39歳からも半額介護保険料を徴収へ 厚労省案

 05年に予定される介護保険制度の初の本格的な改正へ向けた、厚生労働省案の骨格が19日分かった。新たに20〜39歳も被保険者に加え、40〜64歳の保険料の半額程度を徴収する内容を柱に検討している。同時に給付対象も、現行制度の高齢者から、障害者や難病、末期がんなど、介護や支援が必要なすべての人に広げる。身体・知的障害者の現行支援費制度も統合する。介護保険財政が行き詰まる懸念を背景に、当初の介護保険の目的を大きく転換する内容で、論議を呼ぶのは必至だ。

 ニュースソースが明らかではありませんが、具体的な内容を記者は確信を持って書いています。うがった見方かもしれませんが、攻め込まれている厚生労働省(のかなり上層部)が意図的にリークしたのではないでしょうか。
 00年度に導入された介護保険制度は、高齢化による利用者の急増で、04年度当初予算で5.5兆円の給付総額が25年度には約20兆円になると見込まれる。現在の仕組みでは、被保険者の負担が過大になるのが確実で、財政安定化が課題となっている。03年度に身体・知的障害者を対象に始まった障害者支援費制度も、初年度から財政が行き詰まっており、介護保険との統合で解決を図る。
 介護保険の担い手を拡大する場合、負担に見合う給付の充実が必要になる。現行制度は、40〜64歳は脳梗塞(こうそく)など加齢に伴う15の特定疾病でなければサービスを受けられないなどの問題点も指摘される。
 このため、介護保険の目的自体を「全国民の介護・支援を全国民で支える」との内容に大幅に拡大する。高齢者や身体・知的障害者のほか、現在は支援費の対象でない精神障害者や各種の難病、末期がん患者も、要介護認定を受ける条件で対象にする方向で検討。児童福祉法で介護を受けたり施設に入ったりできる障害児が18歳未満のため、被保険者にしない18、19歳も暫定的に給付対象に加える案が有力だ。
 厚労省は今後、正式案を9月にも公表、12月末に政府の介護制度改革大綱を決定する。来年1月の通常国会に関連法案を提出し、3年ごとの介護報酬見直し年度でもある06年度から実施したい考えだが、被保険者や給付対象の拡大範囲、保険料の徴収水準などで与党と調整が難航することも予想され、ずれ込む可能性もある。

 これが、厚生労働省が考えている制度なのですね。
 5月16日の「介護保険と障害者支援費を考える討論集会」で、パネリストの方が「厚生労働省は、"着物のそでから鎧が見え隠れする"ようなマズイやり方をしているなあ」と感想をもらしていましたが、そのとおりですね。
 討論集会での厚生労働省の村木厚子障害保険福祉部企画課長のお話は、一所懸命に当事者の意見を聞きながら決めていこうとしているんだなと感想を持ちましたが、厚生労働省としての制度設計案は既にあるのだろうと思っていました。

 私は、財政審の建議、経済財政諮問会議での議論内容、そして何よりも小泉総理大臣のキャラクターを検討してみると、このまま決断できずにズルズルいくと最悪のシナリオが待ち受けている気がします。
 厚生労働省は「あの朝日新聞の記事は、内部の案が流出しただけ」と火消しに回るのではなく、正々堂々と「これで進めたい。これしかないと思っている。その上で、障害者に必要な部分の中身の議論に入ろう」と宣言するべきだと思います。
(こんなはずじゃなかったのに…と私も思うのだけれど……)


【参考サイト】
・全国自立生活センター協議会:特集:介護保険と障害者施策
http://www.j-il.jp/jil.files/kaigohokenn/kaigohoken_top.htm

【過去記事】
・障害者支援費と介護保険との統合問題:財政制度等審議会4月13日
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/452683.html

・【討論集会】介護保険と障害者支援費を考える討論集会
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/580326.html

