6月8日に開催した愛知県自閉症協会・つぼみの会主催「権利擁護入門勉強会」(報告記事)において、カイパパが印象に残った又村あおいさんの発言のメモです。
脳みそテープによる語録なので、理解不足や誤解もあると思います。文責はあくまでもカイパパにあります。

<又村あおいさん語録>
■プロジェクト部のコンセプトについて


プロジェクト部のコンセプトを聴いて、感銘を受けた。
「やりたい人が目的を持って集まり、やって、解散する」
こういった柔軟性をもたせた活動が、全国の親の会組織で、なかなかできていない。

■親の会が「権利擁護」の旗を掲げることについて

従来、育成会でも顕著だったのが、「学校卒業後の行き場」をつくるために親たちがしゃにむに頑張ってきた。それは、社会資源があまりにも少なかったから。
現在は、(まだまだ不足しているが)一定の社会資源が整ってきた。
親の会のアイデンティティが問われる時代になってきている。
自分の知る範囲では、欧米、特に北欧では、親の会は、権利擁護(Advocacy)しかやっていない。家族・当事者として、権利擁護の取り組みだけをやっている。


■「自立トラップ」について

権利擁護は「その権利は誰のため?」を考えることが最初に来なければいけない。「親の権利」を「本人の権利」より優先していないか? 20歳以降は法律上「成人」となり、親とは独立の法人格を認められている。その意味にどれだけ自覚的になれているか不安がある。

そんななか、権利擁護が、「○○をするべき」と規範的な指導として進められるのは問題。
たとえば、「30歳になったから一人暮らしすべき」だとか「25歳なんだから働くべき」だとか。

そもそも、社会一般の「規範化」そのものが、障害のある人の暮らしにくさにつながってきたのではなかったか。にもかかわらず、権利擁護と言いながら、この「規範化」を強化する方向に進むと、たいへん息苦しいものになってしまう。

もちろん、自閉症の人が、社会の中で生きていくために、規範(ルール)を守ることは求められるし、心持ちの悪い人から身を守るという最低限の安全は求められるが…。

「その権利は誰のため?」を問い続けることが必要。
「ベスト・インタレスト」(本人にとって最もよい選択)と呼ばれる。
失敗すること、愚かな行いをすること、働きたくないことや親元から離れたくないことも、本人が望んでいる場合がある。にもかかわらず、「規範」によって、「自立とはこうあるべき!!だから○○しなさい」と無理やり押し付けてしまう──それが「自立トラップ」

■マイナス状態をゼロにする権利擁護から、ゼロからプラスの状態に持っていくための意思決定支援

権利擁護が前面に出てくるのは、「権利が侵害されたマイナスの状態をゼロに戻す」ときが多い。その時には、他人の権利とぶつかっている。誰かに被害を与えてしまったり。

しかし、それだけではない。意思決定が難しいひとの意思決定を支援する取組み。
幼い頃から「選択」の経験をつみ、「選択する能力」を育てていくことが重要。ゼロからプラスの状態に持っていく権利擁護も考えていきたい。