本日開催された愛知県自閉症協会・つぼみの会総会に参加してきました。
総会は毎年平日に開催されるため、なかなか出席ができなくて、久しぶりの参加だったのですが、行政や団体からそうそうたる方々が来賓として出席してくださっていました。名刺交換の際にも、みなさんが口々に「つぼみの会さんには、◯◯についてお世話になっています」とおっしゃっていました。
あらためて、愛知県自閉症協会・つぼみの会への期待の大きさと責任を実感しました。プロジェクト部も貢献できるようにがんばります。
来賓のごあいさつの中で、愛知県心身障害者コロニー総長のお話が印象的でしたのでご紹介します。
安藤久實総長
・アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が今年3月に「米国で68人に1人が自閉症スペクトラム障害と診断されている」と発表があった。これは2年間で30%の有病率が上がったことになる。(文責:カイパパ)
・米国の小児科医学会は、これを受け、「早期介入でQOLが著しく向上するので、早期スクリーニングが大事である」「小児科医が長期にわたって関わることができる体制が必要」「自閉症対策法を再承認すること」について声明を出している。
・日本では、そもそも小児科医、児童精神科医などの専門医が少ない。希望者も少ない。また、他の施設との連携も弱い。
・愛知県ではコロニーが中心となって、少ない専門医をやりくりできるように、県に関係のある(県立の)医療機関を自由に医師が行き来できるように体制を整えようとしており、実現が近づいてきた。
CDCの発表についての参考記事はたとえばこちら。
・ハフィントン・ポスト:「自閉症の子供」が急増している理由とは?
http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/02/autism-rate-1-in-68_n_5074383.html
名古屋市では6月から東部地域療育センター(対象エリア:千種、守山、名東区)がオープンします。県の医療機関の連携も進み、診断できる医療の地域資源が充実していくことに期待しています。
カイパパはプロジェクト部の説明をさせていただきました。
みなさん第一の疑問として「プロジェクト部とは何をする部なのか?」と思われたと思います。
「つぼみの会で取り組みたいプロジェクトを持ち寄って、実行していくオープンな組織」だということを、今後活動を重ねることで浸透を図っていきたいです。そして、「一緒に活動したい!」と思ってくださる仲間が増えることを願っています。
・プロジェクト部@愛知県自閉症協会・つぼみの会の情報はFacebookページから発信しています。
https://www.facebook.com/tubomiproject
記念講演は、名古屋市北部地域療育センター今枝所長による「医療・療育の現場から〜学校へのアプローチも含めて」です。
今枝正行所長
今日一番驚いたのが、今枝所長が冒頭「今日久しぶりにカイパパに会えた。カイパパが10年前にブログで、「今枝は信頼できる」と書いてくれた。そのことがとてもうれしかった。今も元気がなくなると、その記事を読み直して元気を出している」とお話されたことでした。
たしかにその記事を書いたことはわたしも覚えていましたが、まさか今枝先生がそんなふうに思ってくれていたなんて夢にも思いませんでした。言葉は、時空を超えて心をあたためることがある。いつもそんな願いを込めて、書いているけれど、こんなかたちで直接面と向かって返していただけて、もうほんとに、感激しました。
今枝先生の講演も素晴らしかったです。印象に残ったことを記しておきます。
・北部地域療育センターの就学までの新規相談人数(平成18年度生まれ。現在小学2年生)は、全体の10.3%。全てが自閉症スペクトラムではないが、10人に1人は発達について何らかの気になることがある(=配慮が必要)ということ。カイと同じ平成11年度生まれ、現在中学3年生は、4.7%だった。(文責:カイパパ)
・「ダメ」を言わない=「次の見通しを持てる」支援をする療育を当たり前のものにしたい。そして、もっと言えば「ダメ」を言わない文化を、すべての子ども、大人に当たり前のものにしたい。(「ダメを言わないくふうをするようになると、職場でも「ダメ」って言わなくなるんですよね。自閉症の子への接し方から自分が学んだことです」)
・幼児期から子どもの特性・発達経過を診てきている小児科医の立場を活かす。教育とは違う視点で、家庭・学校・療育センターの三者懇談に、子ども本人も参加し実施することを目指しながらのフォローアップをしている。
・自閉症スペクトラムの人たちは、「精一杯特性」があり、常に全力を出してしまう。だから、「がんばれ!」と言っちゃいけない。「よくがんばってるね」はよい。
・事例紹介:学校から呼び出し電話で、親がこわくなってしまって精神を病んでしまった。→学校からの電話をやめた。親が時間を決めて学校に電話をする。学校は「今日よかったこと」を話すようにして、改善した。
・幼児期から取り組みたいこと「心の感覚を支え・育む」。ひとつは、自己肯定感。ふたつめは、レジリエンス。傷つきからの回復のしやすさ、しなやかさ。
・発達障害をもちながら生きることは、不快な体験が深く記憶され、反復的に想起されやすい(フラッシュバック現象)。またレジリエンスの低さにより回復しにくい状態に置かれているとの理解で支援する必要がある。
・「自閉症に立ち返って考えてみる」「学び合い、ねぎらい合う」ことが大切。
今枝先生は、「記念講演なんておこがましい。つぼみの会の総会に呼んでいただけたことが、自分にとっての記念です」とあくまでも謙虚で。子どもたちに対するやさしさがいっぱい伝わってきました。子どもたちの相談についてのお話を聞きながら、何度か涙が出そうになりました。
初めてお会いしてから、10年が経ちます。全くぶれずに子どものために仕事に打ち込んでおられる今枝正行先生は、信頼できるとあらためて確信しました。
次回の総会では、プロジェクト部の活動の実績を説明できるようになりたいですね。とても充実した総会でした。理事、スタッフのみなさん、ご参加いただいたみなさん、どうもありがとうございました!
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