多文化ラジオ番組「People Junction」2017年4月1日放送回
「世界自閉症啓発デー 自閉症、はじめまして!」
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Part1 世界自閉症啓発デーとは? 1:13
Part2 自閉症、はじめまして! 7:51
1 自閉症を理解するための3つのポイント(勘所) 8:22
2 自閉症の学習スタイル 19:42
カイパパが、本日出演したラジオ番組の要約をまとめてみました。
音声は「流れていってしまう」ので、今回の放送でお話しした内容のエッセンスを記しておきます。書き起こしではありませんが、大体こんなお話をしたというふうに読んでもらえると幸いです。
聞き逃した方、もう一度思い出したい方、どちらの方にも参考になればうれしいです。
【Part 1】世界自閉症啓発デーとは?
国連総会(H19.12.18開催)において、カタール王国王妃の提案により、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」(World Autism Awareness Day)とすることが決議され、全世界の人々に自閉症を理解してもらう取り組みが行われています。
日本でも、世界自閉症啓発デー・日本実行委員会が組織され、自閉症をはじめとする発達障害について、広く啓発する活動を行っています。
具体的には、毎年、世界自閉症啓発デーの4月2日から8日を発達障害啓発週間として、シンポジウムの開催やランドマークのブルーライトアップ等の活動を行っています。
シドニーのオペラハウスやエジプトのピラミッド、アメリカ・カナダのナイアガラの滝など世界中のランドマークがブルーライトアップされます。日本でも東京タワーや姫路城などもライトアップされます。
名古屋でも、明日の世界自閉症啓発デーに、名古屋テレビ塔が青くライトアップされます。
<4月2日に「ライト・イット・ブルー名古屋」が開催されます>
明日、名古屋栄のモチノキ広場で、午後3時からプレイベントがあり、午後五時からカウントダウンイベントがあります。
自閉症の啓発は、4月2日に限定することはありませんが、国連が決めたこの日をひとつのきっかけにより多くのみなさんに関心を持っていただけたらうれしいです。
明日は、ぜひ、青い物を身につけて名古屋栄のテレビ塔に集まりましょう。
【Part 2】 自閉症、はじめまして!
世界自閉症啓発デーは、自閉症について知っていただくこと、理解をしていただくことを目的にしています。でも、言葉は聞いたことがあっても、なかなか「自閉症のことがわかっている」と自信を持って言えなかったりしますね。
私も、わが子が自閉症だと診断されるまでは、全くわかっていなくて。文字の印象から、「自分に閉じこもっている」そういう心理状態・性格の人のこと?ぐらいに思っていました。
今回のテーマは、「自閉症、はじめまして!」です。
1 自閉症を理解するためのポイント(勘所)と
2 自閉症の学習スタイル
についてお話をしていきたいと思います。
1 自閉症を理解するための3つのポイント(勘所)
まず、自閉症について知っておいていただきたいポイントは、3つあります。
(1)自閉症は、原因によって定義された障害ではない。症状「状態像」が基準に当てはまれば診断される。
(2)診断基準は何か。
(ア) 対人関係の障害
(イ) コミュニケーションの障害
(ウ) パターン化した興味や行動(想像力の障害)
これらの症状が、生後1年にも満たないごく初期からみられる。
(※DSM−5の診断名、診断基準の変更については触れませんでした。)
(3)脳の器質的な違いから現れている。「脳のカタチがちがう」
「育て方」に原因があるわけではない。生まれたときから持っている。自閉症の原因はまだ特定されていませんが、多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる、生まれつきの脳の機能障害が原因と考えられています。胎内環境や周産期のトラブルなども、関係している可能性があります。親の育て方が原因ではありません。
でも、こういった説明は実際に自閉症の人に出会ったことのない人には、ちんぷんかんぷんだと思います。
自閉症の定義を知ったからといって、じゃあ、接するときにはどうしたらいいのかまではわかりませんよね。
そこで、うちの子の小さい頃のエピソードを紹介して、自閉症のイメージをつかんでもらえたらと思います。
<幼い頃のカイはどんな子どもだった?>
・泣かない。すごくクール。大人受けがいい
・指さしをしない。クレーン現象
・視線を追わない。(共同注視)
・電光掲示板、ゲームセンターのゲーム(パターンに魅了される)
「耳は聞こえている。でも意味が聞こえない」(知らない外国語みたい)
大きくなっても、こういった面での「弱さ」を抱えています。
2 自閉症の学習スタイル
お伝えしたいのは、自閉症の人は、比喩的に言うと「脳のカタチがちがう」ため、今お話ししたような特徴があります。したがって、「学習スタイル」も大多数(定型発達)の人たちとはちがっているということです。以下6点を説明します。
