■「がんばれ」って言わないで 「がんばらないで」と言わないで

★「がんばれ」って言わないで

 最近はあまりないけれど、表に出て活動をしていると「がんばって!」と声をかけられることがあります。調子がいいときは「ご声援ありがとう」と流せるけれど、そうでないときは正直キツイ。もうこれ以上はがんばれないのに、「がんばれ」といわれると「死ね」と言われているように響く。

★「がんばらないで」と言わないで

 逆に「がんばらないで」「無理しないで」ともよく言われる。
 それも複雑な思いがする。
 イメージしてみてください。
 多動のわが子が全力疾走で駆けていくのを私たち夫婦が必死で追いかけている。息切れして心臓が破裂しそうだ。「無理しないで」と立ち止まったら息子を見失う。
 運がよければ、どこかで保護されるかもしれないが、そんな運に任せることはできない。

 走り続けるも地獄。立ち止まるも地獄――
 追いかけ続けるしかないじゃないか?
 無理しないでってどういうこと? 1時間でも2時間でも、私たちのかわりをしてくれる覚悟を持って言ってくれていますか。もしそうでないなら、そんなこと言わないで……。

 綱渡りのような生活は、私たちだけじゃない。
 ドラマや漫画は「よかったよかった」と感動の涙をさそって完結しますが、生活は続いていく。
 父親仲間のタロ吉さんの言葉が忘れられません。

「がんばらない親もどうかと思うけど、がんばりすぎてしまう親をだれが救ってくれるの?」

 私たちだって、長生きしたいよ。ゆっくり眠りたい。