障害者支援費と介護保険との統合問題:財政制度等審議会4月13日

■障害者支援費と介護保険との統合問題:財政制度等審議会4月13日

 障害者福祉を考える際に、国の財政に関する動きをウォッチしておく必要があります。
 障害者福祉のための施策を立案し、予算要求をするのは厚生労働省の役割ですが、その要求に対して予算をつけるかどうかは、財務省が決めます。
 障害者支援費制度と介護保険制度との統合など、社会福祉制度全体の見直しが進められようとしていますが、財務省は以下で紹介する財政制度等審議会での方針を自分たちのよりどころとして予算査定を行います。
 したがって、まだ5月ですが来年度予算に向けての動きは要チェックです。

・asahi.com : マネー:歳出削減の道筋探る 財政審 朝日新聞2004年4月8日
http://www.asahi.com/money/kaisetsu/TKY200404080120.html
 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は7日、財政制度分科会の合同部会を開き、05年度予算編成に関する論議を始めた。財政赤字が膨らんでいるため、増え続ける社会保障関係費の抑制や地方交付税などの歳出削減を中心に検討する。だが、歳出削減には、04年度予算で交付税を削られた地方自治体などの反発も強い。景気の回復傾向に水を差さずに財政再建の道筋をつけられるかどうかが焦点だ。

 この報道の続報――
・朝日新聞:来年度予算 社会保障抑制を検討 財政審 介護保険など対象 2004年4月14日 Web版なし

 財政制度等審議会は13日、05年度予算編成に向けて、高齢化の進展で増え続ける社会保障関係費を抑える方策の検討を始めた。利用者が急増する介護保険制度の見直しや、年金や医療、介護などの重複による過剰給付の抑制などが議論される。だが、年金に続く負担増には、国民からの強い反発も予想される。

 05年度予算では、利用者が急増している介護保険制度の改革が最大の焦点になる。開始から4年足らずで介護保険の利用者は約290万人に増加。04年度予算の給付費5.5兆円は、このままでは25年度は約20兆円に拡大する見込みだ。
 財政審は5月中旬に、利用者の本人負担の割合を現行の1割から医療保険並みの2〜3割へ引き上げることや、施設での居住費、食費の給付削減などを提言する構えだ。
 厚生労働省も、給付見直しの総論では財政審の考え方と一致する。00年度に始まった介護保険は5年後の見直しが法律で決まっているため、9月にも同省の案をまとめる方針だ。保険料を支払う被保険者の範囲を40歳以上から20歳以上に広げ、若い人が障害者になると介護サービスを受けられるようにすることが最大の論点だ。…

 新聞記者は勘違いをしています。現在でも、若い人が障害者になれば障害者支援費によるサービスを受けることができます。引用した最後の段落からのぞく厚生労働省の真意は、「介護保険徴収を20歳以上まで広げる。その理由として、障害者支援費と介護保険制度を統合するため、という錦の御旗を利用する」ということを意味します。
 障害者支援費と介護保険との統合は、もはや既定路線として推し進められています。

 私は『当事者主権』(66ページ以下)を読んで、介護保険の「老障一元化」(=年齢にかかわらずすべての障害に対して、必要なときに必要な介助・介護を提供しようという理念)に障害者団体が反対してきた理由を知りました。
介護保険のサービス提供額の上限が、これまで障害者当事者が獲得して自治体からの介助サービスの水準に及ばず、そのまま老少一元化を実現すれば、障害者サービスの大幅な切り下げになることが目に見えていたからである。

 カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクルは、現在の障害者支援費制度のサービス水準の引き下げになる介護保険との統合に反対です。でも、どうしたらいいんだろう?
 
(1)まず、現在必要なサービスを利用していない人は、支援費の利用を始めること。
「こういう生活が自分たちには必要だったんだ!」という当事者のニーズの証明になります。
(2)介護保険との統合問題
 介護保険と障害者支援費を考える5.16討論集会を聞いて、介護保険が保険であることのメリットを活かしつつ、段階的な統合をしていく道しか残されていない――という感触です。後日詳しく報告します。

★財政制度等審議会の建議が出ました
・財政制度等審議会:平成17年度予算編成の基本的考え方について(建議)
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/top.htm

【関連記事】

・【支援費】厚生労働省が介護保険との統合協議を呼びかけ
https://image.blog.livedoor.jp/kaipapa2shin/archives/64841.html