(1)多数(定型発達)の人は、潜在的な学習者 「なんとなくそこに存在するもの・こと」から学ぶ。
自閉症の人は、顕在的な学習者 「明示されたもの・こと」から学ぶ。
たとえば、小学1年生になった。教室で歩き回る子がいた。聞いてみると、「授業中は、席に座っていること」がルールとしてわかっていなかった。周りの子たちが、みんな座っていたとしても、「だから、今は座っている時間なのだ」とは学んでいない、など。
(2)視覚的に学ぶ
(比較の問題として)耳からの情報よりも、目からの情報のほうが入りやすい/定着しやすい。なぜかというと、音声言語は発せられると同時に消えていってしまうから。もともと同時に情報を処理することは苦手とする。聞いて、意味を理解する前に、次に移っていってしまう→わからないまま。
(3)注意の向け方
全体よりも部分(細部)に注目するクセ
ジグソーパズルのエピソード:自閉症の人で、ジグソーパズルを裏返しのままで完成させできる人がいる。すごい! 天才的!なんですが、定型発達の人は、完成した絵全体のイメージをヒントに部分を組み合わせて完成させている。ところが、自閉症の人は部分(この形はここにあった。隣にはこの形があったというふうに)で記憶している。
強みにすることもできるが、全体をとらえそこなったり、細部に固執してしまう場合もある。また、部分から部分に注意がそれて、集中ができない場合もある。
注意のつまづきのために。全体の構造や情報の意味をわかりやすくするための手立てとして、「構造化」や「ワークシステム」を学習のために用いるとよい。
(4)複数の視点を持つことが困難
自閉症は、社会的コミュニケーションの障害といわれる。それは、「他人の視点をもつ」ことに苦手を持っていることから由来していると思います。
たとえば、自閉症の子どもに特徴的な行動として、「逆さバイバイ」がある。手のひらを自分の顔に向けて「バイバイ」をする。それは、相手が「バイバイ」をしているときに、手のひらが見えているから、それを真似している。視点を入れ替えて、相手からは「手のひらではなくて、手の甲が見えている」ことに気がつかない。
他人の視点がわかりにくいから、分解して、明示してパターンで学習するとよいでしょう。
たとえば、A君がBさんのおもちゃを何も言わずに取ったら、Bさんは「びっくりする」「怒って」「A君をぶつ」というように、紙芝居や漫画にして、一緒に考えながら学んでみる。
シナリオを作って、相手の役割を演じてみるロールプレイなどをやってみるのもいいですね。
(5)実行機能
情報を統合するところに弱さがある。決めたこと、決められたことを実行に移すときに、「バラバラ」になってしまって、止まっているのはさぼっているわけではなくて「次に何をするか」がわからなくなっていることが多い。
そのため、手順を書いて示す、始まりと終わりが何か、どこかをわかりやすくする支援があります。
(6)感覚過敏・鈍感
自閉症の人の多くが、感覚過敏や逆に鈍感であることがある。
たとえば、うちのカイは子どもの頃缶詰を足の指に落として、当然腫れ上がって痛かったと思うのだけど、痛い様子を全く見せなかった。痛みに鈍い。この場合は鈍感ですね。重大な病気のときにも、痛いと伝えられない場合があるので、周りが注意してあげてほしい。
まとめとして──
彼・彼女らが学ぶために必要なこと
彼・彼女らの学び方に合わせて伝えていくことが重要
多数派への教え方と同じやり方ではうまくいかないのは当たり前
自閉症の人の特徴を知って、学習スタイルに合った教え方をしてもらえたら、本当にありがたいです。
次回の放送は、4月8日土曜日7時半から。テーマは「ストリートで出会う 自閉症」です。
町で、自閉症の人を見かけたことがありますか? そのとき、あなたはどんなことを感じますか? 4年前に起きたある事件を題材に、カイパパの思いを語ります。そこから、昨年7月におきた「あの事件」についても……。
ストリートで出会う、ってどうしたらいいんだろう? 自閉症をまったく知らない、そんな人にもぜひ聴いていただけたらと願っています。
【ラジオの聴き方】
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「世界自閉症啓発デー 自閉症、はじめまして!」
最初から聴く(YouTube)
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Part1 世界自閉症啓発デーとは? 1:13
Part2 自閉症、はじめまして! 7:51
1 自閉症を理解するための3つのポイント(勘所) 8:22
2 自閉症の学習スタイル 19:42
カイパパが、本日出演したラジオ番組の要約をまとめてみました。
音声は「流れていってしまう」ので、今回の放送でお話しした内容のエッセンスを記しておきます。書き起こしではありませんが、大体こんなお話をしたというふうに読んでもらえると幸いです。
聞き逃した方、もう一度思い出したい方、どちらの方にも参考になればうれしいです。
【Part 1】世界自閉症啓発デーとは?
