■パブリックコメント:発達障害者支援法に基づく具体的施策について
本日(3月9日)締め切りです!
私は、今朝、厚生労働省へパブリックコメントを送りました。
パブリックコメント募集の詳細はこの記事↓をご参照ください
・カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクル:発達障害者支援法パブリックコメントを送ろう!
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/14763851.html
以下、私の送ったパブリックコメントです。
★1 私の立場
5歳の知的障害を伴う自閉症(カナータイプ)男の子の父親
★2 私(たち)が困っていること、不安なこと
(略)
★3 発達障害者支援法を具体化する提案
私は、幼児の親なので、自分の体験からの提案をします。
同じ県内で、何度も起きている児童虐待死や心中事件の多くに、発達障害の子どもが被害にあっています。このような悲惨な現実を変えたい。
この状況をよくするために私が提案したいのは以下のことです。
(1)母子手帳に、発達障害の解説を載せる
子どもが生まれる前、一番真剣に学ぶ時期に、発達障害を知っておくことは将来のためになる。
大切なのは、どれだけ一生懸命取り組んでも、どうにもならないことがある――と知っていることです。「何度言ってもわからない」のは、子どもが邪悪なのでも、子育ての失敗でもなく、わが子の障害に起因するのかもしれない――その可能性を知っているかいないかで、自分ばかりを責めず、周囲の理解と助けを求められるかが分かれると思います。
(2)「子育て支援」相談窓口の充実
(a)人的充実
相談員(保健婦がメイン?)の発達障害に関する知識(障害特性と支援のヒント、参考文献など)と親に対するカウンセリングスキルを身につける。「この子育ての悩みの原因が、発達障害に起因するかもしれない」という仮説を相談内容から気づく力をつけてほしい。
(b)相談時間と相談ルートの充実
【24時間相談窓口】
(理由)
ほとんどの相談業務は、朝9時から夕方5時までといった時間帯で終わってしまう。
働いている親にとっては、事実上サービスがないと同じです。
本当に苦しくなるのは深夜0時を回ってからです。
眠らない子を抱えて、あるいは、孤立感と自責の念にさいなまれて、悩み苦しむ時間帯に、寄り添って相談に乗ってほしい。
【Eメール相談の受付】
専門カウンセラーがEメールでの相談に応じる。
(理由)
若い親にとって、Eメール(特に携帯メール)は、電話や面接よりもずっと利用しやすい相談の入り口になる。時間と住んでいる場所を問わないメリットがある。メールによる相談から面接などに誘導する形が望ましい。
【親の会など地域資源の活用】
自閉症協会をはじめ、発達障害の子を持つ親の会などに、相談業務を委託、あるいは助成を行なう。
行政は、金銭面での助成とカウンセリング研修の実施など技術面での支援を行なう。
(理由)
公的なサービスでは限界がある。熱意と力量のある当事者団体やボランティア団体と手を組んで協働して行なうメリットは大きい。先輩の親は、最適な相談者になれる。
(3)情報共有ツール(「共有ノート」)の確立
支援の連携の不可欠な条件として、関係者が本人の情報共有することがある。
→必要な情報を共有できる加除式の「共有ノート」を作る
※内容の例
【記録の部分】
・身長、体重、血液型などの情報から
・病歴、通院歴、お薬手帳
・障害のアセスメント
・知覚過敏、睡眠障害などの状況
・「こだわり」や「苦手なこと」、得意なこと、好きなこと
・生活地図
・事件、事故歴
・履歴書(通ってきた学校や施設など)
など
【目標と取組みの部分】
・将来の願い
・○年後に◇◇できるようになる(目標)
・そのために現在取り組んでいること
・これまでの取組み
など
本人の「成育歴」の記録カルテ&個別支援計画を兼ねたイメージ。
記入しやすい形で、大切な項目の書き落としがないようにする。
「ノート」が療育、教育、支援のガイドブック(指針)にもなる効果がある。
本人、親の記入欄と、医師、保育士、教諭といった関わる専門家の記入欄を設ける。
そして、専門家には記入義務を課す。
また、新たに関わることになった専門家は、必ずその「ノート」に目を通すことを義務付ける。
秘密保護の徹底と犯した場合の罰則は厳しく行なうことは当然。