・【支援費】介護保険との統合 障害者8団体話し合いに応じる
https://image.blog.livedoor.jp/kaipapa2shin/archives/75783.html


【参考サイト】
・財務省:財政制度等審議会(財務相の諮問機関)公式サイト
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/top.htm

・財政制度等審議会財政制度分科会 歳出合理化部会及び財政構造改革部会合同部会
(平成16年4月13日)資料一覧
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseic/zaiseic160413.htm

 ここで4月13日に配付された資料が全て読めます。
 社会保障関係だけでも、116ページの資料です。議論の前提となる基礎データがここにそろっています。

・財政審(2004年4月13日)議事要旨
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/gijiyosi/zaiseic/zaiseic160413.htm

★財政審(2004年4月13日)議事要旨←カイパパの注目ポイント
・生活保護の対象者について「能力等を全てを活用」した上でも、という部分が制度の実態としては弱いのではないか。障害者に対し、能力を活用する努力を支援するよりも、福祉サービスをただ費消するだけの者にさせてしまっている場合も少なくない。自分が主宰する団体では、多くの障害者や高齢者が社会を支える側に回るべく努力している。何でも人に保障してもらおうという安易な風潮について、日本の社会も頭を切りかえる分水嶺に来ているのではないか。

 ↑
発言者名は明記されていませんが、竹中ナミ委員の発言でしょう。竹中さんは、「高齢者も障害者も身の丈にあったかたちで働くことができる」「そして、そこに福祉施策も注力していくべきだ」というチャレンジドのエンパワメントについて発言されたと想像するのですが、要約されることで「障害者を甘やかすな」といったニュアンスに利用されちゃっていますね……。役所は怖い。

 もう一点チェック。
・今回の建議では、介護について、介護サービス従事者に外国人を採用するなどの参入面での規制緩和を含め、「介護サービスの効率化」に重点を置いて議論すべき。

 この問題は根深い。自由貿易協定(FTA)のこととからめて、いつかお話したいと思っています。

【討論集会】介護保険と障害者支援費を考える討論集会

■【討論集会】介護保険と障害者支援費を考える討論集会

 中日新聞2004年5月11日より
★介護保険と障害者支援費を考える討論集会
 【日 時】:2004年5月16日(日) 午後1時〜4時半
 【場 所】:名古屋市公会堂4階第7集会室(名古屋市昭和区鶴舞1)
 【内 容】:村木厚子・厚生労働省障害保険福祉部企画課長が介護保険制度見直しと障害者支援費について報告。斉藤まこと・名古屋市議、伊藤光保・NPO医療と保健と福祉の市民ネットワーク東海理事長、北野誠一・大阪地域生活支援ネットワーク理事長が「障害者が地域で暮らせる制度」を提言する。
 【参加費】:500円
 【問い合わせ】:同集会実行委員会=電話052-745-1001

 カイパパも聞きに行く予定です。
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【支援費】介護保険との統合 障害者8団体話し合いに応じる

支援費

【支援費】介護保険との統合 障害者8団体話し合いに応じる

【関連記事】
【支援費】厚生労働省が介護保険との統合協議を呼びかけ 2004年1月26日の続報です。
続きを読む

【支援費】厚生労働省が介護保険との統合協議を呼びかけ

支援費




★1 厚生労働省が障害者支援費と介護保険の統合協議を呼びかけ
 障害者支援費の財源(現在は一般財源(税)方式)について、厚生労働省から新しい動きがありました。

「障害者支援と介護保険の統合協議、7団体に参加要請」@読売新聞 2004/01/20
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★平成16年度厚生労働省予算案

支援費

★平成16年度厚生労働省予算案

平成16年度厚生労働省予算案の主要事項」@厚生労働省
から公表されています。※PDF文書です。
 障害者福祉の関連は31〜34ページです。

 「日本の福祉の全体像」(どこにどういった割合でお金が使われているのか)
を知るために必見のデータです。
 ただし、大まかなので、詳細は下記の「平成16年度障害福祉課予算(案)の
概要」をあわせてご検討ください。全国障害者介護制度情報ホームページに掲載されています。

※PDFファイルです。
平成16年度障害福祉課予算(案)の概要
平成16年度障害保健福祉関係当初内示の概要

 全国障害者介護制度情報に解説が掲載されています。トップページ「最新情報」>「厚生労働省・2004年度予算内示の情報 342億円(需要見こみの95%)を確保。 NEW2003/12/22」を選んでください。

【関連記事@カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクル】
「【速報】16年度予算342億円(居宅介護関連)」2003年12月21日

【支援費】活用&必要事例を緊急募集!

