■佐々木正美先生講演会レポート/メモ(1)
 【主催】TEACCHプログラム研究会愛知支部
 【題名】自閉症の理解と支援〜TEACCHの理念に基づいて
 【日時】2004年9月18日 10:00-16:30
 【会場】ウィル愛知 4階ホール
 【参加者数】540名
【このレポートについて】
 私の息子、カイは、5才になるカナータイプの自閉症です。機能的な言葉(場合に合った使い方のできる言葉)は、「イヤー」(嫌)と「イテー」(痛い)の2語しかありません。したがって、講演会を聞くときも、わが子をイメージして聞いています。

 今回アップしている講演会レポートは、何ら公式な講演録ではなく、あくまでも〈カナータイプの幼児を持つ親の学んだ、感じたこと〉をまとめているものです。
 文責はカイパパにあり、聞き間違いや言葉足らずの部分は全て私の責任であることをお断りしておきます。

 佐々木正美先生の講演会に参加してきました。講演会というより「講義」と呼んだほうがふさわしい内容でした。私にとっては「原点に戻る」最高の機会になりました。参加してよかったです。
 今日から、連載でレポートを掲載していきます。

★講演会の内容

 前半は、自閉症の特性を高機能自閉症本人の言葉を具体的に紹介しながら、私たちが「想像力」を働かせて、自閉症の世界・文化に近づき入っていくことの大切さをお話されました。

 後半は、自閉症の特性を踏まえて、TEACCHプログラムがどのような支援を組み立てているかの概要の説明がありました。
「TEACCH法ではないのです、プログラムなのです。単一の方法で対応できるほど自閉症の人への支援は簡単なものではない。TEACCH部では、よい方法はどんどん取り入れていく、効果がなかった古い方法は捨てていくというプロセスを持っている」

「TEACCHプログラムは、様々な方法とプロセスを包含したプログラムなんだ」と再確認しました。「そして、教育、居住、余暇活動、就労まで網羅した一貫したプログラムであること」も改めて感銘を受けました。

 今回の講演は、自閉症についての入門として最高のものだと思います。また、ある程度TEACCHプログラムを学び実践してきた人にとっても「原点に戻る」ためにすごく意味のあるものでした。

★反省=原点に戻る

 自閉症支援の学習をするうちに、どんどん枝葉末節のテクニカルな部分に目を奪われて、支援をどんどん複雑に考える傾向があるように思います。

 そのことが、「自分は、○○についてまだ未熟だから、きちんとした支援ができない」といった自信喪失や言い訳につながったり、「あなたは、○○のことをできていないのに、自閉症の支援を語る資格がない」なんていう無茶苦茶な攻撃をしたり、どちらにしても、目の前にいる本人の笑顔にはつながっていません。

 原点は自閉症の特性を理解することです。

「佐々木正美先生講演会レポート/メモ(2)自閉症の特性」へつづく


【連載記事】
★講演会レポート
(1)全体の感想
(2)自閉症の特性
(3)想像力の独特さ
(4)優れた療育者の資質

★託児レポート
(1)託児(1)〜物理的構造化の工夫
(2)託児(2)〜スケジュールの工夫
託児(2)補足〜スケジュールの工夫〜時間に意味を与える
(3)託児(3)〜親としての反省

★おまけ
佐々木先生のお人柄&参考図書