国連総会(H19.12.18開催)において、カタール王国王妃の提案により、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」(World Autism Awareness Day)とすることが決議され、全世界の人々に自閉症を理解してもらう取り組みが行われています。
日本でも、世界自閉症啓発デー・日本実行委員会が組織され、自閉症をはじめとする発達障害について、広く啓発する活動を行っています。
具体的には、毎年、世界自閉症啓発デーの4月2日から8日を発達障害啓発週間として、シンポジウムの開催やランドマークのブルーライトアップ等の活動を行っています。
シドニーのオペラハウスやエジプトのピラミッド、アメリカ・カナダのナイアガラの滝など世界中のランドマークがブルーライトアップされます。日本でも東京タワーや姫路城などもライトアップされます。
名古屋でも、明日の世界自閉症啓発デーに、名古屋テレビ塔が青くライトアップされます。
<4月2日に「ライト・イット・ブルー名古屋」が開催されます>
明日、名古屋栄のモチノキ広場で、午後3時からプレイベントがあり、午後五時からカウントダウンイベントがあります。
自閉症の啓発は、4月2日に限定することはありませんが、国連が決めたこの日をひとつのきっかけにより多くのみなさんに関心を持っていただけたらうれしいです。
明日は、ぜひ、青い物を身につけて名古屋栄のテレビ塔に集まりましょう。
【Part 2】 自閉症、はじめまして!
世界自閉症啓発デーは、自閉症について知っていただくこと、理解をしていただくことを目的にしています。でも、言葉は聞いたことがあっても、なかなか「自閉症のことがわかっている」と自信を持って言えなかったりしますね。
私も、わが子が自閉症だと診断されるまでは、全くわかっていなくて。文字の印象から、「自分に閉じこもっている」そういう心理状態・性格の人のこと?ぐらいに思っていました。
今回のテーマは、「自閉症、はじめまして!」です。
1 自閉症を理解するためのポイント(勘所)と
2 自閉症の学習スタイル
についてお話をしていきたいと思います。
1 自閉症を理解するための3つのポイント(勘所)
まず、自閉症について知っておいていただきたいポイントは、3つあります。
(1)自閉症は、原因によって定義された障害ではない。症状「状態像」が基準に当てはまれば診断される。
(2)診断基準は何か。
(ア) 対人関係の障害
(イ) コミュニケーションの障害
(ウ) パターン化した興味や行動(想像力の障害)
これらの症状が、生後1年にも満たないごく初期からみられる。
(※DSM−5の診断名、診断基準の変更については触れませんでした。)
(3)脳の器質的な違いから現れている。「脳のカタチがちがう」
「育て方」に原因があるわけではない。生まれたときから持っている。自閉症の原因はまだ特定されていませんが、多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる、生まれつきの脳の機能障害が原因と考えられています。胎内環境や周産期のトラブルなども、関係している可能性があります。親の育て方が原因ではありません。
でも、こういった説明は実際に自閉症の人に出会ったことのない人には、ちんぷんかんぷんだと思います。
自閉症の定義を知ったからといって、じゃあ、接するときにはどうしたらいいのかまではわかりませんよね。
そこで、うちの子の小さい頃のエピソードを紹介して、自閉症のイメージをつかんでもらえたらと思います。
<幼い頃のカイはどんな子どもだった?>
・泣かない。すごくクール。大人受けがいい
・指さしをしない。クレーン現象
・視線を追わない。(共同注視)
・電光掲示板、ゲームセンターのゲーム(パターンに魅了される)
「耳は聞こえている。でも意味が聞こえない」(知らない外国語みたい)
大きくなっても、こういった面での「弱さ」を抱えています。
2 自閉症の学習スタイル
お伝えしたいのは、自閉症の人は、比喩的に言うと「脳のカタチがちがう」ため、今お話ししたような特徴があります。したがって、「学習スタイル」も大多数(定型発達)の人たちとはちがっているということです。以下6点を説明します。
