【基礎知識】WHOの新しい障害の定義:「国際生活機能分類ICF」
(International Classification of Functioning, Disability and Health)
ICF公式サイト
私の「立場の互換性」の議論は、WHOの新しい障害の定義がヒントになっています。私は、ICFの内容を坂井聡さんの講演会で知りました。
坂井聡さんの著書『自閉症や知的障害を持つ人とのコミュニケーションのための10のアイデア』(9から11ページ)から解説を引用します。
(International Classification of Functioning, Disability and Health)
ICF公式サイト
私の「立場の互換性」の議論は、WHOの新しい障害の定義がヒントになっています。私は、ICFの内容を坂井聡さんの講演会で知りました。
坂井聡さんの著書『自閉症や知的障害を持つ人とのコミュニケーションのための10のアイデア』(9から11ページ)から解説を引用します。
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1−2 ICIDHからICFへ
障害について考える上で参考になるものとして、WHO(世界保健機関)の国際障害分類があります。これは1980年に発行されたもので、ICIDH(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)と呼ばれているものです。
ICIDHでは、図2(※図省略)のように障害を機能形態障害(Impairment)、能力障害(Disability)、社会的不利(Handicap)というように分類してきました。たとえば、知的に障害(機能形態障害)があるため、お金の計算が正確にできない、数字を正確に読むことができない(能力障害)、その結果として就職する際に不利になる(社会的不利)というように考えてきたのです。
しかし、ICIDHの概念では、社会的不利から能力障害、機能形態障害に後戻りすることはできませんでした(※カイパパ注 社会的な状況によって能力障害・機能形態障害が「引き起こされる」事態を定義できないという意味)。機能形態障害から能力障害、社会的不利へという一方通行の流れだけを意味していたからです。そこで、WHOはICIDHでは十分に表すことができない部分を改善し、2001年にICIDHを改定して国際生活機能分類ICFとして公表したのです。

ICFでは、機能形態障害(Impairment)、能力障害(Disability)、社会的不利(Handicap)という用語に変わって、心身機能と構造(body functions and structures)と活動(activities)と参加(participation)が使われています。そして障害という用語は、知的障害や身体障害などの機能形態障害だけを表す用語ではなく、活動することを制限されたり、参加の制約を受けたりすることも含む包括的な用語として用いられることになったのです。もう一つ重要なことは図に示されているように、矢印一方方向ではなく双方向になったということです。それぞれが双方向の矢印で結ばれているということは、一つの要素が変われば関係する他の要素も変えてしまう可能性があることを示しています。
(略)
まったく同じレベルの知的障害をもっている人がいた場合を考えてみます。その人たちはいつも同じように活動が制限され、同じように社会への参加を制限されるかというと、そうではないということです。つまり、周囲の環境によっては就労が可能になる人もいるし、まったく同じレベルの障害をもつ人でも働く場を見つけることができない場合もあるということです。
(略)
そして、重要なことは、このICFの概念はすべての人に当てはまる分類であるということです。障害は誰もがもちうることをICFは表しているのです。障害のある人は特別な人ではないのです。誰もがすぐにでももちうるものだということです。ICFの公表によって、障害の概念は大きく変わったのです。
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坂井さんのこの本『自閉症や知的障害を持つ人とのコミュニケーションのための10のアイデア』は、自閉症をもつ人との具体的なコミュニケーションの工夫について、写真たっぷりでビジュアルに紹介されています。おすすめですよ!
1−2 ICIDHからICFへ
障害について考える上で参考になるものとして、WHO(世界保健機関)の国際障害分類があります。これは1980年に発行されたもので、ICIDH(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)と呼ばれているものです。
ICIDHでは、図2(※図省略)のように障害を機能形態障害(Impairment)、能力障害(Disability)、社会的不利(Handicap)というように分類してきました。たとえば、知的に障害(機能形態障害)があるため、お金の計算が正確にできない、数字を正確に読むことができない(能力障害)、その結果として就職する際に不利になる(社会的不利)というように考えてきたのです。
しかし、ICIDHの概念では、社会的不利から能力障害、機能形態障害に後戻りすることはできませんでした(※カイパパ注 社会的な状況によって能力障害・機能形態障害が「引き起こされる」事態を定義できないという意味)。機能形態障害から能力障害、社会的不利へという一方通行の流れだけを意味していたからです。そこで、WHOはICIDHでは十分に表すことができない部分を改善し、2001年にICIDHを改定して国際生活機能分類ICFとして公表したのです。

ICFでは、機能形態障害(Impairment)、能力障害(Disability)、社会的不利(Handicap)という用語に変わって、心身機能と構造(body functions and structures)と活動(activities)と参加(participation)が使われています。そして障害という用語は、知的障害や身体障害などの機能形態障害だけを表す用語ではなく、活動することを制限されたり、参加の制約を受けたりすることも含む包括的な用語として用いられることになったのです。もう一つ重要なことは図に示されているように、矢印一方方向ではなく双方向になったということです。それぞれが双方向の矢印で結ばれているということは、一つの要素が変われば関係する他の要素も変えてしまう可能性があることを示しています。
(略)
まったく同じレベルの知的障害をもっている人がいた場合を考えてみます。その人たちはいつも同じように活動が制限され、同じように社会への参加を制限されるかというと、そうではないということです。つまり、周囲の環境によっては就労が可能になる人もいるし、まったく同じレベルの障害をもつ人でも働く場を見つけることができない場合もあるということです。
(略)
そして、重要なことは、このICFの概念はすべての人に当てはまる分類であるということです。障害は誰もがもちうることをICFは表しているのです。障害のある人は特別な人ではないのです。誰もがすぐにでももちうるものだということです。ICFの公表によって、障害の概念は大きく変わったのです。
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