■すべての涙が乾くとき〜発達障害者支援法成立

 2004年12月3日、日本に発達障害者支援法(全文)が生まれました。

★ありがとう

 法律成立にたずさわった方々の献身的なご尽力に本当に感謝しています。

発達障害者支援法の成立を願う120人の当事者の意見書」に声を寄せてくださったみなさん、120の小石が今も水面に複雑な波紋を広げ続けています。この祈るような願いが法の出発点だということを決して忘れずに、法律を力に、変化を起こしていきましょう。

 カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクル来訪者のみなさんへ。
 声にならないたくさんの声にずっと耳をすませていました。声が出せないくらいつらい状況に耐えている仲間たち、言葉にならない思いをかかえて懸命に生きているわが子たち、踏ん張れたのはみんなのおかげ。

★これから

 法律の施行は2005年4月1日から。
 国なりに、がんばった新施策&施策充実が提案されています。
 しかし、モデル事業や、発達障害者支援センターの整備など、変化を実感できるものは少ないかもしれません。

 法律を使って、魂を与え、実質のあるものにしていくのは私たち自身です。

 まだまだ、本人、親、支援者自身が踏ん張らないとどうにもならないのが現実です。
 発達障害者支援法は、民間との連携をうたいました。
 衆議院内閣委員会での質疑で、「法案に記載されている民間とは?」の質問に、厚生労働省が「自閉症協会やLD親の会など当事者団体が果たす役割は大きい」と答えています。

 まずは、地元の市役所、議員、学校その他に「発達障害者支援法が成立したこと」を知ってもらうことから始めましょう。(6月のキャンペーンに協力してくださった方、成立の御礼メールをよろしくお願いします)

 これから魅力的な知恵を出しあい、実際にやって見せて「ぜひそれにお金を出そう。市の施策に取り入れよう」というところまで目指して地元から地道に始めていきませんか?
 別々の土地に暮らしていても、いつも情報を共有しつつ。

★行政、医療、保育、福祉、教育、労働、権利養護、すべての専門家、支援者の方々へ

・法律の成立を「自分には関係ない」と他人事のように……
・あるいは「何も変わらない」と冷笑的に受け止めているとしたら……
・「また余計な仕事が増える」とうんざりしているとしたら……

 あなたはきっと人を死なせます。

 期待が失望に変わるとき、ひとは脆く壊れてしまう。今をぎりぎりで生きている私たちにとって発達障害者支援法は希望の光です。

 法律ができて、一つだけ確実にいえることは、これから「早期発見」だけは急速に進む。
 そのときあなたがワケ知り顔で「早期療育の重要性」を強調し、自分ではできもしないくせに親を「励まし」、問題行動の責任を全て親の療育の失敗に押しつけたら、発達障害者支援法ができたことによって「犠牲者」はさらに増えるだろう。

 お願いだから、
 これ以上親に求めないで。

 誓ってほしい。
 今日この瞬間から、自分が関わった家族から一人も死人を出さないようにすると。

 名古屋や稲沢や刈谷や岡崎や豊川や藤岡町などで起きてしまった事件や虐待死や無理心中が二度と起きないようにするためには、どうしたらいいのか?

 寄り添って一緒に考えてほしい。

 この法律は「涙で書かれた約束」だ。
 すべての涙が乾くとき、発達障害者支援法は役割を終え、時代は変わる。
 私はその日が見たい。

★シートベルトをしめて

 ……発達障害者支援法ができたのに、
      こんなはずじゃなかったのに……

 そう思う瞬間がこれからきっとあります。

 新しい障害が認知されていく過程で、好奇の目や侮辱にも出会うでしょう。
 でもあきらめないで。
 新しい時代が始まるとき、必ず揺り戻しが来る。けれどもそれは変化の証しだから。

 小さな声でいいから「あなたとはチガウけど…、このまちで暮らす仲間だよ」そう伝え続けていこう。

 今は、夜明け前。

「うっかり死んだりしない」と、ゆびきりゲンマン♪
「続き」を一緒に見ていこう。

 またお会いしましょう!


【参考】
・カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクル:「発達障害者支援法」の軌跡
 http://kaipapa.livedoor.biz/archives/cat_86347.html


★カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクル

自分にしかできないことだけやろう」とこの1年間旅してきました。どんな景色が待っているのかと思い描いていたけど、現実ははるかにスペクタクルでした。

 新しいチャレンジに向けて、年内は更新をお休みします☆

 少し早いですが、本年は大変お世話になりました。たくさんの出会い、人の情けのありがたさが身にしみる1年でした。また来年もよろしくお願いします。