支援費

【支援費】活用&必要事例を緊急募集!

 自閉症協会愛知県支部父親部では、生活支援ネットワーク愛知の呼びかけにこ
たえ、自閉症をはじめとする「動きのある知的障害者」に必要な支援の事例を緊
急募集しています。アンケートは下記HPにあります。

パパのちからこぶ公式HP トップページからお進みください。

 締め切りが2004年1月11日と非常に短いのですが、この声を集約して、
これからの支援費制度のあり方に体温と体重をもった本人の姿を反映さ
せたいと考えています。本人、家族の方々は、ぜひご協力をお願いします。

【関連記事】@カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクル
【支援費】支援費制度をまったく知らない人のための早わかりガイド

◎ページ左側にある「カテゴリー別」の中から「障害者支援費」をクリックする
と、関連記事がまとめて読めます。

引用はじまり (アンケート呼びかけ文より抜粋)
=========================================================================
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【支援費】財源問題:介護保険との統合を検討(厚生労働省)

支援費

【支援費】財源問題:介護保険との統合を検討(厚生労働省)

朝日新聞 2003/12/26記事
「介護保険と障害者支援の統合検討へ 徴収年齢引き下げも」
 ↑クリックで全文↑

(引用始まり)
==============================================================
 厚生労働省が介護保険制度と障害者福祉の統合について検討に入ることが、2
5日わかった。来年1月中旬にも省内に「介護制度改革本部」を設置、協議する。
統合で障害者支援費制度の財政難を解消し、現在40歳以上が負担している介護
保険料の徴収年齢を20〜30歳に引き下げることで財政の安定を図る狙いがあ
るが、国民の負担増につながるほか、障害者団体にも慎重な意見があり、議論を
呼びそうだ。
==============================================================
(引用終わり)

 現在、障害者支援費制度は、一般財源(つまり税)を財源としています。2003
年4月から制度を実際に動かしてみて、厚生労働省の当初の見込みよりも遙かに
ニーズがあることがわかりました。ニーズに対して、財源措置は講じていかなけ
ればならない、そのための1つの方向性として、高齢者介護保険制度との統合を
検討するという動きを報じるものです。

 私は、まだ自分自身が不勉強なため、「何が問題なのか?」をこれから調査し
ていく段階ですので、この検討開始については、賛成・反対の意見は保留します。

 ただ、厚生労働省が2003年暮れに突如「支援費単価切り下げ案」を提案した際
に「支援費単価を介護保険単価と同一にする」という発想をしていたことに強い
危機感を覚えています。
 なぜかというと、もしも、高齢者と障害者、特に動きのある知的障害者(多く
は自閉症者)のサービスの単価(これは時間当たりの単価になります)が同じだ
としたら、比較的マンパワーがかからない高齢者介護を行う事業者は順調に増え
ても、障害者支援に取り組む事業者は増えないのではないか? という疑問・不
安が消せないからです。

 保険制度の一部に統合することが、すなわち介護保険(高齢者)と支援費制度
(障害者)の単価も同一にするというわけではありません(私は、そうであって
はいけないと主張します)。

 知的障害者支援事業者に対して適正なサービス単価が支払われるように、
方向性を誤らせないよう、注視していきます

 そして、支援費を利用する側の視点から、何が、どのように、必要であり、事
業者として必要なレベルやサービスの質、そして適正な単価について議論・論証
をしていけるように真剣に取り組んでいきたいと考えています。

 知的障害者の何より不利なところは、「本人の声」が発することができな
いか、極めてかぼそいため
、無視されがちなところです。何よりも「本人の
声」が説得力があって尊重されるので。私たちは親としては、精一杯「本人の代
弁者」として声を上げていきたいです。

