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政治

自民党「家庭教育支援法案」をきっかけに文部科学省の「家庭教育支援」施策を調べてみた

今朝、わたしのTwitterのタイムラインで、朝日新聞(デジタル版)の記事についてのつぶやきがたくさん流れていました。わたしが一番ひっかかったのは「この法律案のベースに親学があるのでは……」など危惧するコメントでした。

2012年に大阪市で、大阪維新の会が提出を検討した「家庭教育支援条例(案)」に関して、カイパパ通信も含め、関係者が批判の声をあげました。参考記事のまとめはこちら。

この大阪維新の会の「家庭教育支援条例(案)」には、伝統的な子育てによって発達障害が防止できるという条文がありました。
(伝統的子育ての推進)
第18条
わが国の伝統的子育てによって発達障害は予防、防止できるものであり、こうした子育ての知恵を学習する機会を親およびこれから親になる人に提供する。

この条例案は「発達障害の原因を親の育て方によるものとする間違った根拠にもとづいている」と批判を浴び、撤回されました。

今回、自民党が提出を検討しているという「家庭教育支援法案」がどのようなものなのか。法案そのものが、今のところネットでは見つけられません。名称は、大阪維新の会のものとそっくりですが、だからといって内容も同じだと即断することはできません。

・朝日新聞:家庭教育支援、国が方針 住民の協力は「責務」 自民法案(2016年10月22日05時00分)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12619776.html
自民党が来年の通常国会に提出予定の「家庭教育支援法案」(仮称)の内容が明らかになった。家庭の自主性を尊重するとしつつ、国が家庭教育支援を進めるための方針を決め、地域住民に国や自治体の施策に協力することも求める。「公」が家庭教育に関与しかねないことへの懸念の声もある。 *無料公開部分のみ引用

朝日新聞はこのように報じていますが、具体的内容はわかりません。

手がかりを探して、文部科学省のサイトを見てみました。
「家庭教育支援」というキーワードで探してみると、以下のようなことがわかりました。
長くなりますので、先に結論だけ言っておくと、親学との関連は見受けられませんでした。

まず、担当課は、生涯学習政策局男女共同参画学習課です。
施策名は「家庭の教育力の向上」となります。
ウェブサイト⇒ http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/1246352.htm

検討の経緯を見ていきます。

平成23年度に「家庭教育支援の推進に関する検討委員会」をつくり、報告書をまとめています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/1306958.htm

この報告書の「はじめに」の中に以下の記述があります。
家庭教育の支援施策については、教育基本法に平成18年の改正により、国と地方公共団体の責務として明記されています。この報告書が、国や地方公共団体の施策の指針となり、各地の家庭教育支援の取組の活性化に役立つことを期待しています。

教育基本法が、家庭教育の支援の推進の根拠法であることがわかります。

その後、文部科学省は、平成25年度から以下のようなテーマの検討委員会をつくって検討を続けています。
・平成25年度「中高生を中心とした子供の生活習慣づくりに関する検討委員会」
・平成25年度「家庭教育支援チームの在り方に関する検討委員会」
・平成26年度「中高生を中心とした子供の生活習慣が心身へ与える影響等に関する検討委員会」
・平成27年度「家庭教育支援手法等に関する検討委員会」
・平成28年度「家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会」

「生活習慣づくり」と「家庭教育支援チーム」が主なテーマだったということがわかります。

検討委員会の集大成的な今年度(平成28年度)の「家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会」の設置要綱にはこうあります。
1 趣旨
核家族化や地域社会のつながりの希薄化等を背景として、子育ての悩みや不安を抱えたまま保護者が孤立してしまうなど、家庭教育が困難な現状が指摘されている。
これまで文部科学省では、全ての保護者が安心して家庭教育を行えるよう、地域人材を活用した「家庭教育支援チーム」等による身近な地域における保護者への学習機会の提供や相談対応等の取組、並びに、子供から大人までの生活習慣づくりなどを推進してきたところである。
本検討委員会においては、共働きや経済的な問題などで家庭生活に余裕のない保護者への対応や、「家庭教育支援チーム」型の支援を更に普及させるための方策など、全ての保護者が充実した家庭教育を行うことができるようにするための具体的な推進方策について検討することとする。

2 検討事項
(1)全ての親の学びや育ちを応援するための方策に関する検討
(2)「家庭教育支援チーム」型の支援を全国に普及させるための方策に関する検討
(3)その他、家庭教育支援の推進のために検討することが必要な事項
※強調はカイパパ。

平成28年度の検討委員会(第3回)の資料のなかに法律案と最もリンクすると思われる来年度の予算要求の内容が掲載されています。その部分のコピーが以下です。
h29gaisan
クリックして拡大