ノートを使用しないことについて、本人の明示の拒否がないかぎり、親権者は記入をすることとする(←記録の散逸しやすさから、幼い頃の記録は義務化しておく必要があるため)
★4 発達障害者支援センターに期待する役割
・自閉症・発達障害への支援は一筋縄ではいかず、タテ・ヨコ縦横無尽にはりめ
ぐらされた網の目のような支援システムが必要
・それは、行政だけ、あるいは親の会だけでは築くことはできない
・自閉症・発達障害支援センターはその「網」をつなぐ役割を担う
◎発達障害者支援センターのコンセプト
【目的・ゴール】
当事者のニーズに応え、生涯に渡る一貫した支援を実現するため、
地域を育て、サポート資源を発掘し、つなぎあわせる「連携」の中心となり、
自閉症・発達障害をもつ本人が、安心してしあわせに暮らせる地域にする。
【そのために担う役割】
◆(1)入り口であり、最後の砦
(例)
→まず最初にコンタクトする場所であり、最後の駆け込み寺でもある(センター
が何とかしてくれる)
◆(2)つなぐ(コーディネート←「療育相談を直接する」ことよりも大事)
(例)
→具体的な「個人」を救うために、関係者一同が一緒になって考える「場」づくり
→資源の掘り起こし。どこに誰がいるか(ディレクトリづくり)
→意欲ある人々をつなぐ、一緒に考える・取り組む「場」づくり
→人材バンク。ボランティアネットワークづくり
→様々な取り組みへの人的・財政的支援
◆(3)専門家をサポートする専門機関(リソースセンター)
(例)
→「センターに聞けば、教えてくれる」
→学校への巡回など、専門家をサポートする専門家育成
→研修
→研究、施策立案
◆(4)市民への啓蒙啓発
(例)
→子供向け読み物
→企業向けの講習
◎国は、全国の発達障害者支援センターを評価(アセスメント)するべき
国に、なんとしてもやってほしいことは、支援センターの成功事例を公開し、「良いもの」は全ての支援センターで取り入れて行っていくことを推進すること。
逆に、発達障害者支援法の趣旨に合わない、熱意もスキルもない支援センターは指定解除をするなど、公正な評価を徹底してほしい。「そのセンターがあること」で、別の、より良い支援の芽が摘まれるようなことのないようにする。
★5 結び〜発達障害者支援法が創る未来への期待
3年後の見直しが、付帯決議で決められています。
この3年間でやるべきことは、
【理解を育てる】
まず、私たちの存在を「知ってもらう」ことだと思います。
その途上において、偏見差別はどうしても起きると思いますが、通過しなければならない必然だと考えて、勇気を持って表に出て行くべきだと考えています。
【必要な支援を明らかにする】
発達障害の特徴は、濃い層から淡い層までの連続体(スペクトラム)だということです。24時間の強い「見守り」の必要な人もいれば、ソーシャルスキルを教える「家庭教師」や、新しい挑戦・環境に向かう際の「生活アドバイザー」が必要な人もいるでしょう。
もっといえば、周囲の理解と配慮さえあれば、適応してやっていける人もいるでしょう(そのときには、既に発達障害は「障害」ではなくなっている)。
「選べるメニュー」から、必要なサービスを「食券」で買うような、カフェテリアプランのようなイメージが相応しいのでは? と思っています。
「選べる」という点が特徴なので、そのための「メニュー」作りと「食券」の配付対象と価格設定を考える必要があります。料理人さがしも重要です。
そのために、当事者と支援者が、必要な支援を明らかにする3年間にしたい。
知恵をしぼって、できるところから、実際にやってみる。
行政も、民間も、当事者も力をあわせて。
現状では、どうしても、限定的、短期間の試験的な試みになってしまうかもしれないですが、プロセスと結果を公開していく。注目すべき取組みは、国も把握し、横の連携につなげるような場づくりをする。
そして、そこから生まれた「成果」を、次の法改正のときに、「全国で展開する」「具体的なサービス給付」として法定する。
以上
【謝辞】
・母子手帳に発達障害の解説を載せることについては、「発達障害者支援法の成立を願う120人の当事者からの意見書」でのグリーンママさんのご意見(「出産前の妊婦講習」)から。
・24時間相談窓口、Eメール相談は、夜回り先生(水谷修さん)の「相談メールは夜2時過ぎにピークを迎える」というお話から。
・「共有ノート」は、自閉症協会愛知県支部発行の「SHARE」から。
それぞれインスパイアされて、考えました。ありがとうございます(^^)
本日(3月9日)締め切りです!