 私は、障害者支援費制度、特にホームヘルプ(居宅介護)事業が始まったとき
に、「これからはこの子たちが施設入所ではなく、地域で暮らす時代が本当に来
るんだ」と夢を信じました。そのために、カイは小さい今のうちから、親以外の
人のサポートを自然に受けて、人に対する信頼感や自尊心とスキルを身につけな
がら育てていくんだと心に決めています。

 もしも、制度の改悪によって、知的障害者の支援費利用が(事業者が参入しな
いため)理念倒れの、画に描いたモチになってしまうのであれば――施設入所か、
家族による支援(=終わりがない……親亡き後が見えない)しか途がなくなって
しまいます。
 そんなことにはしないために、今できることに取り組んでいきましょう。知恵
と勇気を出し合えば、私たちだって捨てたもんじゃないです。2004年は、本当に
大切な年です。きっと、将来ふりかえって「あの時が転換点だった」と言われる
年になるでしょう。
 危機感を持って、お互い真剣にやっていきましょうね。何よりも、情報共有を
大切にして。


***関連する過去記事は、「カテゴリー別」の「支援費制度」をクリックして
ご参照ください。
★手軽に支援費制度を理解する解説
【支援費】支援費制度をまったく知らない人のための早わかりガイド
 カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクル 2003/12/16記事

【訂正】12/21記事:支援費制度の予算額

支援費

【訂正】12/21記事:支援費制度の予算額

 厚生労働省予算(案)を入手しました。検討してみて、「あ! しまった!!」と叫ぶワタクシ……。

 私の12月21日記事では、支援費制度全体予算が「342億円」であるかのように書いてしまいましたが、この予算額は、居宅介護(ホームヘルプサービス)だけに関するものでした。

 支援費関連全体予算は、「3,473億円」です(83%は入所施設関連予算2,871億円です)。
 お詫びして、訂正をいたします。

 12月21日記事も修正いたしました。今一度ご確認をお願いします。

=====================================
★速報
 16年度予算の財務省内示が発表されました。

○居宅介護(ホームヘルプサービス)
 15予算  16予算  増減
 278億 → 342億 +64億

○地域生活援助(グループホーム)
 15予算  16予算  増減
  68億 → 86億 +14億

 支援費関連全体予算は、「3,473億円」です(※83%は入所施設関連予算2,871億円が占める)。
=====================================

 個人でやっているブログなので、取材不足でこれからもこういうミスがあると予想します。しかしながら、ミスを恐れすぎて沈黙したくはありません。

 カイパパ通信blogは新聞社のニュースサイトではありません。限界(眉ツバさ?)を意識しながら、今後とも懲りずにお付き合いいただけたらありがたく存じます。

 申し訳ございませんでした。

【速報】16年度予算342億円(居宅介護関連)

支援費

【速報】16年度予算342億円(居宅介護関連)

※12月21日厚生労働省予算(案)に基づき、修正しました。(12月22日訂正)
 最初の私の記事では、支援費制度全体予算が「342億円」であるかのように書いてしまいましたが、この予算額は、居宅介護(ホームヘルプサービス)に関するものでした。
 支援費関連全体予算は、「3,473億円」です(83%は入所施設関連予算2,871億円です)。
 お詫びして、訂正をいたします。

★速報
 16年度予算の財務省内示が発表されました。

○居宅介護(ホームヘルプサービス)
 15予算  16予算  増減
 278億 → 342億 +64億

○地域生活援助(グループホーム)
 15予算  16予算  増減
  68億 → 86億 +14億

 支援費関連全体予算は、「3,473億円」です(※83%は入所施設関連予算2,871億円が占める)。

★抗議交渉の成果はあったのか?
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【支援費】サポート! 厚生労働省