(1)多数(定型発達)の人は、潜在的な学習者 「なんとなくそこに存在するもの・こと」から学ぶ。
自閉症の人は、顕在的な学習者 「明示されたもの・こと」から学ぶ。
たとえば、小学1年生になった。教室で歩き回る子がいた。聞いてみると、「授業中は、席に座っていること」がルールとしてわかっていなかった。周りの子たちが、みんな座っていたとしても、「だから、今は座っている時間なのだ」とは学んでいない、など。
(2)視覚的に学ぶ
(比較の問題として)耳からの情報よりも、目からの情報のほうが入りやすい/定着しやすい。なぜかというと、音声言語は発せられると同時に消えていってしまうから。もともと同時に情報を処理することは苦手とする。聞いて、意味を理解する前に、次に移っていってしまう→わからないまま。
(3)注意の向け方
全体よりも部分(細部)に注目するクセ
ジグソーパズルのエピソード:自閉症の人で、ジグソーパズルを裏返しのままで完成させできる人がいる。すごい! 天才的!なんですが、定型発達の人は、完成した絵全体のイメージをヒントに部分を組み合わせて完成させている。ところが、自閉症の人は部分(この形はここにあった。隣にはこの形があったというふうに)で記憶している。
強みにすることもできるが、全体をとらえそこなったり、細部に固執してしまう場合もある。また、部分から部分に注意がそれて、集中ができない場合もある。
注意のつまづきのために。全体の構造や情報の意味をわかりやすくするための手立てとして、「構造化」や「ワークシステム」を学習のために用いるとよい。
(4)複数の視点を持つことが困難
自閉症は、社会的コミュニケーションの障害といわれる。それは、「他人の視点をもつ」ことに苦手を持っていることから由来していると思います。
たとえば、自閉症の子どもに特徴的な行動として、「逆さバイバイ」がある。手のひらを自分の顔に向けて「バイバイ」をする。それは、相手が「バイバイ」をしているときに、手のひらが見えているから、それを真似している。視点を入れ替えて、相手からは「手のひらではなくて、手の甲が見えている」ことに気がつかない。
他人の視点がわかりにくいから、分解して、明示してパターンで学習するとよいでしょう。
たとえば、A君がBさんのおもちゃを何も言わずに取ったら、Bさんは「びっくりする」「怒って」「A君をぶつ」というように、紙芝居や漫画にして、一緒に考えながら学んでみる。
シナリオを作って、相手の役割を演じてみるロールプレイなどをやってみるのもいいですね。
(5)実行機能
情報を統合するところに弱さがある。決めたこと、決められたことを実行に移すときに、「バラバラ」になってしまって、止まっているのはさぼっているわけではなくて「次に何をするか」がわからなくなっていることが多い。
そのため、手順を書いて示す、始まりと終わりが何か、どこかをわかりやすくする支援があります。
(6)感覚過敏・鈍感
自閉症の人の多くが、感覚過敏や逆に鈍感であることがある。
たとえば、うちのカイは子どもの頃缶詰を足の指に落として、当然腫れ上がって痛かったと思うのだけど、痛い様子を全く見せなかった。痛みに鈍い。この場合は鈍感ですね。重大な病気のときにも、痛いと伝えられない場合があるので、周りが注意してあげてほしい。
まとめとして──
彼・彼女らが学ぶために必要なこと
彼・彼女らの学び方に合わせて伝えていくことが重要
多数派への教え方と同じやり方ではうまくいかないのは当たり前
自閉症の人の特徴を知って、学習スタイルに合った教え方をしてもらえたら、本当にありがたいです。
次回の放送は、4月8日土曜日7時半から。テーマは「ストリートで出会う 自閉症」です。
町で、自閉症の人を見かけたことがありますか? そのとき、あなたはどんなことを感じますか? 4年前に起きたある事件を題材に、カイパパの思いを語ります。そこから、昨年7月におきた「あの事件」についても……。
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