■自閉症などの早期発見や支援、政府・与党が総合対策を検討

 明るいニュース!

★報道記事

・YOMIURI ON-LINE:自閉症などの早期発見や支援、政府・与党が総合対策
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20040403i105.htm
 政府・与党は、自閉症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などの発達障害について総合対策の策定に乗り出す。
 〈1〉乳幼児・就学時の健診で早期発見できるようにする体制整備〈2〉専門相談機関の指定〈3〉保育や教育面での支援〈4〉就労機会の確保〈5〉治療方法の研究――などが柱だ。
 また、すべての都道府県に「自閉症・発達障害支援センター」を設置する方向だ。与党は、こうした内容を盛りこんだ「発達障害支援法案(仮称)」を、早ければ今国会に提出することを検討している。

 知的障害を伴わない発達障害への支援の必要性を政府・与党が認めたんですね。朗報です。
★文部科学省実態調査の効果

 自閉症スペクトラムの子どもをもつ親たちにとっては、知的障害を認めてもらえない、高機能自閉症やアスペルガー症候群の存在は常識化していました。
「対策が遅すぎる」という声もあります。が、ここで「なぜ今、政府が思い腰を上げたのか?」を考えておく意味があります。
 私は、文部科学省が実施した2002年に実施した実態調査の効果だと考えます。

・文部科学省:「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」調査結果
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/018/toushin/030301i.htm

 この日本初の全国的調査によって、国は「学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、高機能自閉症等、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒」が学級の「6.5%」存在することを認知しました。
 これまで親や教育の現場から訴えられていた困難性を初めて公式な調査による数字で把握されたのです。国もこの結果には驚いたんじゃないでしょうか。この数字があるから、「発達障害に対する総合対策の必要性」が説得力をもって迫ってきます。

★学ぶべきこと〜根拠ある数字の力

 ここから私たちが学ぶべきなのは、政策を動かすためには、「根拠のある数字が必要だ」ということです。情に訴えるだけではダメで、数字と論理を用意して議論しなければならない。
 同時に「何が、国を実態調査に踏み切らせたか?」を研究するべきです(このテーマについては、明日の記事で、文部科学省の動きをまとめます)。

★魅力的な夢を描き出す

 常に意識しておきたいのは、糾弾では人は変わらない、ということ。魅力的な選択肢を提示すること――「自閉症スペクトラムの子どもたちが生きやすい町というのは、メインストリームの子どもたちも、老人も、他の障害をもつ人たちにとっても、暮らしやすい町なんだな」と思えるような具体的な未来を描き出すこと――
 極めてクリエイティブでスペクタクルな仕事だと思います☆ この仕事に私たち1人1人が関わっているんですね。

【謝辞】以下のサイトでこの報道を知りました。
・A Fledgling Child Psychiatrist:発達障害支援法案
http://homepage3.nifty.com/afcp/B408387254/C819714657/E2126025305/
・こうまま掲示板(ミューママさんの書き込み)
http://www1.rocketbbs.com/110/koumama.html