支援費

【支援費】サポート! 厚生労働省

 タイトルは、皮肉でもなんでもありません。「厚生省をサポートしよう!」本気です。

★1 予算編成の仕組みから考える
 国の予算編成において、

 ・内閣が方針を示し、
 ・財務省が各省に予算の割り振りをする

→財務省からは「対前年度比○%の削減」といった上限を定めた「ワク」(=シーリング)が示されます。

 省庁の予算主管担当は、そのワクの中で省内での予算割りをします。そして、各担当課に「これでやりなさい。何か言いたいことがあれば要求しなさい」と指示します。

★2 支援費の予算要求をするのは誰?
 支援費の必要性・意義を主張、論証して予算獲得をガンバルのは、厚生労働省障害福祉課しかありません!
 他の課が「なんか支援費って大事だそうだから、ウチから予算分けてあげるよ」とは絶対に言いません。ましてや、他の省庁が厚生労働省のために自分たちの予算を減額することに応じるわけがありません。
 障害福祉課は「障害者の味方」です。個人の意欲や資質うんぬんじゃなくて、制度上そうなっているのです。

★3 障害福祉課の苦しみ
 今、障害福祉課が苦しんでいるのは、財務省のワクの中で、さらに厚生労働省の中で割り振られた自分のところの予算額と支援費の実態(必要額)との間で、どうやって帳尻をあわせるか? その展望が見えないからです。無責任にカラ手形を切ることはできないし……。
「必要だから必要なんです!」と主張して認められるほど予算要求は甘くないのでしょう。「根拠」が問われます。

以下想像です――
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【署名】大臣あてに添えた手紙

支援費

【署名】大臣あてに添えた手紙

 カイパパです。私の町にも初雪がつもって、きれいでした。今日はすてきな人との出会いもあり、良い日でした。

 私が、障害者支援費単価切り下げ撤回要求の署名を送付した際に添えた手紙を公開します。よかったらお読みください

=====================================
坂口力 厚生労働大臣様

 日頃障害者福祉の実現にご尽力賜り、誠にありがとうございます。
 私は4歳になる自閉症男の子の父親です。
 厚生労働省が支援費単価切り下げの案を出したことに対して驚きと深い悲しみを覚えました。
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【署名】「数」にこだわらない

支援費

【署名】「数」にこだわらない

 今回初めて、趣意書を作るところから署名活動を自分たちでやってみて感じたことを書きとめておきます。

★「数」にこだわるワタクシ
 やってみて感じました。

(1)いっぱい集めたくなる
(2)たくさん集めた人が輝いて見える

 署名は、権力を持たない一般人が「数」を背景に政策に意見反映を目指すものですから、署名をより多く集めたくなるのは当然のことです。
 でも、これってヤバイかも? とも思いました。

★「数」にこだわらない
その理由は、
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【署名】100名の署名を発送

支援費

【署名】100名の署名を発送

 カイパパです。

 本日、なんとか集めた100名分の署名を速達で厚生労働大臣宛に郵送しました。手紙も添えました。

 Kさん、Oさん、Sさんが協力してくださいました。本当にどうもありがとうございました。

★提案

 このブログで、みなさんが集めた署名を速報的に集計できたらいいですね

署名を送付された方へ
 もしよろしければ、この記事の下にある「Comments(0)」をクリックして、以下のことを書き込んでください。

立場:
地域:
署名数:
ひとこと:

 読者の顔が見えにくいブログですが、こういう機会にちょっぴり顔をのぞかせていただけたらうれしいです。

【支援費】状況の整理

支援費

【支援費】状況の整理

 グループホーム、ホームヘルプ支援費単価切り下げ厚生労働省案の白紙撤回から一夜明けましたが、不安ですっきりしない気持ちです。

★状況の整理
 厚生労働省と障害者支援費制度の状況をカンタンにまとめます。

2002年末 
「ホームヘルプサービス利用時間上限を導入する」(厚生労働省)←抗議行動により撤回

2003年4月 
支援費制度スタート

 〃 11月 
支援費利用が予想より多いため、予算大幅超過することを公表。地方自治体への補助金を満額払えない=地方自治体の予算で対応の可能性←地方の猛反発

 〃 12月 
「15年度の財源については省内の予算を集めて確保できた」坂口大臣が記者会見で発表。

 〃 12月5,12日 
グループホーム、ホームヘルプの単価切り下げ案をそれぞれ障害者団体、自治体担当課へ通知(厚生労働省)