私は、今朝、厚生労働省へパブリックコメントを送りました。
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・カイパパ通信blog☆自閉症スペクタクル:発達障害者支援法パブリックコメントを送ろう!
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/14763851.html
以下、私の送ったパブリックコメントです。
★1 私の立場
5歳の知的障害を伴う自閉症(カナータイプ)男の子の父親
★2 私(たち)が困っていること、不安なこと
(略)
★3 発達障害者支援法を具体化する提案
私は、幼児の親なので、自分の体験からの提案をします。
同じ県内で、何度も起きている児童虐待死や心中事件の多くに、発達障害の子どもが被害にあっています。このような悲惨な現実を変えたい。
この状況をよくするために私が提案したいのは以下のことです。
(1)母子手帳に、発達障害の解説を載せる
子どもが生まれる前、一番真剣に学ぶ時期に、発達障害を知っておくことは将来のためになる。
大切なのは、どれだけ一生懸命取り組んでも、どうにもならないことがある――と知っていることです。「何度言ってもわからない」のは、子どもが邪悪なのでも、子育ての失敗でもなく、わが子の障害に起因するのかもしれない――その可能性を知っているかいないかで、自分ばかりを責めず、周囲の理解と助けを求められるかが分かれると思います。
(2)「子育て支援」相談窓口の充実
(a)人的充実
相談員(保健婦がメイン?)の発達障害に関する知識(障害特性と支援のヒント、参考文献など)と親に対するカウンセリングスキルを身につける。「この子育ての悩みの原因が、発達障害に起因するかもしれない」という仮説を相談内容から気づく力をつけてほしい。
(b)相談時間と相談ルートの充実
【24時間相談窓口】
(理由)
ほとんどの相談業務は、朝9時から夕方5時までといった時間帯で終わってしまう。
働いている親にとっては、事実上サービスがないと同じです。
本当に苦しくなるのは深夜0時を回ってからです。
眠らない子を抱えて、あるいは、孤立感と自責の念にさいなまれて、悩み苦しむ時間帯に、寄り添って相談に乗ってほしい。
【Eメール相談の受付】
専門カウンセラーがEメールでの相談に応じる。
(理由)
若い親にとって、Eメール(特に携帯メール)は、電話や面接よりもずっと利用しやすい相談の入り口になる。時間と住んでいる場所を問わないメリットがある。メールによる相談から面接などに誘導する形が望ましい。
【親の会など地域資源の活用】
自閉症協会をはじめ、発達障害の子を持つ親の会などに、相談業務を委託、あるいは助成を行なう。
行政は、金銭面での助成とカウンセリング研修の実施など技術面での支援を行なう。
(理由)
公的なサービスでは限界がある。熱意と力量のある当事者団体やボランティア団体と手を組んで協働して行なうメリットは大きい。先輩の親は、最適な相談者になれる。
(3)情報共有ツール(「共有ノート」)の確立
支援の連携の不可欠な条件として、関係者が本人の情報共有することがある。
→必要な情報を共有できる加除式の「共有ノート」を作る
※内容の例
【記録の部分】
・身長、体重、血液型などの情報から
・病歴、通院歴、お薬手帳
・障害のアセスメント
・知覚過敏、睡眠障害などの状況
・「こだわり」や「苦手なこと」、得意なこと、好きなこと
・生活地図
・事件、事故歴
・履歴書(通ってきた学校や施設など)
など
【目標と取組みの部分】
・将来の願い
・○年後に◇◇できるようになる(目標)
・そのために現在取り組んでいること
・これまでの取組み
など
本人の「成育歴」の記録カルテ&個別支援計画を兼ねたイメージ。
記入しやすい形で、大切な項目の書き落としがないようにする。
「ノート」が療育、教育、支援のガイドブック(指針)にもなる効果がある。
本人、親の記入欄と、医師、保育士、教諭といった関わる専門家の記入欄を設ける。
そして、専門家には記入義務を課す。
また、新たに関わることになった専門家は、必ずその「ノート」に目を通すことを義務付ける。
秘密保護の徹底と犯した場合の罰則は厳しく行なうことは当然。
ノートを使用しないことについて、本人の明示の拒否がないかぎり、親権者は記入をすることとする(←記録の散逸しやすさから、幼い頃の記録は義務化しておく必要があるため)