このように、文部科学省は、あらたに「家庭教育支援チーム」を自治体がつくり、困難を抱える家庭への「家庭訪問(アウトリーチ)」を導入することに主眼を置いた施策展開を考えているようです。
当然、貧困や虐待の問題への対処も視野に入っているでしょう。福祉と教育の連携が、家庭という最前線で必要となっている現状への対応につながっていく可能性を感じます。

家庭教育支援チームの普及以外には、「子供の基本的な生活習慣づくりの推進のための普及啓発」「全ての保護者への家庭教育支援の充実(具体的には、人材養成と研修開催)」が施策としてあげられています。

以上、文部科学省の「「家庭教育支援」について、ざっくりと見てきました。
わたしが見たかぎりでは、親学との関連は、見受けられませんでした。1時間半ほどの検証でこのブログ記事を書いたので、ぜひ詳しい方の検証を期待します。

くりかえしになりますが、わたしは自民党の「家庭教育支援法案」の中身はまだ見ていません。法案が文部科学省の施策とは異なる内容を定めているかもしれません。また、公権力が家庭に干渉をするおそれについても、公開後、再度検討をしたいと思います。

衆議院選挙の結果を得票率でふりかえってみた

このブログで、選挙について語ることは初めてですが、どうにも不思議な結果に思えて、データをもとに分析しておきたいと思い、書きました。

まず、2012年衆議院選挙の結果です。
自民294、民主57、維新54、公明31、みんな18、未来9、共産8、社民2、大地1、国民1、無所属5

衆議院450議席中、自民党が294議席(獲得議席率65.3%)を占めました。野党第一党が民主党57議席ですから、自民党の完勝です。

内田樹先生が、小選挙区制のねらいについて、こう書いています。
小選挙区制は得票率と議席率が同期しない制度であり、わずかな「風向き」の変化で、ドミノ倒しのように一政党が地滑り的勝利を収めるように制度設計されている。

…略…

それよりは「わずかな入力差が大きな出力差となる」複雑系モデルの方が、有権者の変化を反映しやすいし、なにより政治家にひりひりした緊張感を与えることができる。
定常的であるより、頻繁に揺れ動く「不安定な政体」の方が「生命」の本態に近いのではないかと、そう考えた人がいたのだろう。
なかなかの知恵者である。

・選挙結果について (内田樹の研究室)
http://blog.tatsuru.com/2012/12/17_1053.php

安倍自民党が掲げた政権公約があるわけですが、絶対安定多数の議席を獲得した結果を、国民が「原発推進を選んだ」とか「右傾化した」とか「改憲に舵を切った」といったふうに、急激に大量に価値観を変えたといったふうに受けとめるのは実像に合っているのでしょうか。少なくとも、自分の実感とは大きなずれがあります。

そこで、党派別得票数(どの政党が何票獲得したか)と獲得議席率(当選議席数の全体に占める率)のデータでふりかえってみたいと思います。中日新聞12月17日朝刊に掲載されていた表にもとづいています。
この表によると、自民党の得票率は、小選挙区で43.01%、比例代表では27.66%となっています。それぞれ獲得議席率を並べて見てみましょう。

<自民党>
小選挙区 得票率 43.01% ⇒ 小選挙区における獲得議席率 79.00%
比例代表 得票率 27.66% ⇒ 比例代表における獲得議席率 31.63%

小選挙区の獲得議席率の高さが際立っています。
小選挙区では他候補者より1票でも多ければ議席を総取りする仕組みだからですね。自民党は、得票率2位の民主党(得票率22.81%⇒獲得議席率9.00%)を大きく引き離していますから、小選挙区での結果によって「地滑り的勝利」が起きています。

それから、注目したいのは、公明党の小選挙区と比例代表の得票率の差です。

<公明党>
小選挙区 得票率  1.48% ⇒ 同 獲得議席率  3.00%
比例代表 得票率 11.84% ⇒ 同 獲得議席率 11.86%

これは公明党が、小選挙区での立候補者をしぼりこみ、連立相手である自民党候補への投票に協力しており、比例代表では公明党支持者が公明党にダイレクトに投票しているからではないでしょうか。
小選挙区と比例での投票先の使い分ける投票行動は、意識的に行われているのでしょうし、自民党が公明党と手を結び続ける理由がここから見て取れます。次回の選挙で、公明党支持者が小選挙区で自民党以外に選挙協力をした場合、結果が逆にブレる可能性が高いので、今回自民党が単独過半数を大きく超えていても、公明党と連立政権を組まない選択肢はないのだと予想します。


【参照記事】
 中日新聞の表そのものはウェブに掲載されていないので、参考記事を貼っておきます。

・自民、得票4割で議席8割=小選挙区の特性浮き彫り【12衆院選】:gooニュース(時事通信社配信記事)
http://news.goo.ne.jp/article/jiji_elex/politics/elex/jiji-121217X616.html
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