 〃 12月17日
横浜市グループホーム連絡会をはじめとする事業者による厚生労働省との団体交渉→案の白紙撤回へ

★不安な理由

・「予算の大幅な不足」は未解決
・しかも、16年度予算は、大きく不足した15年度予算より少ない見込み。
・その一方で、支援費制度が徐々に定着して、利用は確実に増える。
→その結果「さらなる大幅な財源不足」……

★ここで思い出してほしいことは
 最後に支援費事業者への利用料を支払う責任は市町村が負うということ。

 11月に「もしかしたら今年度補助金満額払えないかも?!」と厚生労働省は(反発されるのを見越して)発表しました。
 結果的には、「国でなんとかする」となりましたが、市町村は「国をあてにしていると、突然国が補助金を打ち切ったりするかもしれない」という危機感をもったはずです。

来年度の市町村の予算編成への影響は

→(a)国を当てにせず、豊かな福祉を自分たちの町では実現するのだ!

となればいいけど、

→(b)やっぱり、控えめに予算組みをして、支援費を出し惜しみするように気をつけよう

と「縮み志向」に陥るのでは?

 11月の厚生労働省の発表は、逆風のアナウンス効果を果たしています。

「白紙撤回」を手放しでよろこぶ気持ちにはなれません。自分の住む市町村への働きかけも真剣にやっていかなければいけませんね…。

★署名活動
 自閉症協会愛知県支部では、支援費単価切り下げ案の撤回を求める署名活動を行うことで、支援費予算の確保を求めていきます。(詳しくはひとつ前の記事をご覧ください)
 署名用紙は、パパのちからこぶHPに掲載中!

 →yagさんHP更新ありがとう!

【支援費】署名決行

支援費

【支援費】署名決行

 カイパパです。帰宅が遅くなりました。

 前記事で、「とりあえず署名活動は終了m(__)m。つぎなる時に備えましょう。」と速報を書きましたが、訂正します。

 自閉症協会愛知県支部では署名活動を予定どおり決行します。

理由は、
・今回の白紙撤回によって、予算措置がされたわけではない。
・特にホームヘルプサービスについては「再度協議する」という保留ともとれる回答にすぎない。

そのため、
愛知県支部として署名を集め、支援費単価の切り下げに反対し、サービス水準の維持、さらなる向上を求める意思を明確にします。

 撤回要望書および署名用紙については、明朝8時に「パパのちからこぶHP」に掲載します。ご協力いただける方、よろしくお願いいたします。
 また、他の支部・団体のみなさまへも同様の活動を呼びかけます。

 以下、濱田徹哉 日本自閉症協会愛知県支部支部長から今回の署名活動についての依頼文です。

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厚生労働省案 白紙撤回?

支援費

カイパパ@携帯です。

グループホーム、ホームヘルプ厚生労働省案が白紙撤回されました!

詳しくはNPOふわりの掲示板をごらんください。

・とりあえずの危機は回避された
・しかし予算措置がされたわけではない
・「これから協議していく」だから
→これからですね、、
交渉にのぞまれた方々に感謝します。迅速かつ的確な動きでした。
また、みなさまのご声援とコラボレーションにも多謝です! 私達にもできることがあるんですね。

とりあえず署名活動は終了m(__)m。つぎなる時に備えましょう。

(あまりにも速い撤回に薄気味わるさを感じるのは私だけでしょうか?)

【支援費】厚生労働省案撤回要望書&署名ひな形

支援費

【支援費】厚生労働省案撤回要望書&署名ひな形

 厚生労働省の支援費単価切り下げ案への撤回要望&署名のひな形を作成しました。もしお役に立ちそうでしたらご自由にご活用ください。
続きを読む

【支援費】支援費制度をまったく知らない人のための早わかりガイド

佳美ちゃんとカイ

【支援費】支援費制度をまったく知らない人のための早わかりガイド

 ここのところ、カイパパ通信blogでは支援費に関する話題が集中しています。障害者支援費制度は今年度始まったばかりの制度ですから、初耳の方も少なくないかと思います。
 そこで、初心者のための早わかりガイドを書いてみました。成功しているかどうか、反応をよろしくお願いします。
続きを読む