★4 発達障害者支援センターに期待する役割
・自閉症・発達障害への支援は一筋縄ではいかず、タテ・ヨコ縦横無尽にはりめ
ぐらされた網の目のような支援システムが必要
・それは、行政だけ、あるいは親の会だけでは築くことはできない
・自閉症・発達障害支援センターはその「網」をつなぐ役割を担う
◎発達障害者支援センターのコンセプト
【目的・ゴール】
当事者のニーズに応え、生涯に渡る一貫した支援を実現するため、
地域を育て、サポート資源を発掘し、つなぎあわせる「連携」の中心となり、
自閉症・発達障害をもつ本人が、安心してしあわせに暮らせる地域にする。
【そのために担う役割】
◆(1)入り口であり、最後の砦
(例)
→まず最初にコンタクトする場所であり、最後の駆け込み寺でもある(センター
が何とかしてくれる)
◆(2)つなぐ(コーディネート←「療育相談を直接する」ことよりも大事)
(例)
→具体的な「個人」を救うために、関係者一同が一緒になって考える「場」づくり
→資源の掘り起こし。どこに誰がいるか(ディレクトリづくり)
→意欲ある人々をつなぐ、一緒に考える・取り組む「場」づくり
→人材バンク。ボランティアネットワークづくり
→様々な取り組みへの人的・財政的支援
◆(3)専門家をサポートする専門機関(リソースセンター)
(例)
→「センターに聞けば、教えてくれる」
→学校への巡回など、専門家をサポートする専門家育成
→研修
→研究、施策立案
◆(4)市民への啓蒙啓発
(例)
→子供向け読み物
→企業向けの講習
◎国は、全国の発達障害者支援センターを評価(アセスメント)するべき
国に、なんとしてもやってほしいことは、支援センターの成功事例を公開し、「良いもの」は全ての支援センターで取り入れて行っていくことを推進すること。
逆に、発達障害者支援法の趣旨に合わない、熱意もスキルもない支援センターは指定解除をするなど、公正な評価を徹底してほしい。「そのセンターがあること」で、別の、より良い支援の芽が摘まれるようなことのないようにする。
★5 結び〜発達障害者支援法が創る未来への期待
3年後の見直しが、付帯決議で決められています。
この3年間でやるべきことは、
【理解を育てる】
まず、私たちの存在を「知ってもらう」ことだと思います。
その途上において、偏見差別はどうしても起きると思いますが、通過しなければならない必然だと考えて、勇気を持って表に出て行くべきだと考えています。
【必要な支援を明らかにする】
発達障害の特徴は、濃い層から淡い層までの連続体(スペクトラム)だということです。24時間の強い「見守り」の必要な人もいれば、ソーシャルスキルを教える「家庭教師」や、新しい挑戦・環境に向かう際の「生活アドバイザー」が必要な人もいるでしょう。
もっといえば、周囲の理解と配慮さえあれば、適応してやっていける人もいるでしょう(そのときには、既に発達障害は「障害」ではなくなっている)。
「選べるメニュー」から、必要なサービスを「食券」で買うような、カフェテリアプランのようなイメージが相応しいのでは? と思っています。
「選べる」という点が特徴なので、そのための「メニュー」作りと「食券」の配付対象と価格設定を考える必要があります。料理人さがしも重要です。
そのために、当事者と支援者が、必要な支援を明らかにする3年間にしたい。
知恵をしぼって、できるところから、実際にやってみる。
行政も、民間も、当事者も力をあわせて。
現状では、どうしても、限定的、短期間の試験的な試みになってしまうかもしれないですが、プロセスと結果を公開していく。注目すべき取組みは、国も把握し、横の連携につなげるような場づくりをする。
そして、そこから生まれた「成果」を、次の法改正のときに、「全国で展開する」「具体的なサービス給付」として法定する。
以上
【謝辞】
・母子手帳に発達障害の解説を載せることについては、「発達障害者支援法の成立を願う120人の当事者からの意見書」でのグリーンママさんのご意見(「出産前の妊婦講習」)から。
・24時間相談窓口、Eメール相談は、夜回り先生(水谷修さん)の「相談メールは夜2時過ぎにピークを迎える」というお話から。
・「共有ノート」は、自閉症協会愛知県支部発行の「SHARE」から。
それぞれインスパイアされて、考えました。ありがとうございます(^^)
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