【支援費】厚生労働省支援費単価引き下げ案(シンプルバージョン)

支援費

【支援費】厚生労働省支援費単価引き下げ案(シンプルバージョン)

 厚生労働省の支援費単価引き下げ案について、「単純化バージョン」を記しておきます。周りの方への説明用にご活用ください。

今回の
・厚生労働省の支援費単価切り下げ案は、
・支援費事業者の財政基盤を破壊し、
・現在のサービス提供をしている事業者の撤退(ましてや新規参入の停滞)を導く。

その結果、
・ただでさえ、利用できる事業者が少ない私たちにとって、
・(支援費決定は受けたけれど)サービスを利用できない現状が固定化されます。


★参考★
以下厚生労働省案………………………………………………………

・移動介護の身体介護を伴うを、廃止し、身体介護なしの単価に統一(ただし介護保険の生活援助(旧家事援助)単価に統一)
=最初の1時間は2080円、その後30分ごとに830円加算(1時間ごとでいうと1660円ずつ加算)

・身体介護と家事援助は介護保険と同じ単価にする

・身体介護は1.5時間を越えると家事単価(30分ごとに830円で延長)
(1時間ごとでいうと1660円ずつ加算)に引き下げ

・時間帯加算は、現在の[スタート時間で考える」ではなく[実際のサービス時間帯で考える]方式(措置制度の時代の方法)にもどす。

・日常生活支援は単価変更なし

……………………………………………………………………………
(ゆめじろう出口さん、まとめをありがとうございます)

【支援費】★緊急★障害者支援費制度ヘルパー単価引き下げ厚生労働省案

支援費

【支援費】★緊急★障害者支援費制度ヘルパー単価引き下げ厚生労働省案

「【支援費】障害者支援費制度のピンチ」(2003年11月23日記事)でも紹介しましたが、2003年4月からスタートした障害者支援費制度が早くも財源問題でピンチに陥っています。

★経緯
・見込みよりもはるかに多くの支援費利用(ニーズ)があり、15年度予算をオーバーしてしまった。
・15年度については、省内の他の事業予算を流用することで自治体への国庫補助金支出の目処が立った(坂口大臣12月5日会見)
→16年度の対応が注視されていた。

続きを読む

【支援費】障害者支援費制度のピンチ

支援費

【支援費】障害者支援費制度のピンチ

★1 朝日新聞2003年11月14日記事

 朝日新聞で、障害者支援費制度にかかる国の予算が実績に追いつかずパンクしそうだという記事が出ました。

記事はこちら↓
「障害者の在宅サービス利用急増、補助金不足の恐れ」
「障害者支援の補助金不足、省内予算で対応方針 厚労相」

★2 障害者支援費制度とは?

 2003年4月から、「戦後障害者福祉最大の革命」と鳴り物入りで始まった「障害者支援費制度」。
その趣旨は、厚生労働省自身が次のように語っています。

◇厚生労働省「支援費制度Q&A集」


※引用はじまり※
 支援費制度は、ノーマライゼーションの理念を実現するため、これまで、行政が「行政処分」として障害者サービスを決定してきた「措置制度」を改め、障害者がサービスを選択し、サービスの利用者とサービスを提供する施設・事業者とが対等の関係に立って、契約に基づきサービスを利用するという新たな制度(「支援費制度」)とするものである。
 支援費制度の下では、障害者がサービスを選択することができ、障害者の自己決定が尊重されるとともに、利用者と施設・事業者が直接かつ対等の関係に立つことにより、利用者本位のサービスが提供されるようになることが期待される。
※引用おわり※

 行政が「あなたはこの施設でこういう支援をうけなさい」と決めていた形から、障害者本人が自分のもっている「支援費」の範囲で、「自分に必要なサービスと事業者を選択できる」ように変わった。「措置から契約へ」とキャッチフレーズ的に語られることが多くあります。

★3 お金の流れを変え、本人が欲しいサービスを手に入れる
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